機器紹介
化学生命科学科の実験授業で使用する機械や器具について解説します。
マイクロピペッター+クリーンベンチ
使用する授業
解説
顕微鏡と並び、メディアなどで「生物系(医学/薬学/農学系)研究」のイメージで映される定番の機器です。マイクロピペッターは液体を計り取る機器で、メスシリンダーはミリリットル(ml)スケール、マイクロピペッターはその1/1,000のマイクロリットル(µl)スケールを計る時に用います。クリーンベンチは、ホコリや雑菌などの混入を避けるための作業スペースです。フード内にフィルターを通したキレイな空気が送り込まれ、手を入れるところから空気が出ていく仕組みです。使用しない時は、密閉して紫外線で滅菌します。
PCR機
使用する授業
解説
新型コロナウィルスの蔓延によって、一般人にも身近な言葉となった「PCR」は、polymerase chain reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)の略で、1993年にノーベル賞を受賞したK. Mullis博士(1944-2019)が発明した画期的な実験手法です。PCRを行うには少量の液体の温度を正確に上下させる必要があり、そのための機械がこのPCR機です。正式にはサーマルサイクラー(thermal cycler)であり、PCR以外の様々な反応にも使用されます。
蛍光顕微鏡
使用する授業
解説
蛍光顕微鏡は、細胞や組織の詳細な構造を観察するために使用されます。細胞内の構造に蛍光物質を取り込ませ、蛍光顕微鏡を用いて特定の波長の光を照射することでこれらの構造を光らせることができます。例えばGFP(緑色蛍光タンパク質)を作るように形質転換した生物を用いれば、生きたままの細胞で特定のタンパク質の動きを観察することが可能です。
ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分析装置
使用する授業
解説
オーロラはプラズマという電離した気体の中で、原子が発光する自然現象です。このICP発光分析装置の中では、アルゴンのプラズマの中で、試料を発光させます。高校で習う炎色反応が元素特有の色を示すように、発光する光は元素に特有な波長を示すため、元素の種類がわかり、また発光強度から、どれだけの量があるかも知ることができます。環境分析化学実験では、河川水や池の水に含まれている鉄イオンやマンガンイオンの量を調べるのに使用しています。
X線回折装置
使用する授業
解説
X線は可視光線や紫外線と同じ電磁波の一種です。X線は、胸部レントゲン検査や骨折したときに病院で骨の写真を撮影するのに使用されていますが、これはX線の透過性が骨や臓器によって異なっていることを利用しています。一方、化学や生物学、物理の実験でも X線を物質に照射したときに起こる様々な現象を利用しています。このX線回折装置では、結晶にX線を照射した際に生じる回折線を使って、原子や分子の並び方、位置関係を知ることができます。
分光蛍光光度計
使用する授業
解説
蛍光は物質が吸収した光のエネルギーを再び光として出す現象です。蛍光を持つ物質は私たちの生活の中でも利用されており、身近には蛍光灯が可視光を出す仕組みにも使われています。蛍光物質は微量でも検出することができ、化学や生物学での特定物質の検出や医療診断で利用されています。機器分析実験では、水溶液に微量に存在するアルミニウムの量を調べるのに分光蛍光光度計を使っています。