ブルーノ・ネトル氏の講演
まず私自身が手伝ったワークショップについて述べたい。2010年8月2日(ISME北京大会2日目),日本女子大学からの日中韓のメンバーが「日本と中国と韓国の伝統的なリズム・パターンを基にしたグループ即興を楽しもう」というワークショップを行い,お囃子の締太鼓奏者として私も参加した。①3国の伝統的なリズム・パターンをもとにして即興を楽しむこと,②3国の音楽に「共通するもの・独自のもの」を知ること,③新たな創造への展開を探ること,を目的としたこのワークショップは,立錐の余地もない程の参加者で埋まり,後半は聴衆も参加しての太鼓合戦となり,あつい熱気に包まれた。
多くの催しの中で私が最も関心を持ったのは,『世界音楽の時代』の著者として知られるブルーノ・ネトル氏による「音楽教育と民族音楽学の調和のとれた関係」というテーマの基調講演であった。講演は英語,訳は中国語でパワーポイントに映し出されたが,私は中国語を学んでいたことがあり,主にこのパワーポイントを見ながら講演を聞いた。その中でも「全ての音楽は他の文化に影響されており,音楽は,誰でも理解できる共通言語ではなく,文化間,そして社会間を表現し,解釈されているものである」という言葉が印象的であり,更にこうした音楽の中からネトル氏自身が選んだ曲に彼の解説を交えて聴くことできたことが,本からだけでは得られない大きな収穫であった。
中国には「聞いたことは忘れ,見たものは覚え,体験したことは忘れない」ということわざがある。今回のISME北京大会を通し,文献を読んで理解するだけではなく,見たり聴いたりしたのちに自らが体験することが,実となり骨となるのだと,ISME参加初めての私にも実感できた機会であった。
本大学では,「研究・教育活動における一層の充実をはかり、対外的競争力をもつけるための重点的な資金援助をする制度を設け、大学における幅広い研究・教育活動の活性化を推進すること」を目的とした「特別重点化資金」という支援策がある。この制度のお陰で,私は本大会に参加することができた。これまでとは違った視点を持つことができ,こうして新たに広がった視野を糧にして今後の研究へとつなげていきたいと思う。
(文責:児童学専攻修士1年次 M.S.)
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