植物生理学研究室
指導教員

専門分野
植物生理学、進化生物学、分子生物学、細胞生物学
陸上植物に近縁なストレプト藻類から、陸上植物への進化を考える
私たちの研究室では、ミカヅキモ、アオミドロなどのホシミドロ藻綱に属するストレプト藻類を主な研究対象にして、植物の有性生殖の基礎と植物が多細胞化・陸上進出を果たした遺伝的背景を探る研究を行っています。そのために、次世代シークエンサーを活用したゲノム解読・遺伝子発現解析と、関連する遺伝子に関する突然変異体作出、生理学、生化学、および分子生物学的手法を駆使した表現型解析を進めています。
現在の陸上植物は、ストレプト藻類(シャジクモ藻類)との共通祖先から進化して、陸上進出を果たしてきたと考えられています。陸上植物とストレプト藻類を総称してストレプト植物と呼びますが、ストレプト藻類の中でもミカヅキモやアオミドロを含むホシミドロ藻綱と陸上植物が姉妹系統群を構成することが明らかになっています。研究で主に用いているヒメミカヅキモは、ミカヅキモ属の中でも小型な形態種で、「研究対象として優れた性質」を持っています。具体的には、(1)無菌的な培養環境で、均質な材料を得ることが容易、(2)ゲノムサイズが約350 Mbと比較的小さい、(3)陸上植物と共通する多くの遺伝子を持っている、(4)ストレプト藻類で唯一、遺伝子組換えやゲノム編集ができる、などが挙げられます。また、アオミドロはヒメミカヅキモに比べて、実験条件が定まっておりませんが、ゲノムサイズが更に小さく、ヒメミカヅキモ以上に陸上植物と共通する遺伝子を持っている多細胞生物であるという魅力的な点があります。
これらの藻類は、花を咲かせる植物に比べて華やかさはありませんし、見た目には単純な形態を持っていますが、陸上植物の有性生殖、発生、形態形成、情報伝達などに関係する多くの遺伝子をゲノム中に含んでいます。ヒメミカヅキモやアオミドロを用いて逆遺伝学的解析を進めることで、植物の進化の謎に迫りたいと考えています。
これまで研究室で進めてきた研究テーマの一部を以下に記します。その他の研究テーマについては、以下のURLから研究室HPをご覧ください。
(1)ホモタリックなヒメミカヅキモを用いたCpMinus1N遺伝子破壊株確立の試み
(2)ヒメミカヅキモのMADS-box遺伝子の機能解析
(3)アオミドロの形質転換系確立の試み
(4)ヒメミカヅキモにおけるアブシジン酸生合成酵素アルデヒドオキシターゼの解析
研究室HP
https://mcm-www.jwu.ac.jp/~sekimoto/
