「森の木の葉がマイクロプラスチックを捕まえる」
マイクロプラスチックというと、海に流れ込んだプラスチックが生物に悪影響を及ぼしている、という報道などを連想する方が多いと思います。でも、私たちが呼吸している空気の中にもマイクロプラスチックが存在しているのを知っていますか?
プラスチックは私たちの生活に欠かせないとても便利なものです。現在、プラスチックによる環境汚染が問題になっており、プラスチックの使用量を削減しようという動きが広がっていますが、プラスチックのない生活は考えられません。プラスチックの優れた点として、分解されにくいことが挙げられます。しかし、こうした性質ゆえに、プラスチックは小さく砕けても分解されず、環境を汚染してしまうのです。マイクロプラスチックというのは、砕けて5 mm以下の大きさになったもののことを言います。近年、プラスチックは海だけではなく大気も汚染していることがわかってきました。それが、大気中マイクロプラスチックです。大気中マイクロプラスチックは大気の中を漂うので、海の中のマイクロプラスチックに比べてかなり小さく、粒子径は100 µm以下とされています。大気の中を漂いながら運ばれ、世界規模での汚染が生じていることが明らかになってきています。大気中のマイクロプラスチックは呼吸によってヒトにも摂取されるため、人体への影響も懸念されています。このようにマイクロプラスチックは新たな大気汚染物質として着目され始めました。
私たちは、森が大気中のマイクロプラスチックの浄化に果たす役割について研究しています。森の木の葉のある部分を樹冠といい、「樹の冠」と書きます。汚染物質を含む大気が森林内に入ると、樹冠部分に汚染物質が捉えられ、空気が浄化されます。森がフィルターのようになって、そこを通過する空気を浄化するので、森林フィルター効果と呼ばれています。日本女子大学は神奈川県の西生田にキャンパスがあり、そこにはコナラやクヌギを中心とする森が広がっています。この森を使った研究で、森の木の葉がマイクロプラスチックを捕らえていることがわかってきました。
まだまだわからないことだらけの大気中マイクロプラスチック。私たちと一緒に、森を使って研究してみませんか?



