
研究活動
研究課題一覧
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※研究員・客員研究員の所属・役職は研究開始当初におけるものです。
年代別
2020年代
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8119世紀後半から第二次世界大戦までの演劇界における女性の自立:日本、イギリス、フランスの比較
紀要PDF
研究期間
2022年4月1日~2025年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 坂井妙子(人間社会学部文化学科教授)
- 研究員(分担者)
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川端康雄(文学部英文学科教授)
鈴木幹子(附属中学校教諭) - 客員研究員
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佐々井啓
米今由希子
佐藤恭子
研究目的
本研究は、これまで行ってきた女性の自立に関する研究の一環として、演劇界における女性の果たした役割について明らかにする。女性の自立は、女性たちが職業を得て社会に進出し、経済的な自立を得ることに因る。そこで、女性の地位についてさまざまな事象が起こってきている19世紀後半から20世紀前半を考察対象とする。イギリスにおいては女性の経済的自立と社会的権利の要求が高まり、女性解放運動が起こってきた。そのような背景を踏まえて、まず演劇を中心としたそれぞれの時期の文化的な背景を明らかにする。その後、演劇にかかわる女性たちについて、女優、衣装製作などを取り上げ、当時の文献として演劇関係の雑誌記事や女性の職業に関する記事等を収集する。さらにイギリス、フランス、日本について分担して調査研究した結果を比較し、それぞれの国における女性の地位や職業観の違いについて討議し、その特徴を明らかにする。特に日本については、日本女子大学校および附属高等女学校の卒業生についての調査を行い、さらに参考として20世紀後半の卒業生の動向も明らかにする。具体的には以下のような研究を行う。
坂井は演劇衣装の製作を中心的に行ったロンドン、コヴェント・ガーデン地区における衣装屋を調査し、この業界における女性の活躍の詳細と社会的意味を明らかにする。
川端は、イギリスについて19世紀半ば以降およそ100年にわたる女性の社会的地位の変化を概観したうえで、この期間の演劇界への女性の貢献について考察する。
鈴木は女優や演劇にかかわった本学卒業生について調査し、本学の教育理念との関わりを考察する。
佐々井は19世紀末のイギリスにおける「新しい女」を描いた演劇とその女優及び「女性解放運動」の演劇と衣装について検討する。
米今は、イギリスで上演された日本をテーマとした演劇において衣装とそれを演じた女優について調査を行い、さらに登場する女性たちがどのように描写されているのかを調べ、女性の地位や職業観について検討する。
佐藤は、フランスの演劇について演劇文化雑誌、女性誌を中心に検討し、女優をとおして発信されたモードや様々な活動情報が、女性の自立に与えた影響を明らかにする。 -
80ウィリアムズ症候群の家族を対象とした生涯発達支援プログラムの構築
紀要PDF
研究期間
2022年4月1日~2024年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 根津知佳子(家政学部児童学科教授)
- 研究員(分担者)
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和田直人(家政学部児童学科教授)
安藤朗子(家政学部児童学科准教授)
甲斐聖子(家政学部児童学科助教) - 客員研究員
- 吉澤一弥
研究目的
ウィリアムズ症候群は、染色体異常に起因する小児科領域の難治疾患である。全般的な発達の軽度の遅れ、絶対音感の保有者が多いなど音楽への親和性の高さ、人懐っこさ、視空間認知の未発達などの特徴を有する。1990年代には、音楽を用いた支援法であるミュージックキャンプがアメリカを中心に実施されていて、わが国でもウィリアムズ症候群の家族のニーズに応えるべく、2001 年に根津らが国内で初めてのミュージックキャンプを主宰した経緯がある。当初、幼児であったキャンプの参加者も成人となり、家族支援等の課題も変容している。平成30年度~31年度課題69「ウィリアムズ症候群の視空間認知特性の研究―主として投影法心理検査を用いた解析―」では、17歳から28歳の7名の被験者に対して、心理学的検査(①ベンダーゲシュタルト検査②ロールシャッハ③風景構成法)を実施した。臨床心理学による解釈と美術教育および構成学による解釈を加えた結果、①では、共通特性としてゲシュタルトとしての全般的情報処理の困難が示され、②では、反応領域の知覚において全体領域ではなく部分領域優位の認知と結合性の無さ、決定因においては形態(F)優位であるという共通特性が明らかになった。また、決定因から委縮型と非・萎縮型に分類する独自の試みを行った。さらに、③では、絵画表現における統合性の欠如と奥行き知覚の困難が示唆された。この結果は、被験者や保護者に伝えただけではなく(2019.3.11)、第19回日本音楽療法学会学術大会自主シンポジウム(2019.9.22)において成果を発表した。その後、令和2年度~令和3年度研究課題76「ウィリアムズ症候群のための“支援プログラム”の開発~投影法心理検査を基盤として~」では、課題69で得られた成果を基盤とし、具体的な“支援プログラム”を構築した。特に「図と地の知覚」に関する課題に焦点を当て、家族や関係者(教育・福祉・心理・医学)などを含む総合的なプログラムの開発を行った。本研究では、研究課題69と76を基盤とし、ウィリアムズ症候群のライフステージ全体を通した家族支援プログラムの構築をする。具体的には、就学前、学齢期、成人期を対象とした家族支援プログラムの開発、遂行、評価を行い、期限内にPDCAサイクルをまわすことを目指す。また課題69、課題76と同様に多職種・異分野の専門家による協働プロジェクトの活動形態であることから、専門家間の効果的な連携を促進する要因とシステム作りについても検討したい。 -
79日本女子大学の草創期における欧米思想の受容―女性の自立と平和をめぐる卒業生たちの活躍
紀要PDF
研究期間
2021年4月1日~2024年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 内山加奈枝(文学部英文学科准教授)
- 研究員(分担者)
- 高梨博子(文学部英文学科教授)
- 客員研究員
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増子富美
三神和子
増田和香子
高村宏子
牛山通子
研究目的
欧米社会において19世紀から20世紀初頭にかけて活発になった女性解放運動の中で、女性の自立に目覚めたあと平和運動を目指すフェミニストは少なくなかった。女性としての自覚と平和が彼女たちの中で結びついたのである。当時の日本の女性たち、とくに1901年の開学以降の日本女子大学草創期における学生や卒業生の中でも女性としての新しい生き方を考えながら、視点を女性の自立から平和へと拡げていった者が少なからずいた。そのとき彼女たちに影響を与えたのが欧米のフェミニストたちの思想である。彼女たちは女性としての生き方の模索と自覚のあと平和を志向するようになる。婦人平和協会を立ち上げたメンバーである井上秀、上代タノがアメリカのジェーン・アダムズに影響を受けたことはよく知られている。英文学科出身の高良とみ、国文学科出身の小橋三四も平和を訴えている。では、日本女子大学の先輩たちは西洋思想の何から、フェミニストの誰から、女性の自立の考えや平和思想を摂取し、自分のものにしていったのであろうか。女性の自立と平和という文脈において、草創期の日本女子大学がどのような役割を果たし担って来たのか、また当時の先輩たちがそうした西洋思想をいかように受容し、精神的糧としたのかを研究することを本プロジェクトの目的とする。これまで光があてられてこなかった人物にも光をあて、より具体的に考察したい。
これまでの3年間(2018年から)の研究において、成瀬仁蔵はもとより、卒業生としては、上代タノ、井上秀、大橋広、田中孝子を、そして成瀬、および彼女たちに影響を与えたと思われる思想家、およびフェミニスト、平和運動家として、ジェーン・アダムズ、(家政学の創始者であり、エコロジーという言葉の普及者。および、『家庭週報』に写真入りで掲載されている)エレン・スワロウ・リチャード、マリオン・タルボット、ジョン・デューイ、田中王堂、に着目し、研究を進めてきた。総合研究所の研究費でシカゴ大学に行かせていただいた成果は大きい。シカゴ大のアーカイブズで調べた結果、シカゴ大学に留学した大橋広、田中孝子の履修記録、当時のカリキュラムなどを探しだすことができ、また、そこから、シカゴという街とジェーン・アダムズが友人と創設した慈善施設ハルハウスとのかかわり、シカゴ大学教授のマリオン・タルボット、シカゴ大学を中心にジョン・デューイが唱道したプラグマティズム思想、それを日本に持ち込んだ田中王堂、ジョン・デューイが来日の際に成瀬を訪問したことなどを再認識し、研究を進めることができた。大橋広、ジェーン・アダムズ、ジョン・デューイといった個人の単位はもちろんだが、そのほかに、当時のシカゴという街及びシカゴ大学という存在と日本女子大学との間に強いつながりがあることを見出すことができたのである。新しい発見である。
これからの3年間で、上記の研究、とくに田中孝子、上代タノ、大橋広、井上秀、ジェーン・アダムズ、マリオン・タルボット、エレン・スワロウ・リチャードの研究をさらに進め、マリオン・タルボットがエレン・スワロウ・リチャードと一緒に1881年に創設した全米大学女性協会(AAUW)について、また、上記の二人やジェーン・アダムズと同時期に活躍し、交流もあったシャーロット・ギルマンの主張、彼女たちの女性の自立や平和についての思想が成瀬や日本女子大学に与えた影響を考えたい。
井上秀が留学したコロンビア大学、ジェーン・アダムズの資料があるスミス大学などのアーカイブズを訪れ、自分たちの手で資料を発掘したいとも考えている。 -
78スウェーデンで学ぶSDGsプログラム―全学共通科目の開発―
紀要PDF
研究期間
2021年4月1日~2024年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 田部俊充(人間社会学部教育学科教授)
- 研究員(分担者)
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定行まり子(家政学部住居学科教授)
浅野由子(家政学部児童学科講師)
宮崎あかね(理学部化学生命科学科教授 副学長)
請川滋大(家政学部児童学科准教授)
安藤朗子(家政学部児童学科准教授)
齋藤慶子(人間社会学部教育学科准教授)
今井康雄(人間社会学部教育学科教授)
藤崎和香(人間社会学部心理学科准教授) - 客員研究員
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研究目的
本研究は,学内の教育・児童・環境・SDGs(持続可能な開発目標)の研究者による,スウェーデンのウプサラ大学とのSDGsプログラム及び全学共通科目としての海外留学プログラムを開発することを目的とする。
日本女子大学スウェーデン海外研修は,2014年,2015年,2016年度と継続して得た日本女子大学特別重点化資金(定行まり子代表)により学内の学際領域による研究者の合同調査を行い,共同研究として就学前教育から高等教育までの調査内容をESDの視点でまとめた(田部ほか2017)。その成果等を踏まえ,大学公認海外短期研修として,2016年度(2017年3月(第1回))に36名,2017年度(2017年9月(第2回))に23名,2018年度(2019年3月(第3回))に63名の全学にわたる学部生・大学院生の参加者を得た。
