Liquid Crystal
原理
1. 液晶とは
物質の状態は一般に、気体・液体・固体(結晶)の三つの状態に分類されるが、これに加えて液体と結晶の両方の性質を持つ液晶状態が存在する。
液晶は液体のように流動性があるにもかかわらず、結晶のように分子の方向は何らかの秩序(異方性)を持つ状態である。
また、液晶はその分子配列により、スメクティック液晶、ネマティック液晶、コレステリック液晶のように分類され、
二枚のガラス基板で挟んで液晶セルを作り顕微鏡で観察してみると、同じ液晶でも各種の分子配列をとることからガラス基板の表面の状態により様々なパターンが現れる。
2. ネマティック液晶とコレステリック液晶
(1) 液晶ディスプレイの仕組み
液晶ディスプレイは、液晶を二枚の透明電極付きガラス基板と偏光板で挟んだものであり、電圧をかけることで液晶分子の向きを変えることができる。
液晶の配向には水平配向と垂直配向があり、何もしない状態では、液晶分子は基板に対して水平であり、電圧をかけると垂直になる。
最も多く用いられているのがTN型液晶ディスプレイである。
二枚のガラス基板と偏光板を透過軸が直交するように配置し、上下の偏光板に対してそれぞれ分子が水平配向となるようにすると、液晶分子は90度ねじれた構造となる。
この液晶のねじれ構造を光が通過する際にねじれに沿って偏光の方向が回転していくため、光は透過する。電圧をかけて液晶分子の向きを変えると、ねじれ構造がなくなり、光が透過しなくなる。
(2) ネマティック液晶
ネマティック液晶は液晶分子が一定方向にそろって並んでいるが、整然とした層状の構造にはなっておらず、一次元の結晶性を持つ。
ネマティック液晶の各々の分子は長軸の方向に自由に動くことができるので、粘性が小さく、流れやすい。
また、磁界や電界、さらには表面張力などにより、液晶分子の向きを一定方向にそろえることができるという特徴があり、ネマスティック液晶は表示素子などに広く応用される。
(3) コレステリック液晶
コレステリック液晶は、ある層内で分子が一方向にそろったネマティック液晶の場合に似た分子配列をとっているが、隣り合う層ごとに少しずつねじれており、らせん構造になっているのが特徴である。
このらせんの回転方向には右回りと左回りの二種類があり、図1のようなそれぞれ360度回転した時の層の厚みをピッチと呼ぶ。
コレステリック液晶のらせんピッチは物質によって非常に長いものから、可視光線の波長、すなわちオングストローム程度のものまでいろいろなものがある。

図1 コレステリック液晶のらせん構造
コレステリック液晶が色付いて見えるのは、選択反射をしているためである。
特定の波長を選択的に反射することで、その波長の色を見ることができる。
図1より、1/2ピッチ毎に液晶分子の配向が等しくなる。
ピッチの長さによって波長が異なり、色の違いも生じる。
入射光は式(1)に示すブラッグの条件と同じ条件に従って反射される。
2(p/2)nsinθ=mλ (1)
(mは反射次数、λは選択反射波長、pはピッチ長、nは屈折率、θは入射角(=反射角))

図2 選択反射の原理
3. HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)と塩について
HPCは白い固体で、においはほとんどない。食品添加物や医薬品の原料として使用されており、水を加えると、白濁または色付いて見える。
この色付いて見える状態がHPC水溶液がコレステリック液晶になって、選択反射している状態である。
おおよそ波長が380〜770nmの光は可視光線と呼ばれ、目で見ることができる。
HPC水溶液は濃度によってコレステリック液晶のピッチが変化し、さらにこの白濁した状態はミルキーゲルと呼ばれ、温度が一定以上になるとこの状態になる。
また、HPC水溶液に様々なイオンを加えると、カオトロピック効果によってピッチが変わることも論文に報告されている。
日本女子大学理学部数物科学科