HLSRC・生涯学習総合センター共催による 第12回 生活安全保障セミナー
食の安全を考える
 第12回生活安全保障セミナー 「食の安全を考える」
 コーディネーター  家政学部食物学科教授 本間 健

 2005年12月17日(土)13時30分より百年館505教室において、「食の安全を考える」セミナーが開催された。
 当日は、アメリカからの牛肉輸入再開を政府が決定した直後の開催ということもあり、約100名の参加者があり、熱心な質疑も行われた。
 セミナーは、河内日本女子大学総合研究所人間生活科学研究センター所長河内十郎教授の挨拶の後、本間の司会で行われた。
 最初に独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査部常勤顧問の三瀬勝利先生から「変貌する細菌性食中毒」と題したご講演をいただいた。
 三瀬先生は、「再燃する細菌感染症」(菜根出版)、「逆襲するばい菌たち」(講談社)、「薬が効かない」(文藝春秋)等多数の啓蒙的書籍を著していらっしゃる微生物学の権威で、ご講演では、1996年のO157の大流行以来減少するどころか、広域化し、むしろ増加している食中毒につき、ノロウイルスやカンピロバクター食中毒の増加など原因菌の変化、その背景、そして、感染症全体についても、抗菌薬が効きにくくなっている現状から今後の感染症に対する警告等、短い時間でお願いしたにもかかわらず感銘深いお話をいただいた。

 続いて、日本生物科学研究所主任研究員の山内一也先生からは「BSE対策を考える」と題したご講演をいただいた。
 山内先生は「プリオン病の謎に迫る」(NHK出版)等のご著書もあり、日本のBSE第一症例発症時からBSEにかかわられてこられた第一人者である。イギリスでのBSEの始まりから、肉骨粉の危険性、プリオンが蓄積する特定危険部位の問題、検出の限界等の問題点、全頭検査の重要性などを指摘され、アメリカにおけるBSE対策とそれを容認した日本政府の対応の問題点が浮かび上がってくるご講演であった。

 最後の東京農業大学応用生物科学部バイオサイエンス学科教授で内閣府食品安全委員会委員でいらっしゃる本間清一先生から「食品安全委員会について」と題するご講演をいただいた。
 BSE関連で話題にされることの多い食品安全委員会であるが、多彩な食に関する審査をしていることをご紹介していただいた。食品表示のこと、また、このご講演の後マスコミでも話題になった大豆イソフラボンの過剰摂取に対する警告等で、食品安全委員会の広範囲な仕事が理解できた内容であった。講演後、遺伝子組み換え大豆の質問も出、活発な討論も行われた。

 今回の講演会は、企画時には予想していなかったが、時期的にもタイムリーな内容となり、われわれの日常の食を取り巻く環境が大きく変貌してきており、科学に裏付けられた正しい情報を消費者も知っておかねばならない時代になっていることが実感され、大変有意義なものであったと思う。