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1.感染症とは何かを知ろう:コッホの原則では説明できない?
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| 東京医科歯科大学 大学院 人体病理学分野 助教授 江石 義信 |
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日常生活の中で経験する感染症は、病原体と宿主の関係が複雑で感染症のコッホ原則では単純に説明できないことも多い。
結核菌やヘルペスウイルスなどは、初感染後も長く細胞内に潜伏し、加齢・栄養不良・ストレスなどを契機に、外部感染の機会もなく発症しうる。
他方、健常人にも常在する微生物による内因性感染症ではコッホ原則は適用できない。
加齢や抗癌剤など免疫機能低下に起因した日和見感染症だけでなく、逆に過度な免疫反応が起こり病気になることもある。
これら感染症の基本原則を理解することは栄養や生活習慣など疾病予防の観点から重要である。 |
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2.生活習慣と感染症の関わり:アルコールとウイルス性肝炎について
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| 茨城大学 教授・保健管理センター所長 宮川 八平 |
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C型肝炎は主に輸血など血液を介して感染し、わが国には200万人もの多くのかた罹患していると言われている。
C型肝炎のかたが、お酒を過剰に飲酒すると、肝組織像が悪化する、血液中のウイルス量が増加する、などの影響がみられる。
そのために、C型肝炎のかたは原則的にはお酒を飲まない習慣を作ることが必要である。
一方、常習飲酒家にみられる肝障害のなかでは、C型肝炎ウイルスの感染率が高いことが知られている。
とくに肝硬変に進行したグループで肝臓病の発生頻度が高く、アルコールがC型肝炎ウイルスによる肝発がんを促進することが示唆されている。 |
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3.感染症を防ぐ免疫の力:ワクチンと樹状細胞
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聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター助教授
東京慈恵会医科大学 DDS研究所 客員教授 檜垣 恵 |
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免疫はわれわれの体を異物や病原微生物などの外敵から防御する機構である。遭遇した外敵を記憶するという免疫機構を利用したのがパスツールによるワクチン開発で、今日の予防医学の大きな柱となっている。一方、免疫応答の担い手として抗原提示細胞である樹状細胞の役割が近年明らかになってきた。新たな経度・経粘膜ワクチンの開発と共に、その標的となる樹状細胞について概説する。 |
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4.感染症に負けない人間生活科学:食物・栄養学の新しい展開
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| 日本女子大学 食物学科 教授 保健管理センター所長 佐藤 和人 |
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感染症から身を守るために食物・栄養学を始めとする人間生活科学の果たす役割は大きい。
免疫機能の低下は感染症の発病、悪化につながるが、食物・栄養は免疫力を調節する機能をもつ。
高齢者の加齢による免疫機能の低下と蛋白エネルギー栄養障害(PEM)は感染の危険因子となる。
プロパイオテイクス乳酸菌などの食品や栄養調節により腸管免疫系を活性化し免疫機能の改善が期待できる。
一方、肥満による免疫機能の変化も感染症を増加させる。
脂肪細胞が産生するアディポサイトカインと免疫機能との関わりが明らかになってきている。
病気の予防や改善のために食物・栄養学の基礎・臨床両面からの研究とその応用が期待される。
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