ヘルシーメニューって?
ヘルシーメニューという言葉はよく使われますが、きちんとした定義はありません。
日本での公式文書への最初の登場は、2000年から厚生労働省がすすめている第3次国民健康つくり運動「健康日本21」と思われますが、ここでも突然「ヘルシーメニュー」という言葉が出てきますが、それがどのようなものかは全く示されていません。
私たちの研究室では、「健康日本21」に先駆けて、全国のホテル・旅館・食堂・レストランでのヘルシーメニュー提供実態の調査を1999年より続けています。
しかし残念ながら未だにほとんど提供されるに至っていません。
理由はいろいろあることも私たちは調査で明らかにしていますが、簡単に言ってしまえば、社員食堂のような栄養士が常置されているところでは、提供できるけれども、栄養価計算できないところでは提供できないということのようです。
よくヘルシーという言葉は使われます。
お豆腐はヘルシーとか、お魚はヘルシーなどといわれますが、私たちが考えているヘルシーメニューは、特定の食材を使うことではありません。
健康に気遣う人なら誰もが全部食べても大丈夫、という食事です。
1食で考えるならば、エネルギーが600kcal程度、エネルギー比でたんぱく質20%以下、脂質25%未満、残りが炭水化物、塩分3g未満(できれば2g未満)を満たすことが最低基準で、
その上できれば、ビタミン、ミネラル、食物繊維が1日必要量の1/3以上含まれる食事ということになります。
たんぱく質も本当は15%までとしたいところですが、旅館・レストランのようなおいしいものを食べるという状況では、メニューが成立しなくなりますので、妥協した数字です。
私は、2002年から2004年にかけて、女子栄養大出版部発行の「栄養と料理」誌の連載で全国40軒ほどのヘルシーメニュー提供施設に実際に食べに行かせていただき、レシピも検討させていただいたことがありますが、前述の定義に合致する料理を提供しているところは残念ながらありませんでした。旅館の夕食では、品数が多すぎて、エネルギー、たんぱく質、脂質、塩分がどうしても多くなってしまうのです。それでも通常の料理よりは低エネルギーになっており、大変な努力をしてメニューは作られていました。しかも、地元保健所の栄養士さんと共同してメニューつくりをしているところもありましたが、栄養士がいないところがほとんどで料理担当者が栄養価計算をしていました。
さて、そのような現実を見聞して考えました。フルコースで、前述の条件を満たすような料理はできないのだろうか?
当ホームページで紹介しているメニューは、私たちの研究室で卒業研究として学生が作成した、前述の条件を満たすフルコースメニューです。
レストランなどと異なり、あまり高級な食材を使っていませんので、そのままでは参考にならないかも知れませんが、何度も試作して、全員で試食して完成させていますから、一定の水準には達していると思います。
この中のいくつかは、実際に私たちが支援している糖尿病患者会で食べていただき評価もしてもらってもいます。おおむね好評でした。
ヘルシーメニューを作ってみたい、店で提供したい、しかし、どうしたらよいか分からないという個人の方、お店の方、私たちがお手伝いいたします。ぜひご連絡ください。
ヘルシーメニューを必要としている糖尿病あるいは予備軍の方は、2210万人いますし、肥満の方は国民の30%に迫っています。また、塩分制限の必要な血圧の高い方は、30歳以上の70%にも達するのです。どこででもヘルシーメニューが提供される時代が来て欲しいと私たちは願っています。
本間 健
「全国の保健所における『栄養成分表示』と『ヘルシーメニュー提供』推進の状況」栄養学雑誌 2008年第5号247頁
