第6回 生活安全保障セミナー
近い将来、ひとが宇宙で生活する
 平成16年12月12日(日)、日本女子大学目白キャンパス新泉山館において、人間生活科学研究センター主催、日本女子大学生涯学習総合センター共催、宇宙航空研究開発機構(JAXA)後援による、生活安全保障セミナー『近い将来、ひとが宇宙で生活する』、ならびに宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共催によるJAXAタウンミーティングを開催しました。
当日は、大学とヒューストンをテレビ会議で結び、土井隆雄宇宙飛行士にも参加いただき、宇宙に関心の高い一般社会人と大学生の計132名が集い、熱心な議論が展開されました。
プログラム1 生活安全保障セミナー
近い将来、ひとが宇宙で生活する
  共催:日本女子大学「生涯学習総合センター」
  後援:宇宙航空研究開発機構(JAXA)

 いまや、人が宇宙に旅行する時代となり、国際宇宙ステーション(ISS)などの宇宙空間に長期滞在することが現実となってきました。このセミナーでは、微小重力環境・閉鎖空間である国際宇宙ステーション(ISS)で生活するための生活関連の技術開発に焦点を当て、心身共にストレスのない安全で快適に生活するための最新の研究について、4名の講師による講演がなされました。以下に概要を紹介します。
1.宇宙へ羽ばたく〜宇宙開発のあゆみ
  JAXA広報部 教育グループ広報副主幹 中川人司 氏
 人類初の有人宇宙活動から時は流れて宇宙ステーションの時代となり、人が宇宙で生活する時代となりました。
現在国際宇宙ステーションには、常2〜3名の飛行士が、6ヶ月間滞在しています。
ここでは宇宙飛行士の日常生活の紹介や、日本人初の船外字宙活動を行った土井隆雄宇宙飛行士の映像を交えながら船外活動に用いられる船外活動服(EMU)について解説をいただきました。
また人間が活動している宇宙の領域は全体から見ればごくわずかであり、人類の宇宙進出は始まったばかりということを改めて認識させられた講演でした。
中川人司 氏
2.宇宙で生きる〜宇宙での健康管理〜
  JAXA有人宇宙技術部宇宙医学グループ 主任研究員 大島 博 氏
 長期宇宙滞在では、骨量減少や筋萎縮、宇宙放射線による被爆、また閉鎖環境による精神的ストレスや国籍の違いによる理解の違いや環境の違い、作業所効率低下など健康管理の上の様々な課題があります。
このようなストレスに対する耐性を身につけるために、宇宙飛行士は様々なサバイバル訓練等により精神・肉体的に耐えうるように修練します。
また長期宇宙滞在に必要な健康管理システムを準備されていますが、まだ完全とはいえません。
今後さらなる管理技術を向上させ、宇宙における一層のQOLの向上が求められます。
大島 博 氏
3.宇宙で憩う〜宇宙の緑〜
  日本女子大学 大学院理学研究科 理学部 物質生物科学科 教授 中村輝子
 樹木は、天然のエアコン、バイオマス資源、食料として人類に欠くことのできない資源です。
無重力空間における樹木の特性研究から、三次元クライノスタット(疑似微少重力環境装置)を用いた桜のしだれ症について講演いただきました。
地上環境において重力に逆らうことにできないしだれ症の桜の枝は、無重力空間では任意の方向に曲がり、成長速度の変化、枝を支える組織の減少など様々な変化がおきます。
宇宙における樹木の存在は、ストレスを回避し、安定した心豊かな宇宙生活を実現するために大いに期待されます。
中村 輝子 教授
4.宇宙で装う〜宇宙の衣服〜
  日本女子大学大学院人間生活学研究科・家政学部被服学科教授 多屋淑子
 衣服は人体を最初にとりまく微環境であり、私達と24時間生活を共にしています。
地上とは異なる特殊環境の宇宙空間に長期滞在するためには、衣服から発生するストレスを最小にする必要があります。
国際宇宙ステーション内で安全で快適な生活を送るための生活支援技術として、着心地の良い衣服開発の研究が紹介されました。
微小重力下・閉鎖空間で着る日常服は、宇宙に限らず地上でのすべて人に有用であるという夢のある講演でした。
会場には宇宿飛行士の協力によるアンケート調査から開発された下着素材が展示されました。