また,代表者たちは地域連携活動の実績もあげており,総合研究所研究課題54「大学の総合力を発揮した地域連携活動の試み」(2012年4月1日~2015年3月31日)の代表者として,西生田キャンパスの「多摩区・3大学連携事業」の協定,共同シンポジウムやフォーラム,川崎市や狛江市との「連携・協力に関する基本協定」を提案し,地域連携活動団体SAKU LABOや読売ランド駅前プロジェクト等の活動にも協力してきた。また研究課題61「日本女子大学における学生を主体とした地域連携活動の活性化のための調査・研究」(2015年4月1日~2018年3月31日)の代表者として,地域連携活動を推進した。「学校研究協力事業」では「学校教育ボランティア」,「学校インターンシップⅠ・Ⅱ」の授業科目化を行い,川崎市多摩区,東京都狛江市,附属幼小との連携活動,附属豊明小学校との授業を通した研究協力を進めている。
本研究の目的は,「スウェーデンとの国際研究協力」と研究課題54,研究課題61で追究してきた地域連携活動」を連携させることにある。特に,スウェーデン海外研修を充実させ,海外留学プログラムを開発することを目的とする。①海外短期研修の事前調査(ウプサラ大学,就学前学校,義務教育学校,高等学校)を行って充実を図る。②学内の教育・児童・環境・SDGs(持続可能な開発目標)の研究者による海外研修の事前指導を充実させ,全学共通科目として単位化を図るとともにウプサラ大学とSDGsプログラムの共同開発を行う。③地域連携活動としての教育機関との連携で附属をはじめ東京都教育委員会,文京区,豊島区,中野区,板橋区,川崎市,横浜市の各教育委員会との連携を実績として,ウプサラ大学との国際研究協力を行いたい。その結果,双方の研究者,学生とも多くの成果が期待できる。 -
77生活の視点から考える産業・地域・生活の持続可能性
紀要PDF
研究期間
2021年4月1日~2024年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 額田春華(家政学部家政経済学科准教授)
- 研究員(分担者)
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大塚美智子(家政学部被服学科名誉教授)
松梨久仁子(家政学部被服学科准教授)
武本歩未(家政学部被服学科講師)
奥脇菜那子(家政学部被服学科助教)
天野晴子(家政学部家政経済学科教授)
小野寺研太(家政学部家政経済学科准教授)
倉田あゆ子(家政学部家政経済学科講師)
宮晶子(家政学部住居学科准教授)
鯨岡詩織(家政学部被服学科助手) - 客員研究員
- 大田康博
研究目的
本プロジェクトは、生活する側の視点である「持続可能性」や「多様性」、「公平性」、「互恵性」のような価値を含む本学が大切にしてきた視点が、現代社会の中でどのような役割を果たしうるのかを理論面と実践面の両面から検討しようとするものである。
理論面では、成瀬先生や家政学の母としての位置づけにあるエレン・ヘンリエッター・スワローに始まる生活する側からの視点を、ここでは「生活の視点」と呼び歴史を学びながら現代の思想や社会の中に広まりつつある価値に位置づけることに取り組む。
実践面では、山梨県との産学公連携を生活の視点を大事にしながら取り組み、オンラインと対面での交流を組み合わせながら、本学らしい社会貢献を、文理融合の複数の学科の学生を巻き込んでどのような社会貢献ができるのか挑戦していく。具体的には、今年度学術交流研究費を用いて既に、山梨ハタオリ産地を事例として衣生活の領域における持続可能性を考える教育研究活動に、オンラインでの交流が中心であるが布石として取り組んでおり、既にこの9月にオンライン・シンポジウムを開催し、学生たちが登壇者と熱心な議論をおこなう会を成功させている。この取り組みの成功を足がかりとして、この産学公連携の実践をさらに発展させていきたい。
山梨ハタオリ産地は、戦後、下請け分業構造に埋め込まれることで一時的な繁栄を見せたが、その後国際分業が進み、国内で消費される衣服の国産比率が激減する厳しい環境変化の中で縮小の道をたどってきた。しかしその産地が2000年代後半から自律性を取り戻すことに挑戦し、コアなファンをつくりながら再生してきている。そのプロセスで地元生まれの地元育ちの人たちの小さな世界に閉じこもるのではなく、コミュニティの関係性を域外に広げ多様な人たちを巻き込むことで持続可能な道を切り開いてきていることが、生活の視点からとらえたときに大変興味深い。しかし産地が持続可能性を高めるための次なるステップに向けた課題にも直面している。その一つが「衣生活」と関連づけた産地活性化である。
この課題も含め、産学公共同で取り組む中で、生活の視点を生かした研究・教育を実践しながら、その経験を踏まえ生活の視点の理論的理解を深めていきたい。このように理論面と実践面を両輪で走らせることが目的であるために、このプロジェクトでは学科の枠を超えた多様な専門を持つ先生方をメンバーとしている。理論面では、家政学や生活経済の先生、政治思想の先生、経済学・経営学・中小企業論・地域経済論の先生で、かつ生活の視点の価値を理解してくださっている先生方が参加している。実践面では、被服学の先生、建築・まちづくり領域の先生、経済学・経営学・中小企業論・地域経済論の先生が参加している。理論・実践の両面に関わるのが、代表者額田と大田先生である。 -
76ウィリアムズ症候群のための“支援プログラム”の開発~投影法心理検査を基盤として~
紀要PDF
研究期間
2020年4月1日~2022年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 吉澤一弥(家政学部児童学科教授)
- 研究員(分担者)
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根津知佳子(家政学部児童学科教授)
和田直人(家政学部児童学科教授)
安藤朗子(家政学部児童学科准教授) - 客員研究員
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研究目的
ウィリアムズ症候群は、染色体異常が原因の小児科領域の難治疾患である。平成30年度~31年度課題69「ウィリアムズ症候群の視空間認知特性の研究―主として投影法心理検査を用いた解析―」では、17歳から28歳の7名の被験者に対して、心理学的検査(①ベンダーゲシュタルト検査②ロールシャッハ③風景構成法)を実施した。臨床心理学による解釈と美術教育および構成学による解釈を加えた結果、①では、共通特性としてゲシュタルトとしての全般的情報処理の困難が示され、②では、反応領域の知覚において全体領域ではなく部分領域優位の認知と結合性の無さ、決定因においては形態(F)優位であるという共通特性が明らかになった。また、決定因から委縮型と非・萎縮型に分類する独自の試みを行った。さらに、③では、絵画表現における統合性の欠如と奥行き知覚の困難が示唆された。この結果は、被験者や保護者に伝えただけではなく(2019.3.11)、第19回日本音楽療法学会学術大会自主シンポジウム(2019.9.22)において成果を発表した。
本研究では、課題69で得られた成果を基盤とし、具体的な“支援プログラム”を構築することを目的とする。特に、「図と地の知覚」に関する課題に焦点を当てるが、ここでの支援は、家族や関係者(教育・福祉・心理・医学)などを含む総合的なものである。近年は、様々な研究分野の枠を超えて、ある研究テーマについて複数の分野が協働して検討することにより新たな視点からの成果が得る試みが促進されている。ウィリアムズ症候群の支援法に関しても、従来の単独分野を中心とした研究では支援法の開発に限界があることが、18年間に及ぶウィリアムズ症候群の音楽キャンプの実践からわかった。とくに視空間認知の解明には、投影法心理検査を中心とした臨床心理学の専門性に加えて、解釈と考察の段階では、精神医学と構成学の専門的視点が重要である。これを実現するためには、学内の研究者はもとより学外の研究者にも参加を要請し、いわゆる融合的研究として、総合的観点から研究デザインし成果を得て、それをもとに主としてウィリアムズ症候群の子どもを対象として、発達支援の新しい方法論の確立のために、発達心理学分野の研究も加える。この融合的共同研究のスタイルは、日本女子大学を拠点とする学際的な共同研究・調査の実施に合致すると考える。 -
75女子教育の場としての寮の在り方に関する研究
紀要PDF
研究期間
2020年4月1日~2023年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 薬袋奈美子(家政学部住居学科教授)
- 研究員(分担者)
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宮崎あかね(理学部化学生命科学科教授 副学長)
片山伸也(家政学部住居学科准教授)
江尻憲泰(家政学部住居学科教授) - 客員研究員
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高橋香織
磯田大輔
関村啓太
高橋由香里
早川静
薮下美雪
研究目的
日本の生活・社会を良くするために、女性を人として育てるという創立理念に基づく教育の場として大切にされてきた学寮について、①2020年度から運用される新学寮の自治について、本学の教育の歴史の大きな変化の一場面として観察・記録し、②現存する他の寮舎の資産活用可能性を検討するための実態を調査し、③今後の学寮を通した女子教育の発展についての可能性を検討することを目的とする。
新学寮は、従来配してきた寮監やアドバイザーを廃止し、管理人のみがいる完全な自治寮となる。これは本学の教育寮としての在り方の大きな変化であり、円滑な生活運営への学寮委員会や学生課の係わり方の模索と同時に、自治寮としての自立的運営の立ち上げを見守ることは、本学の歴史にとって重要な記録となるまた今後の可能性を考えるにあたっても、寮地区に現存する建物の利活用のための現状調査は欠かせない。SDGsの観点からも、使い続ける可能性を検討するための基礎的調査が必要となる。
資産活用可能性を検討するための実態調査については、建物の計画面、他の建物への転用の可能性を、平面計画等の建物の状態を踏まえた検討を行う。また、歴史的な建築物としての価値のある建物については、現状の状態の記録をとり、実態を把握する。 -
74西生田キャンパスの森を活用した新規学習プログラムの開発
紀要PDF
研究期間
2020年4月1日~2023年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 砂川俊輔(附属豊明小学校教諭)
- 研究員(分担者)
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宮崎あかね(理学部化学生命科学科教授 副学長)
田中雅文(人間社会学部教育学科教授)
上田実希(理学部化学生命科学科講師)
五十嵐敏文(人間社会学部教育学科教授)
山田陽子(理学部化学生命科学科助手)
青木ゆりか(附属高等学校教諭)
大塚泰弘(附属高等学校教諭)
柴田直子(附属高等学校教諭)
大越佳子(附属中学校教諭)
山本昴宏(附属中学校教諭)
大石円(附属豊明小学校教諭)
勝地美奈子(附属豊明小学校教諭)
吉岡しのぶ(附属豊明幼稚園教諭)
熊谷彩香(附属豊明幼稚園教諭) - 客員研究員
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高木智子
田悟知里
星野義延
大河内博
今市涼子
関口文彦
辻誠治
研究目的
本研究は西生田キャンパスの森を活用して、どのような学習活動が行えるか、検討試行し開発していくことを目的としている。
約18haに及ぶ本学西生田キャンパスの森は、人と自然との関わりの中で存続・維持されてきた典型的な「里山」である。しかしながら、長い間放置されたため、里山に見られる植物の多くが衰退消失し非常に荒れた状態になっていた。そこで2003年度から「理科縦の会」の有志メンバーを中心に、森の保全と教育利用に関する調査、里山の自然再生に向けたプラン作成が行われ、活動が開始された。森の90%以上を占めるコナラ・クヌギ林の下刈りと落ち葉かきの再開に始まった活動は、その後17年間にわたって継続され、コナラ・クヌギ林の再生、尾根に見られるアカマツ林の再生、エビネ、キンラン、タマノカンアオイなどの絶滅危惧種の保全、森林による大気浄化機能に関する研究など、多方面に発展している。こうした森の再生に向けた活動には、本学の附属幼稚園児から大学生、保護者や教職員まで、多くの人々が参加してきた。保全作業という面と同時に、森の再生過程や動植物の観察など里山から学ぶことは、とても多いと感じる。まさに本学園の理念とする実物教育を行う最適な場所ともいえる。
