分析化学研究室
指導教員
専門分野
生物分析化学、マイクロタス
マイクロデバイスを用いた血管モデルの開発
化学実験では普通、試験管やフラスコを用いますが、私たちの研究室では、マイクロ流体デバイスという髪の毛の太さほどの流路を持つ小さい容器を使って実験しています。マイクロ流体デバイスとヒトの細胞を使って、小さい組織モデルを作ることもできます。私たちの研究室では、動物実験に替わる試験法として、血管のモデルを作ることを目標に研究しています。
医薬品や化学物質が生物に及ぼす影響を評価する方法として、現在、動物実験が行われています。動物とヒトとの違いや、動物愛護の観点から、近年は、ヒトの細胞を用いた方法も行われるようになっています。しかし、培養皿で培養した一種類の細胞では、生体内の機能を評価できない場合もあります。特に血管は、血液の流れという物理刺激のある環境で評価する必要があります。その要求に応えるために、私達の研究室では、血液の流れを模倣する条件で培養するための容器や、血管を構築する複数の細胞を組み込む培養方法を開発しています。
血管は日本人の死因上位3位である「がん・心疾患・脳血管疾患」に深く関係し、私達の開発した技術が将来、現在の医療で必要とされている治療法の開発への道筋を拓くことを願って、日々研究をしています。
これまで研究室で進めてきた研究テーマの一部を以下に記します。
(1)肺高血圧症研究のためのマイクロデバイスの開発
(2)血管・リンパ管透過吸収試験デバイスの開発
(3)力学的刺激を与えるマイクロデバイスを用いた血液細胞分化の研究
(4)ゼラチン製ウェルデバイスを用いた毛細血管網の構築
これまでの成果をまとめた総合論文です。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunsekikagaku/71/1.2/71_53/_pdf/-char/ja