実験手順

撮影光学系
実験手順
実際の再生例

撮影光学系

 図3-1は、今回私達が撮影したデニシュクホログラムの光学系です。 レーザの光はとても幅が狭いため、被写体全体の物体光を得るために、対物レンズを通してビーム経を拡散させます。
レーザを入射することで被写体から反射した物体光と参照光が記録材料上で干渉し、ホログラム上に記録されます。
 実際に私達が組んだ光学系が図3-2です。レーザは633nmのHe-Neレーザを使用し、対物レンズの倍率は40倍のものを使用しました。
 今回はフランスの Ultimate 社製の記録材料(R-70とR-0shift)を使用して撮影を行いました。
 R-70とR-0shift の違いは、再生される像の光の波長(色)です。 今回使用したHe-Neレーザの波長は633nmで、赤色です。 R-70でホログラムを撮影すると、再生される像の波長は、633-70=563nm、緑色になります。 0shift はシフトなし、つまり同じ赤色で再生されます。

図4-1
図3-1 デニシュクホログラムの撮影光学系

図4-2
図 3-2 実際の撮影光学系

実験手順

記録

 光学系の光軸合わせを終え、光量を測定して被写体を置く位置を考えます。 配置を終えたら、乾板が感光しないよう暗室内で作業を行います。乾板の裏表を確認しセットした後、 空気の流れや振動を抑えるため一分待機し、シャッターを開いて露光しました。

現像

 事前に調合し室温に戻した専用の現像液に、取り外した乾板を浸します。 おおむね4分ほど浸した後水で軽くすすぎ、同じく室温に戻した漂白剤で3分ほど透明になるまで漂白しました。 その後水洗いし、ドライヤーで乾かしました。

再生

 再生光はレーザ光のような平行光を用いると最も綺麗に観察できるので、 ハロゲンランプを遠くから照らし、擬似的な平行光を作り再生を行いました。

実際の再生例

 今回私達が撮影したホログラムは、合計4枚です。そのうち2枚はホログラムについてのページで紹介しました。
ここでは撮影した残りの2枚のホログラムを紹介します。どれも紆余曲折を経て撮影出来た作品たちですので、ぜひ実際にご覧ください!

親鳥と小鳥たち

 この作品では、横向きの運動視差を実感してもらえるように被写体を配置しました! 図3-4aでは、親鳥の頭と、後ろの右端の小鳥が重なっています。 また、後ろの小鳥たちは真横に連なっています。 左から見ると(図3-4b)、親鳥と小鳥の重なりは消え、小鳥たちは縦に連なっているのが観察できます。
図4-3 図4-4a 図4-4b
図3-3 実際の鳥の被写体              図3-4a 正面から見たとき   図3-4b 左から見たとき

夕焼けを眺めるうさぎ達

 この作品は、上下の運動視差を感じられるような配置を行いました。 手前の柵にご注目ください。図3-6aでは、柵はうさぎの前にあり、うさぎの一部分を隠しています。 ホログラムを上から見ると(図3-6b)、柵はうさぎを隠さなくなり、柵の影がうさぎにあたっているのが観察できます。
図4-5 図4-6a 図4-6b
図3-5 実際のウサギの被写体         図3-6a 前から見たとき    図3-6b 上から見たとき