現在は、里山体験として「保全作業を行う公開講座」や「小学生を対象とした観察会」、幼稚園や小学校が農場体験時学習時に行う散策、中学校・高等学校・大学の授業、部活動などに活用されている。しかしながら、内容・形態がルーティン化され、対象・期間などが限定的という側面がある。今回申請課題では、それらを継続しつつも内容等の再検討し、この貴重な里山を活用してさらに効果的で魅力ある新規学習プログラムの開発を行いたい。
また、学習の場として、「森を保全していく活動」や「活動の記録を学内外に発信する」必要がある。この3つの活動を並行して行い、活動研究を行う。
2010年代
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73現代日本における女性とキャリアに関する社会調査データアーカイブ構築にもとづく比較社会学的研究
紀要PDF
研究期間
2019年4月1日~2020年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 尾中文哉(現代社会学科教授)
- 研究員(分担者)
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大澤真知子(現代社会学科教授)
永井暁子(社会福祉学科准教授) - 客員研究員
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研究目的
「女性とキャリアに関する社会調査データアーカイブ」に関し、その構築作業を継続すると同時に、本アーカイブが果たす社会的役割も含め、これについて比較社会学ほかのアプローチで研究調査を行うものである。本研究では、以下のことを実施する。
(a) 第一に、この社会調査データアーカイブは、毎年更新して新しい調査データを入れることを重要な方針とし、またそうすることで、データアーカイブとしての存在意義を保つことができているので、新規に収録すべき、女性とキャリアに関する社会調査を収集・登録する作業が重要である。この中で、一次分析が終了した個票データの寄託についても調査主体と交渉し、可能な場合RIWAC-DAが二次利用に提供できるデータセットを収集、追加する。
(b) 第二に、このデータアーカイブは構築され、インターネットで公開されて以来7年半の歳月を経ている。アーカイブされた社会調査からどのようなことが読み取れるか、また、これらについてどのような利用が行われてきたかについて調査研究を行う。
(c) 第三に、RIWAC-DAは現代女性キャリア研究所のシンポジウムでの発表を除いては、学外との交流が主であったが、今回総合研究所の課題として応募することで、報告書・紀要・公開研究会等を通して学内とりわけ総合研究所、総合研究所の他の課題との交流を促進する意義があると考えられる。 -
72日本女子大学卒業生小林孝子の衣服標本研究-1930年代の日本女子大生とその家族の衣生活-
紀要PDF
研究期間
2019年4月1日~2022年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 森理恵(家政学部被服学科教授)
- 研究員(分担者)
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松梨久仁子(家政学部被服学科准教授)
内村理奈(家政学部被服学科准教授)
奥脇菜那子(家政学部被服学科助手) - 客員研究員
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岸本美香子
安藤健
沢尾絵
箕輪恵枝
田邉しずか
研究目的
1936年3月に日本女子大学家政学部を卒業した小林孝子の卒業論文「考現学より見たる一家庭」(日本女子大学成瀬記念館所蔵)は、考現学者今和次郎の指導を受けたものであり、その歴史的意義が高く評価されている(林知子「昭和初期の住まいと暮らしの考現学80年の時を経て日本女子大学に戻った小林孝子の卒業論文」『成瀬記念館』31号、2016年)。また、卒業論文の全ページが複写され製本されているため、劣化が心配される原資料を紐解かずとも、研究をおこなうことが可能である。
本研究の対象とする小林孝子の衣服標本は、この卒業論文のあとに製作され、ともに保管されてきたものである。卒業論文に比べ、注目される機会がこれまであまりなかったが、昨年、成瀬記念館の展示で初めて公開された(2018年5月8日~6月23日)。また、展示に併せて簡単な調査をおこない、本件申請代表者が簡略な資料紹介をおこなった(森理恵「小林孝子の衣服標本-1870年代~1930年代の中流家庭の衣生活-」『成瀬記念館』33号、2018年)。本研究は、本資料に関する、初めての詳細な調査研究をおこなうとともに、資料の複写を掲載した報告書を作成し、劣化が心配される原資料に当たらずとも研究が可能となるように、活用の便宜をはかることを目的とする。 -
71アジアの女性の自立に向けた調査研究~家政学からのアプローチ~
紀要PDF
研究期間
2018年4月1日~2021年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 天野晴子(家政経済学科教授)
- 研究員(分担者)
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高増雅子(家政経済学科教授)
飯田文子(食物学科教授) - 客員研究員
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佐々井啓(本学名誉教授)
望月一枝(元秋田大学教授、元本学大学院特任教授)
田中俊子(元文部科学省職員)
研究目的
個人・家族・コミュニティの最適で持続可能な生活を目指す家政学的見地から、アジア地域の開発途上国の女性の自立に向けたニーズの把握・分析を行い、現地で教育や地域社会活動に貢献できる手法の検討と構築を目指す。
本研究では、申請者らが本学を拠点に活動してきた文部科学省・JICAとの国際協力経験の蓄積及びラオスの学校給食を通した支援プログラムの開発・実施を通して得た知見をもとに、新たな調査地としてブータンを対象とする。具体的には、ブータンの都市部及び農村部の生活の実態を把握し、同国におけるニーズ分析とともに生活課題と女性の自立に向けた改善方法を析出する。地域の状況に適応できるような女性の生活の質の向上につながる方策を検討する。
また、日本女子大学における国際貢献活動・研究の一環として、成果を国際家政学会、アジア地区家政学会等を通じて、国内だけでなく広く世界に発信する。 -
70日本女子大学の草創期における欧米思想の受容 ―女性の自立と平和の結びつきをめぐって
紀要PDF
研究期間
2018年4月1日~2021年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 高梨博子(英文学科教授)
- 研究員(分担者)
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増子富美(被服学科教授)
三神和子(英文学科教授)
増田和香子(英文学科助教) - 客員研究員
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白井洋子
高村宏子
牛山通子
研究目的
女性は本質的に平和を好むという考え方がある。しかし、それは本当だろうか?男女平等がうたわれ、女性にも徴兵制度のある国(例えば、2015年:ノルウェイ、2018年:スウェーデン、第2次大戦中のイギリス)も存在し、軍隊に女性が参加する国がある現在、女性は平和を好むというこの考えには疑問の余地がある。しかし、欧米社会において19世紀から20世紀初頭にかけて活発になった女性解放運動の中で女性の自立に目覚めたあと平和運動を目指すフェミニストは少なくなかった。女性としての自覚と平和が彼女たちの中で結びついたのである。1901年の開学以降の日本女子大学草創期において、日本女子大学で学んだ学生や卒業生の中でも女性としての新しい生き方を考えながら、視点を女性の自立から平和へと移していった者が少なからずいた。その時彼女たちに影響を与えたのが欧米のフェミニストたちの思想である。彼女たちは女性としての生き方の模索と自覚のあと平和を志向するようになる。婦人平和協会を立ち上げたメンバーである井上秀、上代タノがアメリカのジェイン・アダムズに影響を受けたことはよく知られている。英文学科出身の高良とみ、国文学科出身の小橋三四も平和を訴えている。では、彼女たちの中で女性であることと平和とはどのように結びついたのであろう。欧米のフェミニストの平和思想をどのように受容し、自分のものにしていったのであろうか。女性の自立と平和という文脈において、草創期の日本女子大学がどのような役割を果たし、担って来たのか、また当時の先輩たちがそうした思想をいかように受容し、精神的糧としたのかを研究することを本プロジェクトの目的とする。(そして、彼女たちの考えを考察しながら、改めて、「女性と平和」という問題を考え直してみたい。) -
69ウィリアムズ症候群の視空間認知特性の研究 ―主として投影法心理検査を用いた解析―
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研究期間
2018年4月1日~2020年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 吉澤一弥(児童学科教授)
- 研究員(分担者)
-
根津知佳子(児童学科教授)
和田直人(児童学科教授) - 客員研究員
- -
研究目的
ウィリアムズ症候群は、染色体異常が原因の小児科領域の難治疾患である。支援方法の一つとして米国や日本ではミュージックキャンプが実施されている。吉澤は2001年に日本におけるミュージックキャンプの設立と開始のコーディネート役を担い、根津は音楽教育という専門性を生かして当初からキャンプを主宰して現在に至っている。16回におよぶミュージックキャンプにおいてウィリアムズ症候群の子どもたちと関わる中で、視空間認知の課題とくに言語能力と空間認知の乖離について認識でき、視覚的な課題や運動的な課題を視野に入れた研究の必要性を痛感した。ウィリアムズ症候群に関する内外の研究ではここに焦点をあてたものは見当たらない。この特性を解明するには心理学的検査法の中でもロールシャッハなどの投影法が有効と思える。ロールシャッハはさまざまな刺激を含んだ10枚の図版を順番に提示して何に見えるかを問う構造化された知覚実験である。ウィリアムズ症候群の患者がどのように図版を見るのか、どのように関わるのか、これが明らかになれば新しい支援のヒントを得ることができると考える。また、芸術療法、特別支援教育などの学界に寄与するものと考える。 今回は具体的な支援法を考案する前段階として、この特性の解析を行いたい。 -
68日本女子大学・附属校の服装規範の変遷 ―女子学生の服装と制服、イギリス、フランスの「女らしさ」と比較して
紀要PDF
研究期間
2018年4月1日~2021年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 坂井妙子(文化学科教授)
- 研究員(分担者)
-
三神和子(英文学科教授)
鈴木幹子(附属中学校教諭) - 客員研究員
-
佐々井啓
米今由希子
佐藤恭子
研究目的