多屋 淑子 教授
プログラム2 宇宙について語り合う対話集会
JAXAタウンミーティング
  テーマ1「なぜ人類は宇宙を目指すのか」
 テーマ2「日本が宇宙開発において貢献できることは何か」

       主催:宇宙航空研究開発機構(JAXA)
          日本女子大学
展示品を見入る参加者
テレビモニタの土井宇宙飛行士の
意見に耳を傾ける来場者
土井隆雄宇宙飛行士
JAXAは平成16年度より、市民参加による宇宙に関する対話集会「JAXAタウンミーティング」を開催し、広く市民に宇宙活動について知ってもらう意見交換の場を始めました。
これまでに宮崎県都城市(平成16年5月)、群馬県前橋市(平成16年9月)で開催し、日本女子大学でのタウンミーティングはこれに続く東京で初めての開催となりました。
各テーマの最初に登壇者であるJAXA樋口清司理事、的川泰宣広報統括執行役から基調講演を頂きました。
またLCCのテレビ会議を利用して、アメリカのヒューストンで訓練中の土井隆雄宇宙飛行士に参加していただきました。

 当日は日曜日ということもあり、会場には宇宙に関心の高い多数の参加者が大学内外から来場し、定員150名の座席がほぼ満席となりました。
タウンミーティングという議論形式の中で宇宙への質問が目立ったのが少し残念ではありましたが、スペースデプリ(宇宙ゴミ)やH一IIA打ち上げの失敗などの宇宙開発の現状に関する意見が多く出されました。
また宇宙で国際サミットを開いてはという意見も出され、会場を大いに沸かせました。

 最後に的川氏から、地球を守るための新たな視点として、宇宙から地球を観察することが必要であるとし、また今後人間が宇宙に進出することや、有人宇宙ロケットの開発についてさらに議論を深めていきたいと会をまとめられました。

 会場ロビーでは、宇宙服(船外活動服、フライトスーツ)や宇宙食、日本のH−IIAロケットやきぼうモジュール模型等の宇宙に関する展示も合わせて行いました。
宇宙から見た地球の映像が会場内で放映され、大勢の来場者が普段見ることの出来ない宇宙の世界に興味深く見入っていました。

 またこの展示品は、15日(水)まで、一般公開を行い、付属幼稚園生、附属小学校の5・6年生や大学生や近くお住まいの一般来場者などの見学者でにぎわいました。
園生の中には、2度足を運んで見学した子どももおり、小さな子どもにとっても宇宙はとても魅力的に映っているようでした。

第13回生活安全保障セミナー「化学物質の安全性ー医薬・農薬・生活関連化学物質」の開催について

 化学物質は人体に悪影響を及ぼすもの、環境を破壊するもの等々、化学物質は日常あまり良いイメージを持たれていません。しかし、病気を治す医薬品も、化粧品も、携帯電話の材料も、すべてが化学物質。しかし取り扱い方一つで役に立ったり、危険性も発揮するという、いろいろな顔も持っています。この有用性と安全性を知ることによって、便利で安心した日常生活が送れるようにと企画したのがこのセミナーです。

 講師は岡崎廉治本学理学部教授、中澤裕之星薬科大学薬学部教授、資生堂リサーチセンター主任研究員萩野滋延氏で、「化学物質のかたちと働き」「生活関連物質の光と影」「化粧品の安全性」について、分かりやすいパワーポイントを使われての説明に、150人収容の会場を埋めつくした参加者からは活発な質問が相次ぎ、会場は熱気に包まれていました。

 このセミナーは本学総合研究所人間生活科学研究センターが、生涯学習総合センターとの共催で行ったもので、主催者一同地域貢献に寄与できたのではないかと思っています。