




(b)に示した反応-移動-反応系は、言ってしまえば、金属電極の間にゲルをはさんで数Vの電圧をかけるだけのものです。しかし、この系はその本性上、電気化学と非線形科学の両方にまたがる学際性のある系(上表の赤字で示した事項と強く関連)です。そして、「電極からゲル中に放出されたイオンの泳動がもたらす沈殿パターン形成」という、両分野の学問的な空白を埋める系でもあります。
このような興味深い系であるにもかかわらず、反応-移動(拡散)-反応系の研究例は、2020年まで皆無でした。林研による最近の研究によって、反応-移動-反応系で生じる沈殿パターンは、印加する電圧の強さや時間、電極の種類、ゲル中の添加塩の濃度などに応じて多様に変化することや、リーゼガングバンドとは本質的に異なる性質(たとえば、沈殿帯の間隔の規則性の違い)を示すことがわかってきた段階です。
林研では、主にX線分光分析法を用いて沈殿パターンを分析しながら、反応-移動-反応過程の全容を解明すること、そしてこの新しい現象を利用して、ゲルの内部に制御された沈殿構造を構築する技術を開発することを目指しています。ゲルをガラス瓶、沈殿を船と見立てれば、化学版・ボトルシップを製作する技術を生み出すことと言い換えられます。





(Department of
Chemical and Biological Sciences, Japan Women's University )
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