本研究は、2017年度末をもって終了予定の研究課題62 「近代イギリスのファッションに見る「女性らしさ」の規範—フランス、日本との比較を通して」で得た研究成果をさらに発展させることが目的である。課題62では、近代のイギリスを中心に研究を進めたが、本研究では、20世紀初頭から1930年代前後における女子学生の服装と制服に見られる女らしさに的を絞り、一層、精度の高い研究を目指す。女子大、付属校の服装規範は「女らしさ」にどのように関わったのか、同時代の日本、イギリス、フランスの比較から検討する。「女らしさ」の概念は固定ではない。課題62の研究で明かにした近代イギリスの服装に見られる「女性らしさ」を基本形とすると、女子大、付属校の服装規範はどの点で進んでいたのか?とりわけ日本では、きものに袴のスタイルが女学生の定番であり、さまざまな見解が出されているが、個々の学校に特化した研究は少なく、単なる事例の紹介にすぎない。また、日本の特徴として、どの時点で女学生の服装に洋装が取り入れられたか、その理由や社会的な背景、さらには日本で考えられている「女らしさ」とはなにか、という点を抜きにしては語れない。当時、日本よりも女性の社会進出が進んでいたとされるイギリス、フランスでは、より現代的な「女らしさ」は服装に現れていたのか?学校、教育制度との関係を軸に、当時浸透しつつあった大衆文化の影響を考慮しながら明らかにする。 -
67日本女子大学における住居学教育の歴史
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研究期間
2017年4月1日~2020年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 定行まり子(住居学科教授)
- 研究員(分担者)
-
篠原聡子(住居学科教授)
平田京子(住居学科教授)
宮晶子(住居学科准教授)
江川紀美子(住居学科助教)
浅見美穂(通信課程・特任教授) - 客員研究員
-
小川信子
沖田富美子
鈴木賢次
研究目的
日本女子大学は創立時から生活を科学し、改善をすることで、豊かな日本を築くことを目指してきた。これは家庭から日本を良くするための女子の高等教育機関を設立したいという成瀬先生の意思であり、そのために家政学が開学当初から本学の教育の重要な柱となっている。特に住居学の分野は生活芸術から住居学科という流れを辿っており、建物の形状のみならず、生活行為を意識し、近年改めて注目されている総合的・実践的な学問としての家政学の精神を受け止めたものである。住居学分野が開学当初から独立して教えられていたわけではないが、大正11年には「家事(住居)」という科目があったという記録があり、住居に特化した教育が始められてから既に百年近くたつことが明らかである。創立時から関係の深い早稲田大学の教員が教鞭をとり、初期の頃の住居学科用のテキストも幾つか残されているが、これらは、明らかに建築学科の教育とは異なる。当時の資料や当時の学生、教員の記憶を通して、本学の住居学教育の歴史を紐解く機会が必要である。既に本学教員が中心となって、日本女子大学における家政学教育の全体像を掴む努力はされてきた(参考:日本女子大学家政学部100年研究会編、日本女子大学家政学部100年の歩み、2002年)。しかし網羅的であり、特に住居学については、僅かな記録しか残されていない。
また近年、多くの建築学科も生活の視点を意識し、他大学の歴史ある住居学科の多くは家庭科教員養成から実務家の育成に転換しつつあるが、100年を超える住居学分野の研究・教育の積み重ねがあり質が大きく異なる。本研究ではこのような日本女子大学の住居学分野の教育・研究の特色を時代とともに捕らえなおすことを目的とする。これは本学の競争力を高めることにもつながる研究であると言える。過去の教育の歴史を残し、未来に受け継ぐための作業を、今始めなければ、手遅れになる。当時の教育に関連する一次資料を集め、それにまつわる記憶をヒアリングやアンケートで集め、記録として残しておく。このような作業を通して、住居学科の卒業生より改めてこれからの住居学分野の教育への力をいただき、また近年関東圏に集中しがちな学生を、全国或いは世界から集め、日本女子大学の創立の理念を住居学を通して拡げるチャンスとしたい。そのために最終的には、今後の住居学科の教育のあり方に対する提案も、行う予定である。具体的には以下の5点を調査・分析する。
1)本学の住居学の教育の歴史を整理する。授業の内容などについては、史料、テキスト、卒業論文などを収集する。
2)長年勤めた教員などから、住居学科の教育内容の変遷をヒアリングする。
3)卒業生に住居学科での学びの役立ち具合に関するアンケート調査を行う。
4)上記1)~3)の内容をまとめる。
5)今後の住居学科での教育のあり方について提案を作成する。
なお、本研究は本学住居学科卒業生で、かつ現在本学で教鞭をとる教員及び歴代の教員を中心としたメンバーで研究を行う。自画自賛の研究とならないよう十分に注意するとともに、客員研究員として住居学科をよく知りつつも他大学の出身の元教員にも入っていただく。これらの教員全員が、他大学や企業での就労経験があり、本学の良さと弱点を他大学等との比較から客観的に見ることができる。私立大学は、建学の精神をどのように受け継ぎ発展させるのかが存在意義として重要である。その点を意識している本学出身教員が中心になり意識を高める機会ともなる。 -
66西生田キャンパスの森の保全および再生の記録
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研究期間
2017年4月1日~2020年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 宮崎あかね(物質生物科学科教授)
- 研究員(分担者)
-
菅野靖史(物質生物科学科教授)
田中雅文(教育学科教授)
上田未希(物質生物科学科講師)
山田陽子(物質生物科学科助手)
大塚泰弘(附属高等学校教諭)
青木ゆりか(附属高等学校教諭)
大越佳子(附属中学校教諭)
山本昂宏(附属中学校教諭)
砂川俊輔(附属豊明小学校教諭)
勝地美奈子(附属豊明小学校教諭)
大石円(附属豊明小学校教諭)
黒瀬優子(附属豊明幼稚園教諭)
吉岡しのぶ(附属豊明幼稚園教諭) - 客員研究員
-
星野義延
大河内博
今市涼子
関口文彦
辻誠治
濱田真希子
研究目的
本研究は西生田キャンパスの森のコナラ・クヌギ林およびアカマツ林の更新と保全を継続・発展し、森の再生についての記録を残すことを目的とする。
約18 ha に及ぶ本学西生田キャンパスの森は、人と自然との関わりの中で存続・維持されてきた典型的な「里山」である。しかしながら、長い間放置されたため、里山に見られる植物の多くが衰退消失し非常に荒れた状態になっていた。そこで2003 年度から「理科縦の会」の有志メンバーを中心に、森の保全と教育利用に関する調査、里山の自然再生に向けたプラン作成が行われ、活動が開始された。森の90%以上を占めるコナラ・クヌギ林の下刈りと落ち葉かきの再開に始まった活動は、その後14 年間にわたって継続され、コナラ・クヌギ林の再生、尾根に見られるアカマツ林の再生、エビネ、キンラン、タマノカンアオイなどの希少植物の保全、森林による大気浄化機能に関する研究など、多方面に発展している。こうした森の再生に向けた活動には、本学の附属幼稚園児から大学生、保護者や教職員まで、多くの人々が参加してきた。活動の結果、森の様相が大きく変わり、我々が目指す「歩いてみたくなる森」に近づいてきたことは明らかであり、その経緯は毎年行ってきた植生調査の結果などにも如実に表れている。しかし、森の再生は未だに道半ばで、これまでの保全活動の継続とさらなる再生計画の遂行が必要である。また、14 年間に及ぶ再生活動について整理し記録を残す必要性もあると考える。そこで、本課題では西生田の森の保全研究を継続・発展させ、森の再生についての記録を残すことを目的とした研究活動を行う。 -
65子どもの育ちの総合的研究と支援
紀要PDF
研究期間
2016年4月1日~2019年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 塩崎尚美(心理学科教授)
- 研究員(分担者)
-
金沢創(心理学科教授)
青木みのり(心理学科教授)
川崎直樹(心理学科准教授)
請川滋大(児童学科准教授)
瀬尾美紀子(教育学科准教授)
宮晶子(住居学科准教授) - 客員研究員
- -
研究目的
本学では、児童学科、心理学科、教育学科のみならず、さまざまな学科の教員が子どもの育ちの支援に関連する研究や実践活動を行っている。それぞれの実践、研究活動は、学外でも評価され意義のあるものとなっているが、それぞれの研究に有機的なつながりを持たせることはこれまで行われていない。しかし、日本女子大学が子どもや家族の支援に関して学外に向けて実践していることをアピールし、その活動をより意義のあるものとするためにも、個々の実践研究活動を統合し、本学ならではの特色を明確にした子どもの育ちのあり方を検討することは重要であると考える。 そこで、本研究では学科、学部を超えて子どもの支援に関する研究を行っている教員が連携し、これまでの研究の知見を踏まえてそれぞれの関連を見出し、子どもの育ちの支援に必要なことは何かについて、さまざまな視点から検討を加え、総合的な子ども支援の方向性を探ることを目的とする。 -
64ダンス史に残るマスターピース再現プロジェクト
紀要PDF
研究期間
2016年4月1日~2019年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 木村覚(文化学科准教授)
- 研究員(分担者)
- 宮晶子(住居学科准教授)
- 客員研究員
- 高野美和子 柊アリス
研究目的
ダンスの歴史に残る傑作を毎年一作ずつ取り上げて、実際に再現してみる。それによって、個々の作品で作家が試みた方法やそのダンス的価値ならびに社会的価値を分析・考察することが、この研究の主たる目的である。とくに、単に踊りの再現にとどまらず、衣装や照明、音楽、舞台空間など作品の様々な構成要素についても専門的見地を通して検討し、可能なかぎり再現することで、個々の作品が有していた文化的な背景や歴史的な意義を立体的に明らかにしたい。その際に、多様な分野にまたがった各研究員の専門性を活かして進めたい。具体的に、1年目は、19世紀末から20世紀初頭にかけてモダンダンスの形成に深く関わったロイ・フラーの「サーペンタイン・ダンス」を取り上げる。2年目は、1960年代のニューヨークで前衛的なダンスの運動を牽引したイヴォンヌ・レイナーの代表作「トリオA」を取り上げる。3年目は、1960年代の日本で前衛的な芸術舞踊「暗黒舞踏」を創始した土方巽のソロ作品「土方巽と日本人 肉体の叛乱」を取り上げたい。公開研究会に含まれるかもしれないが、舞台上での上演をひとつの成果とし、研究は学会発表あるいは論文として学会誌等で公表していく。 -
63若年女性に対する効果的な健康栄養教育プログラムの開発
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研究期間
2016年4月1日~2019年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 東田寿子(食物学科特任准教授・保健管理センターセンター長)
- 研究員(分担者)
-
佐藤和人(本学学長)
今井敦子(食物学科助教)
佐々木一茂(被服学科准教授)
小粥紀子(保健管理センター主任)
奈良詳子(附属高等学校養護教諭) - 客員研究員
- 小原麻紀子
研究目的
現在我が国において健康や美容への意識の高まりから食に関する情報への関心が高まっている。特に若年女性においてはメディアに露出する女性の多くがやせており、「やせ=美しい」というボディイメージから、標準体重またはそれ以下でありながら太っていると感じ、ダイエットを行っている女性が多い傾向にある。またダイエットに関する情報が錯綜し、その中には極端な食事制限や医学的根拠が不明瞭なものも多く、その信憑性が疑わしいものも少なくない。このように不必要な、あるいは誤ったダイエットを行うことによって若年女性の健康への影響が懸念される。本学附属校生は全国平均よりも身長が高く、体重が少ないことが報告されており、全国平均よりもやせていることが明らかになっている。女性のやせは栄養不足や骨粗鬆症など本人の健康を損なう恐れがあるのみならず、低出生体重児の増加や子の生活習慣病の発症など次世代のリスクにもつながる重要な問題である。本人と次世代の子の健康増進のためにも若年女性に対する望ましい健康栄養教育が必要である。本研究では女子大学生のもつボディイメージ(体型知覚の歪みと自身の体型に対する満足度)を定量的に測定し、食知識、食生活、身体状況との関連を解析する。また中学・高校の養護教諭と連携し、中高生の段階での健康意識、食生活に関する調査を行う。これらの結果から若年女性のボディイメージと食生活、健康との関連を明らかにする。その結果を踏まえて、若年女性に対する効果的な健康教育プログラムの開発を目指す。 -
62近代イギリスのファッションに見る「女性らしさ」の規範―フランス、日本との比較を通して
紀要PDF
研究期間
2015年4月1日~2018年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 坂井妙子(文化学科教授)
- 研究員(分担者)
-
三神和子(英文学科教授)
粂和沙(文化学科助教) - 客員研究員
-
佐々井啓
徳井淑子
米今由希子
佐藤恭子
研究目的
本研究は、19世紀~20世紀初頭のイギリスのファッションに焦点をあて、「女性らしさ」の規範を探ることを目的とする。当時、イギリスは女性ファッションをリードしていた。フランスが最新の「モード」を発信する場だったのに対し、イギリスはその圧倒的な経済力によって、最新ファッションを消費する場であったためである。ファッションの消費を介して、イギリスでは女性らしさをどのように構築していったのだろうか?以下、5つの視点から明らかにする。1.ファッションの選択・消費に関する道徳観の構築、2. 身体観、3. 消費文化の捉え方、4女性参政権運動5. これらを総括するものとしての国民意識の形成(対フランス観、対オリエント観を含む)の分析である。日本の場合にはファッションにおいてはフランスの影響が顕著であるが、イギリス好みの服飾の着こなしがみられ、両国との比較において明らかになる点が多いといえよう。各自の研究目的を以下、具体的に述べる。
イギリスに於いて、女性ファッションを牽引したのは、貴族ではなく、社会の中層に属すミドルクラスであった。そのために、暇と財力に任せたハイファッションではなく、彼等独自の価値観を反映したファッション、そして、「女性らしさ」が展開したと考えられる。このことを、1. ミドルクラスが称揚する道徳観である「自制」、「自己鍛錬」や、進取の気質が彼等のファッションの選択に与えた影響を考察する。2.その価値観が彼等の「女性らしさ」とどのように連繋したかを分析する。3. 1と2は単に階級内で循環、強化されたのではなく、フランスのファッションの解釈や吸収に貢献することで、「イギリス」の女性らしさとして想起されたこを、ミドルクラス向けのファッション誌の記述、指南書、美容書に加え、極めて「イギリス的」と評されることの多い乗馬服の現存資料を元に明らかにする。(坂井)
19世紀後期のイギリスにおいて、従来の「女性らしい」衣服に対し、さまざまな改良運動がおこっている。その主なものは、合理服と美的ドレスに代表されるが、それらがまずどのような理念において提案されたのかを調査していく。健康面からのアプローチと唯美主義的アプローチが考えられるが、それらがどのように理念に反映され、具体的な衣服として表象されたのかを明らかにする。また、これらの衣服改良運動がどのような「女性らしさ」を追及していたかを明らかにすることによって、新たな「女性らしさ」が提案されていたことを検証し、さらに一般の衣服に対し、どのような影響を与えたのかを明らかにすることによって、新たな「女性らしさ」がどのように受容されていったのかを検証する。また、衣服改良にあたっては、それを纏う身体についても論議が行われていることから、その理念と具体化された衣服を検証することによって、「身体観」の変容についても考察を加えたい。(米今)
19世紀から20世紀初頭にかけてイギリスには女性の権利拡張運動が展開されるが、その大きな運動の一つは参政権運動である。この女性参政権運動は20世紀初頭にピークを迎え、見事に目的を達成するが、彼女たちの活動と「女性らしさ」とはどのように係わっているのか。ファッションという視点から、この問題を考察したい。(三神)
フランスにおける女性らしさをファッションの面から検討する。まず、19世紀に出版されたファッション誌を中心として、そこに表された服飾と遺品とを比較検討し、さらに、当時の文学作品や絵画で表現されている衣服について、階級や異文化、特に、イギリスとその他の国、たとえば東洋風、日本風といわれている特徴を検討する。 まず、フランスにおいては、19世紀になってからきわめて大量の女性向け礼儀作法書が出版されている。これらの中では、それを「女性らしさ」と呼ぶこともできるかもしれないが、よき妻よき母そしてよき娘像としての女性の生活規範が詳細に記されている。またこれらの女性の規範がモードとともに展開されたことが特徴であり、同時期のファッション誌を見ると、作法書の言説と似た記述が見受けられることからも、このことは裏付けられると考える。本研究においては、特に19世紀のファッション誌と同時期の礼儀作法書の内容を比較分析することにより、規範としてのモードが、当時の女性の生活の中に浸透することによって、フランス近代の「女性らしさ」が形成されたことを明らかにしたい。(内村)
19世紀フランスは、近代産業社会の展開のなかで男女の生活空間がもっとも乖離した時代として知られる。夫に仕え、子を育て、家庭の天使たる役目を妻に求めることは、当時の作法書に通底する女性観である。一方で、家庭における男女の平等を訴えるサン=シモン主義者など、もっとも初期のフェミニズム運動が起きる時でもある。さらに世紀後半にかけて消費文化の隆盛は、既製服産業とオートクチュールの新たな服飾産業を生み、それによって華麗なファッションをステイタス・シンボルとして享受するブルジョア層と、その産業を支える女性労働者(グリゼットからモディストまで)の、相対峙する女性文化が生成されている。女性が置かれた19世紀近代社会のなかで、女性性への視線がどのように変異・変容を経ているのか、服飾の流行と産業を通して考察する。(徳井)
20世紀初頭のフランスでは、現代服飾産業の原型が成立し、クチュリエと呼ばれるデザイナーの地位が確立した。モードを作り出すパリのクチュリエが手がけた新しい衣服デザインは、服飾史上長らく締め付けられていた身体の解放であり、東洋趣味とそのゆとりに影響を受けた衣服であった。従来の女性らしさの象徴であるくびれ(凹凸)を強調するドレスにゆとりを取入れ、シルエットを変えることを、当時の女性たちがどのように受容していったのか、さらに、解放的スタイルのなかに生まれた「新しい女性らしさ」について明らかにする。 また、同時期、乗馬服をはじめとする活動する新しい女性のための簡素な服装が拡まって行くなかで、パリで流行した東洋趣味の服飾には、従来の身体の束縛からの自由のほかに、「性的女性らしさ」という見せ物的要素の二つの解放という特徴が見られる。女性の役割が拡張する中で、ともすると逆行とも取れる流行が登場したことを検証することにより、フランス的「新しい女性らしさ」がどのように形成され、受容されていったのかを明らかにする。(佐藤)
日本の近代ファッションにおいては、婦人雑誌等によると、フランス信仰ともいうべきフランスに傾倒した紹介記事が多い。とりわけ、20世紀初頭の明治末から大正時代では、政府主導の洋装の導入が一段落して一般市民に洋装が広まり始めた時期であるため、さまざまな装いが登場している。それは、単に洋服を着装することではなく、和装に洋風の文様や着こなしを取り入れる方向に進んでいった。『青鞜』を主宰した平塚らいてうなどは、むやみに洋装を取り入れたのではなく、自らの意思に基づいた装いであったことを、さらなる資料の検討によって明らかにする。また、当時の日本における「女性らしさ」と日本女子大学校での服装教育と女性教育、すなわち、本学の教育理念との関わりを考察する。(佐々井)
19世紀末にイギリスのミドルクラスの間で流行した日本趣味の室内装飾は、ブドワールやドローイング・ルームといった女性たちの私的空間に適用される場合が多かった。これは、そうした家庭内の空間をいかに美しく、個性的に装飾するかということによって、装飾の担い手である女性個人のアイデンティティーが問われたことによるものである。芸術的でエキゾティックな日本の美術品は、個性という言葉に煽られ、他人との差異を求めるミドルクラスの女性たちの需要に応えるものとして、室内装飾の消費文化に取り込まれていった。本研究では、日本趣味の室内装飾という統一的な様式を提唱した媒体として、女性向けの家庭雑誌やファッション誌に着目し、そこから「女性らしさ」や「個性」がどのようにあらわされ、ミドルクラスの女性たちの間に自己実現の手段として浸透していったのか、考察してゆく。(粂) -
61日本女子大学における学生を主体とした地域連携活動の活性化のための調査・研究
紀要PDF
研究期間
2015年4月1日~2018年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 田部俊充(教育学科教授)
- 研究員(分担者)
-
小山高正(心理学科教授)
久東光代(心理学科准教授)
星名由美(心理学科助教)
薬袋奈美子(住居学科准教授)
藤田武志(教育学科教授)
瀬尾美紀子(教育学科准教授)
山下絢(教育学科准教授)
加藤美由紀(教育学科助教)
請川滋大(児童学科准教授)
小川賀代(数物科学科教授)
黒岩亮子(社会福祉学科准教授)
依田浩美(附属豊明幼稚園教諭) - 客員研究員
-
飯長喜一郎
満田高久
浅田誠
高橋謙一
上村隆子
村山輝生
菅原彰子
秋保惠子
研究目的
本研究の目的は、新生日本女子大学の学生たちがより主体的な活動を行うための核となる地域連携活動を活性化するための調査・研究である。具体的には1~3の3点である。
1.以下の研究課題54の①~④の活動を継続し、引き続き協力して進める。
2.「地域連携センター(仮)」の設立に向けて調査・研究を進める。
3.学生を主体とした地域連携活動の活性化のためのeポートフォリオの導入の検討
日本女子大学における地域連携活動は、総合研究所の研究課題54「大学の総合力を発揮した地域連携活動の試み」を通じ、以下の4つの取り組みで充実を図ることができた。
①学校研究協力事業は、学校サポート事業として「学校教育ボランティア」「学校インターンシップ」の授業科目を中心として川崎市多摩区、東京都狛江市、附属幼小、私立幼稚園を対象に10年目を迎え、包括的連携協定なども進展を見せた。教育学科田部ゼミでは附属豊明小学校との授業を通した研究協力を進めている。
②西生田地区地域交流事業は情報教育研究室を中心に各地域連携団体のインターネット上での公開、学生主体の地域交流組織および単位化した授業「活用とプロジェクト演習」における、地域とのコラボ商品、地域イベント企画などの取り組みのサポートをすすめた。
③目白地区地域交流事業として住居学科薬袋ゼミでは、雑司が谷では地区の地域活動の研究及び振興を図ると共に、これまでの成果をまとめた。
④地域コミュニティー活性化事業として社会福祉学科黒岩ゼミでは西生田地区の近隣の寺尾台団地においては、試行的に行ったコミュニティカフェやイベントを、団地内の各組織(理事会、子ども会、高齢者の会等)において実施し、継続的に実施するための仕組みづくりを考えた。
eポートフォリオは21世紀型スキル、教育の質の向上、学びのイノベーションといったエビデンスに基づく教育の質保証をめざすために注目されているが、学生を主体とした地域連携活動の活性化を図るためにその可能性の調査・研究を行いたい。 -
60途上国における女性支援のためのプログラム開発
紀要PDF
研究期間
2015年4月1日~2018年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 天野晴子(家政経済学科教授)
- 研究員(分担者)
-
高増雅子(家政経済学科教授)
飯田文子(食物学科教授)
渡邉朋子(附属高等学校教諭)
鈴木幹子(附属中学校教諭) - 客員研究員
-
佐々井啓
望月一枝
田中俊子
研究目的
日本における家庭科教育の手法を生かし、衣食住、家族、経済を専門とする家政学の見地から主としてアジアの女性自立をサポートするプログラム開発をめざす。 申請者らは、過去に文部科学省拠点システム構築事業「国際協力イニシアチブ」における家政分野の拠点校に採用され、「途上国における家庭科教育の推進(2003年度~2008年度),「家政分野における派遣現職教員の活動支援教材などの開発」(2006年度~2008年度)で6年間の活動実績を有している。また、「開発途上国における生活支援のための教材及び指導法の開発」(2012~2014年度)では、2004年に行った調査を発展させ、2012年の国際家政学会参加国21か国の家庭科教育状況調査の比較検討も行った。その結果からアジアの男女別修の多さや女子教育に関する内容の偏りなどが浮き彫りになった。そこで、アジアにおいて貧困に陥りやすい女性支援のため、生活を対象とし、ジェンダー視角からアプローチができる家庭科教育の視点から生活のボトムアップを考えている。具体的には、妊産婦と母親、子どもの食生活の改善を図ることで健全な生活を得、さらに収入を得るための技術や知識の伝達などの教育から、女性の支援のためのプログラム開発を計画している。
本学は成瀬仁蔵の女性教育、女性を人として、婦人として、国民として教育する、の精神から創立当初より生活の基盤である家政学に重点をおいた教育をしてきた。女性のエンパワーメントには、まず女性を人として教育する、つまり、人間として真に平等に扱われるための教育とは何か。この観点を附属中学、高校の教員とともにさらに発展させることで、本学の教育理念をアジアの女性のために役立てることが出来ると考え、そのためのプログラムを開発したいと考える。 化を3年間で集中的に行なうとともに、今後の資料収集・公開へ向けたモデル作りを行なう。 -
59西生田キャンパスの森の再生と保全
紀要PDF
研究期間
2014年4月1日~2017年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 辻誠治(附属豊明小学校教諭)
- 研究員(分担者)
-
今市涼子(物質生物学科教授)
宮崎あかね(物質生物学科准教授)
山田陽子(物質生物学科助手)
大塚泰弘(附属高等学校教諭)
青木ゆりか(附属高等学校教諭)
林直子(附属高等学校教諭)
中村礼子(附属中学校教諭)
大越佳子(附属中学校教諭)
森田真(附属中学校教諭)
勝地美奈子(附属豊明小学校教諭)
砂川俊輔(附属豊明小学校教諭)
大石円(附属豊明小学校教諭)
黒瀬優子(附属豊明幼稚園教諭)
吉岡しのぶ(附属豊明幼稚園教諭) - 客員研究員
-
星野義延
大河内博
関口文彦
研究目的
本学の西生田キャンパスは1934(昭和9)年に目白キャンパスからの移転構想の下に始まった土地購入に始まる。現在の面積は293,800㎡である。 2003年度~2005年度に実施した総合研究所の研究課題25:「西生田キャンパスの森の保全と教育利用に関する基礎調査」により、キャンパス内に生育する植物の種類と森林群落の分類と広がりを明らかにし、この調査結果に基づいて、西生田キャンパスの森の回復・保全及び教育利用に関する基礎アイデアを提言した。
2006年度~2008年度に実施した総合研究所研究課題35:「西生田キャンパスの森の教育利用に関する研究と実践」および2009年度~2011年度の総合研究所研究課題44「西生田キャンパスの森の保全に関する研究」では、キャンパスの森の大半を占めるコナラ林(コナラ-クヌギ群集)の下刈りと落ち葉掻きの再開による林床植生の回復過程と、絶滅危惧Ⅱ類植物のエビネ、キンラン、タマノカンアオイの保全についての研究を行った。また、森が周辺の大気・水環境に及ぼす影響についても研究を進めた。さらに、森のホームページの更新を図るとともに、幼稚園園児から大学学生までの教育的実践活動についてもとりまとめた。
2012年度~2013年度の総合研究所研究課題49「西生田キャンパスの森の再生」では、上記の研究を継続するとともに、「里山としての樹木更新のための伐期を大きく過ぎているキャンパスの森の再生」を中心的な目的とし取り組んできた。すでに更新予定地の高木、亜高木の伐採を完了し、コナラ、クヌギなど使用構成木の育苗も順調に進んでいる。更に現状のままでは近い将来に消失が予想される、キャンパス内にかつて広く生育していたアカマツ林の更新についても取り組みを始めたところである。 今回応募する研究課題は、再生と保全に息の長い活動が必要な西生田キャンパスの森について、上記11年間に積み重ねてきた研究と具体的作業に引き続き取り組んでいこうとするものである。 -
58日本女子大学および卒業生組織桜楓会による震災・復興時の社会貢献・支援活動に関する横断的研究
紀要PDF
研究期間
2014年4月1日~2017年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 平田京子(住居学科教授)
- 研究員(分担者)
-
請川滋大(児童学科准教授)
飯田文子(食物学科准教授)
石川孝重(住居学科教授)
増子富美(被服学科教授)
伊ヶ崎大理(家政経済学科准教授)
高増雅子(家政経済学科教授)
清水康行(日本文学科教授)
永田典子(物質生物学科准教授))
黒岩亮子(社会福祉学科専任講師) - 客員研究員
-
後藤祥子
久保淑子
片桐芳雄
岸本美香子
研究目的
今年は関東大震災から90年となる節目の年である。14万5千人もの死者・行方不明者を出した東京では、新聞は1ヶ月ほど発行不能となるなど首都機能そのものが停止した。日本女子大学も煉瓦造の校舎であったため関東大震災で多大な被害を受け、授業再開などに少なからぬ影響があった。その中で、日本女子大学は教職員・学生のべ約800名が東京市の調査に当たるという大規模な活動を行った。さらに本学卒業生組織「桜楓会」は東京府慈善協会と協力し、学生も参加して児童救護所を設置、託児や被服救護などを行い、女性の力を活かしためざましい支援活動を行った。それには本学の卒業生が開設した託児所などでの震災前からの活動経験が大いに活かされている。このように関東大震災時には、社会的に弱い立場に置かれていた女性達が支援において大きな働きをしたことがいくつかの文献に散見されるが、これらの出版物では女性による支援の効果、本学の活動はあまり認識されていない。改めて本学で活動の原動力と成果をまとめ、災害後に発揮したリーダーシップと活動力について歴史をさかのぼって明らかにする必要がある。本学以外にも支援活動を行った女子大学があるかどうかなども調査し、客観的な調査結果を得るとともに、女性が当時の社会に果たした役割を確認したい。
またこれらの支援活動は、それ以後も地震災害のたびに、各支部・本部を中心として(一社)日本女子大学教育文化振興桜楓会(桜楓会と呼ぶ)が行った支援活動に受け継がれている。また本体である日本女子大学および附属校園が行ってきた活動は、最近の震災では東日本大震災が中心であるが、大学が被災地となった震災後・戦争時の支援、その後の活動をまとめることで、本学の特色の1つである「市民に近く、弱い立場の人々に寄り添う」活動が、大学と付属校園、卒業生の間でどのように行われてきたかを示すことの価値は大きい。
特に本研究は女性が地震災害時に発揮してきた「リーダーシップ」と「地域・社会貢献」の面に着目し、それらを歴史的に明らかにするとともに、学園での教育方針との関連をさぐる。そして、これからの首都直下地震や南海トラフ等での大地震に、どのように合理的かつ効果的な支援活動を行うかという方針を把握するための知見を得る。これら2つの柱を中心として、聞き取りや調査を実施し、過去にさかのぼるだけでなく、これから起こりうる大地震や自然災害等について本学学生と卒業生がどのようにかかわるか、将来の行動方針の模索を見据えた研究とするところに本研究の独自性をもたせる -
57日本女子大学をかこむ歴史的空間の発展をたどる
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研究期間
2014年4月1日~2016年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 永村眞(史学科教授)
- 研究員(分担者)
-
三神和子(英文学科教授)
村井早苗(史学科教授)
井川克彦(史学科教授)
吉良芳恵(史学科教授)
矢野立子(史学科助教) - 客員研究員
-
岸本美香子
杉崎友美
三田一則
近江正典
安藤昌就
國分眞史
市村孝史
片山妙子
研究目的
江戸時代の後期、日本女子大学の本部校地は、二軒の旗本屋敷であった。また不忍通りを隔てた体育館地区は農地、さらに弦巻川(現在は暗渠)を渡った先の学寮地区は、丘陵上を法明寺から本淨寺・護国寺に続く宗教的な空間の中にあった。江戸時代の日本女子大学の校地は、池袋から練馬に広がる農地と江戸城を中心に広がる江戸町との境目にあり、時代とともに大きくその景観と性格を変えていくのである。
そこで本研究計画では、校地に隣接する広域の「雑司ヶ谷」に注目し、地域が果たした歴史的な役割を踏まえながら、そのなかで新たに生まれた日本女子大学が地域にとっていかなる意味をもったのかを考えることにしたい。
研究は二年間を予定しており、その課題も大きく二つに分かれる。初年度は、江戸時代における「雑司ヶ谷」の信仰的な要素に焦点をあてる。鬼子母神堂は戦国時代から庶民の信心の拠り所としてあったが、この堂は法明寺や本淨寺、さらに今はその痕跡も失われた鼠山感応寺という法華宗(日蓮宗)に属する寺院群の中に位置し、弦巻川に沿って江戸町の庶民が参詣する信仰空間を構成していた。そこでこの信仰空間の広がりと、その具体的な姿を明らかにしたい。第二年度の課題は、幕末・明治の変動期における「雑司ヶ谷」地の変容を追いながら、かつての旗本屋敷が大学校の敷地となり、教育が地域の性格を特徴付けるに至った過程をたどりたい。この流れのなかに日本女子大学校の創立もあるわけで、「雑司ヶ谷」という地域にとって、本学の発展は重要な意味をもったことに言及したい。 -
56日本女子大学における「放課後サポート」実施に向けての調査・研究
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研究期間
2013年4月1日~2015年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 篠原眞澄(附属豊明小学校教諭)
- 研究員(分担者)
-
西村陽平(児童学科教授)
請川滋大(児童学科准教授)
田部俊充(教育学科教授)
林浩康(社会福祉学科教授)
定行まり子(住居学科教授)
辻誠治(附属豊明小学校教諭)
川合洋子(附属豊明小学校教諭)
神山智之(附属豊明小学校教諭)
新井理夏(附属豊明小学校教諭)
篠田奈緒子(附属豊明小学校養護教諭)
羽路久子(附属豊明幼稚園教諭) - 客員研究員
-
岩崎洋子
石山正子
池本美香
研究目的
日本女子大学は、建学以来、社会で活躍する女性を育て、女子の社会進出を支援してきた。創立百十年を経て、男女共同参画時代が到来して久しい今日、自分の可能性を見いだして力を発揮している卒業生はますます多くなっている。本学の教育への高い志は、卒業生のみならず、本学で学ぶ学生・生徒・児童の保護者にも、多くの賛同を得ている。学園の取り組みの一つとして、子育てと社会貢献の両立を可能にする支援をすることは、広く女性の自己実現のための手厚いサポートを目指す本学の理念と一致するものである。 一方、この課題が実施に向かうためには、放課後サポートが子ども達にとってどのような意味があり、どのような位置づけであるべきかを研究して、本学らしい設立の理念及び目的を構築する必要がある。また、施設環境、指導者、指導内容、指導者と小学校教員との連携、安全面、開設時間帯や時期、運営面等の視点から研究し、子どもの育ちにのぞましい豊かなあり方について考えていくことが肝要である。
本研究の目的は、附属豊明小学校の保護者支援「放課後サポート」に関しての、理念の構築、及び具体的方策の立案である。日本女子大学総合研究所にて総合的に調査・研究することで、本学の教育理念に相応しい指針・理念の下で、質の良い実現可能な放課後サポートを立ち上げていくことを目指していきたい。 -
55家庭福祉センター「みどりの家」の歴史的考察と地域貢献の意義
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研究期間
2013年4月1日~2016年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 岩田正美(社会福祉学科教授)
- 研究員(分担者)
-
黒岩亮子(社会福祉学科専任講師)
大澤朋子(社会福祉学科助教) - 客員研究員
- 須之内玲子
研究目的
本研究は、日本女子大学付属家庭福祉センター「みどりの家」(以下、「みどりの家」と省略)の活動を以下の3つの視点から整理・分析するものである。この研究を通して、「みどりの家」の活動の意義を再評価すると共に、これからの大学における地域貢献のあり方、社会福祉教育における実習のあり方の示唆を得ることを目的としている。
第一の視点は、「みどりの家」が実践したセツルメント活動を、同時期に様々に展開された他大学のセツルメント活動と比較することである。「みどりの家」の前身である興野町セツルメントは、1960年からその活動をスタートさせているが、その数年前から学科内にはセツルメント活動を実践する場の必要性が共通認識され、そのための準備として生活問題研究会が立ち上がるなど、様々な準備が行われてきた。大学におけるセツルメント活動は戦前から多くの実践があるが、この時代のセツルメント活動は社会運動としての性格も持ち、社会におけるインパクトも大きかったことが推測される。本研究では、1960年代前後の大学セツルメント活動における本大学のセツルメント活動の位置づけ、その特徴や意義を明らかにする。
第二の視点は、「みどりの家」の活動を大学拡張運動として捉え、「みどりの家」が置かれていた足立区興野町において、どのように地域に貢献してきたのかを明らかにすることである。第一の視点とも関連するが、足立区には他大学のセツルメントがいくつか置かれていた。そのような中で、「みどりの家」が果たしてきた役割を確認してみたい。また、大学拡張運動は、創立時からの本学の特徴であるとも言える。たとえば、桜楓会託児所(本学科卒業生の丸山千代主任)や関東大震災後における活動などが挙げられる。これらの活動には社会事業学部の学生が多く参加しており、「みどりの家」の活動も社会福祉学科の学生の参加により推進された面が大きい。本研究では、大学拡張運動が地域に果たす役割についても明らかにしたい。
第三の視点は、「みどりの家」の活動を通して、社会福祉学科の学生は何を学んだのかを明らかにすることで、社会福祉教育における実習のあり方を考える一助とすることである。「みどりの家」は足立区興野町保育園内に置かれ、学童保育、学生有志による子ども会、図書クラブ等の活動を中心に様々な活動が展開されてきた。1964年に「みどりの家」と改称されると、専任職員を配置した学童保育(みどりクラブ)として、足立区の委託事業を行うようになった(1967年興本小学校内に移転後は学科スタッフも学童保育に関わっている)。こうした活動を経て1969年には大学の附属機関として位置づけられ、1972年からは社会福祉学科1年次の見学実習として必修化された(1989年まで)。以上のように、「みどりの家」は社会福祉学科の教育において重要な役割を持ち、学生にも大きな影響を与えたことが推測される。本研究では、「みどりの家」が果たした教育上の意義について考察し、今後の社会福祉教育への示唆を得ることも目的とする。 -
54大学の総合力を発揮した地域連携活動の試み
紀要PDF
研究期間
2012年4月1日~2015年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 田部俊充(教育学科教授)
- 研究員(分担者)
-
加藤美由紀(教育学科助教)
小山高正(心理学科教授)
久東光代(心理学科准教授)
鵜養美昭(心理学科教授)
青木みのり(心理学科教授)
藤田武志(教育学科教授)
久田則夫(社会福祉学科教授)
小山聡子(社会福祉学科教授)
黒岩亮子(社会福祉学科専任講師)
中西裕二(文化学科教授)
堀越栄子(家政経済学科教授)
薬袋奈美子(住居学科准教授)
藤井恵子(食物学科准教授)
星名由美(心理学科助教) - 客員研究員
-
飯長喜一郎
田島光則
満田高久
高橋謙一
研究目的
本研究は、日本女子大学の総合力を発揮し、大学と地域の人々との協働による地域連携活動をさらに活性化する試みである。現在、西生田キャンパスでは「多摩区・3大学連携事業」(2005年)を結び、共同シンポジウムやフォーラムを開催してきた。また「学校教育ボランティア」「学校インターンシップ」を展開し、学生が多摩区内の小・中学校で指導補助を行っている。また、生涯学習センターでは川崎市教育委員会との連携講座を多数開催してきている。2011年7月には、本学と川崎市との間で「連携・協力に関する基本協定」を締結し、地域連携活動団体SAKU LABOや読売ランド駅前プロジェクト等が、地域の商店街等と、双方のもつ人的資源、物的資源、知的資源を相互に活用することにより、地域社会、研究、教育、産業の振興に貢献することを目指している。一方、目白地区ではすでに文京区との連携協定が結ばれているが、まだ実効はあがっていない。今後、文京区や雑司ヶ谷地区との連携を至急探る必要がある。本研究の目的は、これらの地域連携活動を拡充し、組織化するために、先行的な試みを展開することにある。
本研究の具体的目的は以下の5点である。①地域との連携・・・西生田地区においては、地域連携活動団体SAKU LABO等の地域の商店街をはじめとする社会貢献活動をサポートする。さらに、女性の地域起業を目指すアントレプレナーシップ科目として授業化を図り、キャリア女性学副専攻地域・行政コースの中核として位置づけることを検討する。目白地区においては地域連携の新しい可能性について先行的プロジェクトを検討する。②自治体等との連携・・・川崎市や東京都の市区との教育・心理・社会・福祉・文化関係機関との連携協定プロジェクトをサポートし、キャリア女性学副専攻として位置づけることを検討する。③学内の地域連携関係団体を集約し、その活動を社会に向けて発信するコミュニティーサイトを開設し、地域連携活動の活性化を図る。④川崎市や東京都の市区と共催・連携したシンポジウムやワークショップを開催する。⑤以上の活動を総括する中で、日本女子大学が総合力を発揮して地域連携・地域貢献を展開していく方向性を探り、新生日本女子大学のビジョンの中に位置づける。 -
53教職志望学生、教職に就いている卒業生に対する力量向上に向けた支援実践
紀要PDF
研究期間
2012年4月1日~2014年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 坂田仰(教職教育開発センター教授)
- 研究員(分担者)
-
愛木豊彦(数物科学科教授)
峰村勝弘(数物科学科教授)
赤池由紀子(数物科学科助手)
柴田笑美(附属高等学校教諭)
町妙子(附属中学校教諭) - 客員研究員
-
久保淑子
酒井佳子
山田知代
研究目的
学力低下、いじめ、不登校と教育課題が山積する中、実践力に富む教員の養成並びにその資質の保持・向上が重要な課題となっている。にもかかわらず、新規に採用される教員を中心に、教育課題に対処するために不可欠な資質、能力、特に、基礎的な力が十分に身に付いていない者が少なくないという指摘が存在している。文部科学省、中央教育審議会は、その原因の一端が大学における教員養成の在り方にあるとし、「教職課程の授業では、マネジメント手法やコミュニケーション技術、デジタル教材を活用したワークショップ型の学習手法等について、必ずしも指導が十分でない」と批判し、教員の養成と採用、現職の資質向上を一体化した改革の重要性を強調している(中央教育審議会教員の資質能力向上特別部会「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について」2011年1月31日)。
団塊の世代が退職の時期を迎え、ここ10年で教員全体数の約3分の1が入れ替わると予測されている。東京都教育委員会や横浜市教育委員会等によって設置が進められている、教員の養成と採用の一体化を目指した「教師塾」や若手教員のための「教師道場」は、この危機的状況を前にした、実践力を備えた教員の養成・採用・資質向上を目的とする採用者側からの改革的取り組みといえる。しかし、中央教育審議会等の指摘を待つまでもなく、実践力を備えた教員の養成、現職教員のブラッシュアップは、一義的には、教職課程を有する大学の役割と考えるべき性質のものである。本研究は、教科指導に関わる教育実践力、学校・学級経営の力量という二つの側面から、実践力に富む新人教員の養成並びに現職教員の資質向上に向けたプログラムの開発等、実践的取り組みを行うことを目的とするものである。 -
52平和な国際社会のリーダーを育成する自己実現支援体制と学園アイデンティティの確立
紀要PDF
研究期間
2012年4月1日~2015年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 北島歩美(カウンセリングセンター准教授)
- 研究員(分担者)
-
鵜養美昭(心理学科教授)
青木みのり(心理学科教授)
石黒格(心理学科准教授)
川崎直樹(心理学科准教授)
小宮恭子(中高相談室・附属高等学校教諭) - 客員研究員
- -
研究目的
日本女子大学は、創立以来、キャリア支援=学士力・社会人力の向上、を精力的に推進し、独自の方法を開拓してきた。この伝統は現代にも受け継がれ、学園一貫教育研究集会などで練り上げられ、関連部局の協働として四部門懇談会に実り、これらの教育機能の統合的な推進に繋がっている。また、通信教育、生涯学習センター、現代女性キャリア研究所、リカレント教育・再就職システム、女性研究者のキャリア支援などを通して、女性の生涯学習・キャリア支援にも結実してきた。この諸成果が日本学生支援機構(JASSO)の「大学教育・学生支援推進事業【テーマB】学生支援推進プログラム」に採択されることにつながり、2009年度から2011年度の3カ年にわたる学生支援GP事業として、実施されてきた。この補助事業の取組の中で、大学全体を対象として学生支援のワークショップを調査し、本学における学生支援の独自性を明確化し、学生支援をより活性化するシステムをWebCTシステムの構築を通して現代的な学生支援システムとして立ち上げてきた。2011年度が本学学生支援GPの最終年度に当たる。これまでにこの補助事業で約3,000万円ほどの資金が投入されて開発されたWebCTシステムであるが、これは学園に在籍する大学院生、学生、生徒、児童、幼児、卒業生の自己実現に活用できる可能性を秘めている。補助事業でシステムのハード面の開発が可能になったが、本研究ではこのWebCTシステムのもつ可能性を、運用を継続することによりソフト面の洗練・充実を行うとともに、大学にとどまらず学園全体の在籍者の自己実現に役立つように機能の拡大し、本学園の人格形成教育の充実を目指すことが本研究の目的である。
さて、学生支援GPの取組を通して、本学園は他の教育機関と異なり、表面的な「役立つ人材の養成」を行っているのではなく、在籍者が信念を涵養し、「信念徹底」を貫くことにより、「自発創生」「自学自動」の活動を通して人格を完成し、「天職」を自覚することを促進してきた。こうした人格形成教育により、深く自分自身を自覚することにより他の存在に通底する共通性を認識し、「共同奉仕」が可能になるという、本質的な人格形成教育を目指している。これは創立者が米国の現代教育学、現代心理学の基盤を作ったDewey, J.との書簡の交換や米国留学、外遊などを通して、涵養してきたものである。したがって、現代の教育学、心理学として「先進国」から輸入される教育方法、心理学的手法などは、成瀬仁蔵が提唱してきた女子教育が米国の教育学を通して逆輸入されてきているということが出来る。「学習者中心」(=自発創生、自学自動)「問題解決学習」(=現実の生活に課題を求める)「体験学習」「PDCA Cycle」(=「Impression、Construction、Expression)などの概念は、既に女子教育をはじめとする成瀬の著作の中に日本女子大学校の方法として明示されている。さらに、女性の学習の特性として「平和主義」を指摘して共同作業を取り入れ、先輩による後輩の指導などを取り入れている。つまり、女性を整った教育環境に招き入れ、学習者中心で信念の涵養を促し、自己存在の深みを実感させ、内奥から人格を陶冶する方法である。個々人の内奥に存在する人間に普遍的に存在する人間性を根拠にした教育方法である。自分自身を根拠にしている以上、自分のあり方に自信を持てるばかりでなく、人間存在の共通性、すなわち「帰一」を信頼でき、どのような相手とも揺るがずに交流できることになる。すなわち、「共同奉仕」が可能になり、「国際的な」活動も可能な人間性を開発することが出来る。これに対して、他の教育機関はその時々の社会的な要請によって、訓練の対象となる者を社会の養成に合わせた形に形作る教育を行ってきた。自分を信じるのではなく、他に恃むのであるから、周囲の状況に左右されやすい人格にならざるを得ない。したがって、学生支援GPの取組では信念を涵養するために、創立当初から受け継がれてきた人格形成の諸方策を、学生支援の活動・プログラム(ワークショップ)として位置づけ、その学習効果を数値的に計測可能にしてきた。すなわち、自己理解、他者理解、自己表現、対人関係構築、対人交渉、集団指導の到達度である。これを見ることで学生は自己実現の到達度を客観的に把握でき、さらなる自己実現の進展を図ることが可能となっている。このたび、総合研究所の研究として、学生支援GPの成果を学園全体に還元し、さらにGPの限界である「学生支援」の枠を超えて、学園に所属する在籍者の自己実現に資するシステムの構築を目指すのが本研究の第一の目的である。また、本学園に内在する資源を活用することで、在籍者の自己実現支援の方策を明示することで、本学園の意識されなかったが確かに内在する学園アイデンティティを明確化することが第二の目的である。さらに、大学を対象に開発されてきた学生支援システムを在籍者の自己実現支援システムを目標に学園全体に貢献可能な状況づくりを推進することが第三の目的である。 -
51平和を希求する社会貢献活動を一貫教育を通じて支援する組織作りの提言に向けての研究
紀要PDF
研究期間
2012年4月1日~2014年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 生野聡(附属豊明小学校教諭)
- 研究員(分担者)
-
鵜養美昭(心理学科教授)
青木みのり(心理学科教授・カウンセリングセンター所長)
北島歩美(目白カウンセリングセンター)
小宮恭子(附属高等学校教諭)
石井直子(附属高等学校教諭)
柴田笑美(附属高等学校教諭)
髙橋直紀(附属高等学校教諭)
山田真里(附属高等学校教諭)
市川美奈(附属中学校教諭)
飯高名保美(附属中学校教諭)
國澤恒久(附属中学校教諭)
森田真(附属中学校教諭)
横山萌絵美(附属中学校教諭)
新井理夏(附属豊明小学校教諭)
桑原正孝(附属豊明小学校教諭)
山口博子(附属豊明小学校教諭)
稲場愛子(附属豊明幼稚園教諭)
栁原希未(附属豊明幼稚園教諭)
山品敦子(目白カウンセリングセンター) - 客員研究員
-
杉森長子
安藤春美
牛山通子
宮崎礼子
呉禮子
斉藤令子
出渕敬子
後藤祥子
研究目的
今日の大学教育には社会と学生を繋ぎ、学生が世代や専門分野、国籍を超えた多様な人々と協働して体験的に学ぶこと、そして学生自身が社会を構成する一員として行動し学際的な知識と結びつける機会を積極的に提供することが求められている。
本研究では、今までに総合研究所プロジェクトとして実践した「日本女子大学の一貫教育における実践的平和教育」(研究課題37、2007年度・2008年度)、「一貫教育における実践的平和教育活動と平和教育カリキュラム化に向けての研究」(研究課題42、2009年度~2011年度)の成果を踏まえ、創立者成瀬の平和思想が女子教育の一貫教育を通して、それが行動と実践を生む平和教育運動として展開できる諸層を研究し、それを実践していく活動を推進していく。さらに研究の第3フェーズとして、本学に在籍する学生・生徒・児童が社会問題に気づき、主体的に関わっていくためのきっかけや持続的な行動に向けての手がかりを得るための拠点づくりについての提言を行うことを研究の柱とする。
まず、第1の本学に在籍する学生・生徒・児童が社会問題に気づき、主体的に関わっていくためのきっかけとしては、過去2回実践してきた「小笠原サマースクール」の実践を継続する。この小笠原サマースクールの実践は平和に関する問題を「Education about peace」「Education for peace」「Education in peace」という3つの視点で包括的に捉え、持続可能な社会の構築を目指す人材の育成を図り、その人材を一貫教育を通して大切に育て、日本女子大学の建学の理念の実践者として社会に送り出すことを企図した試みである。特色としては小学校5年生から大学生までの異年齢の参加者が小笠原諸島における戦跡のフィールドワーク、現地の戦争体験者のお話、世界自然遺産に登録された自然地形、生態系を目の前にした野外活動、現地の子どもたちを含め様々な立場で小笠原に生きる人々との交流という同じ経験をすることにある。同じ経験を通して、世代を超えて一つの問題を多様な角度から見て話し合うことにより、生命と他者性の尊重という現代の基本的価値に根ざして身の回りの様々な問題に気づき、自ら関わろうとする大きなきっかけとなっている。第2回目のサマースクール(2010年度実施)では平和教育への実践として新聞にも報道され、反響が寄せられることとなった。次回のサマースクールの大学生参加者をボランティアリーダーとして育成することなどを試みたい。また、共同生活におけるリーダーは高等学校上級生が担うが、特に応募や反響が多いのは中学生である。これは、一貫教育のミドルステージとも言える思春期の子どもたちが論理的思考を獲得し、自らが得た社会に対する疑問を異年齢で考え、チャレンジしたい気持ちを形にする信念を持つための手がかりを求めていることの表れであると考える。この点については中高教員を中心として参加生徒のその後の変容をさらに確かめ、カウンセリングセンター研究員および幼稚園教諭とともに自発性を促す異年齢教育の効果についても検証したい。
そして、第2の目的は、学生・生徒・児童が行う平和を希求する社会貢献活動を学園として支え、持続的な行動に向けての手がかりを得るための拠点を作るための提言である。成瀬の教えを受け多くの卒業生が関わってきたWomen's International League for Peace and Freedom=WILPF日本支部は第1次世界大戦中に始まる成瀬と国際的な女性平和運動との出会いの中から生まれた婦人平和協会が基となって設立され、2011年には90周年を迎えた。これらの長年にわたる卒業生の活動の蓄積と現在の学生の平和を希求する社会貢献活動、国際協力活動に対する問題意識を結び、新たな活動の輪が広がっていく契機としたい。前述の小笠原サマースクール参加者のみならず、高等学校の自治会総務平和係を担った人材が大学でも活動を継続し、学生の組織も誕生している。これら主体性を持って学び、リーダーシップや独創性を持って社会に関わる人材を持続的に育てる拠点が必要であると考える。
また、これまでの研究と実践を踏まえ、教育者や研究者の為のみならず、学生にさらには地域の方々へと開かれた平和教育実践の拠点となるよう、工夫と実践を重ねていきたい。 -
50開発途上国における生活支援のための教材及び指導法の開発
紀要PDF
研究期間
2012年4月1日~2015年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 天野晴子(家政経済学科教授)
- 研究員(分担者)
-
佐々井啓(被服学科教授)
高増雅子(家政経済学科教授)
飯田文子(食物学科准教授)
岩木秀夫(教育学科教授) - 客員研究員
- -
研究目的
本研究の目的は、開発途上国における生活の質の向上のために必要な教材とその指導法を開発することにある。
国際社会が進めている「万人のための教育」(ダカール行動枠組み)達成のための取り組みの一つとして、生活運営の基礎となる家政分野の知識・技術を習得し活かすことは、生活の質の向上につながるものであり、開発途上国においてもこのような教育が必要であることは周知の事実である。さらに、それが学校教育において体系的になされることによって、一層の効果が期待できる。
申請者らは、過去に文部科学省拠点システム構築事業「国際教育協力イニシアティヴ」における家政分野の拠点校に採用(代表=学長)され、「途上国における家庭科教育の推進」(2003年度~2005年度)、「家政分野における派遣現職教員の活動支援教材などの開発」(2006年度~2008年度)で6年間の活動実績を有している。また、メンバーの多くは、本学においてアフガニスタンの女性教員への研修、サウジアラビアの女性教員への研修も担当してきた。
これらの経験を踏まえ、途上国における生活の質の向上に緊要性および教材効果の高い衣生活、食生活、生活経営(特に女性の自立をめざす)に重点を置いた教材開発を行うとともに、参加型学習の指導過程や作成した教材の使い方等の検討を行い、効果的な生活支援の教育に貢献することを期している。 -
49西生田キャンパスの森の再生
紀要PDF
研究期間
2012年4月1日~2014年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 辻誠治(附属豊明小学校教諭)
- 研究員(分担者)
-
今市涼子(物質生物科学科教授)
田中雅文(教育学科教授)
宮崎あかね(物質生物科学科准教授)
山田陽子(物質生物科学科助手)
大塚泰弘(附属高等学校教諭)
青木ゆりか(附属高等学校教諭)
林直子(附属高等学校教諭)
中村礼子(附属中学校教諭)
大越佳子(附属中学校教諭)
森田真(附属中学校教諭)
勝地美奈子(附属豊明小学校教諭)
黒瀬優子(附属豊明幼稚園教諭)
吉岡しのぶ(附属豊明幼稚園教諭) - 客員研究員
-
星野義延
大河内博
関口文彦
研究目的
本学の西生田キャンパスは1934(昭和9)年に目白キャンパスからの移転構想の下に始まった土地購入に始まる。 現在の面積は293,800㎡である。2003年度~2005年度に実施した総合研究所研究課題25:「西生田キャンパスの森の保全と教育利用に関する基礎調査」により、キャンパス内には97科、244属356種の植物が生育していること、現存森林植生として2群集、2群落、2植生型を識別し、これらがキャンパスの59.4%を占めていることを明らかにした。この調査結果に基づいて、西生田キャンパスの森の回復・保全及び教育利用に関する基礎アイデアと森の学校のあり方を提言した。2006年度~2008年度に実施した総合研究所研究課題35:「西生田キャンパスの森の教育利用に関する研究と実践」では、キャンパスの森の大半を占めるコナラ林(コナラ-クヌギ群集)の下刈りと落ち葉掻きの再開による林床植生の回復過程と、絶滅危惧Ⅱ類植物のエビネ、キンラン、タマノカンアオイの保全についての研究を行った。また、森のホームページの更新を図るとともに、幼稚園園児から大学学生までの教育的実践活動についてもとりまとめた。
2009年度~2011年度の総合研究所研究課題44「西生田キャンパスの森の保全に関する研究」では、引き続きコナラ林の下刈りと落ち葉掻きによる林床植生の回復過程と、絶滅危惧Ⅱ類植物の保存と増殖についての研究を継続するとともに、新たに、森が周辺の大気・水環境に及ぼす影響についても研究を進めている。森のホームページの更新も引き続き行っている。
このように過去9年間にわたる研究により、西生田キャンパスの森の現況とその教育的価値についての共通認識が深まり、森の保全についての調査・研究も定着してきている。今後は、この森の良好な保全活動とこれまでの研究を継続すること、老齢化する西生田の里山の再生が大きな課題となる。今回応募する研究課題では、「里山としての樹木更新のための伐期を大きく過ぎているキャンパスの森の再生」を中心的な目的としながら、これまでの研究で取り組んできた「コナラ林の下刈りと落ち葉掻きによる林床植生の回復過程」と、「絶滅危惧Ⅱ類植物の保存と増殖」、「森が周辺の大気・水環境に及ぼす影響評価」について引き続き研究を進めようとするものである。 -
48日本のきものが欧米の服飾に与えた影響―19世紀後半から20世紀前半中心に
紀要PDF
研究期間
2012年4月1日~2015年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 佐々井啓(被服学科教授)
- 研究員(分担者)
-
大塚美智子(被服学科教授)
森理恵(被服学科准教授) - 客員研究員
-
米今由希子
滝澤愛
佐藤恭子
太田茜
長尾順子
研究目的
本研究は、これまでそれぞれの研究者が行ってきた服飾研究について、共同で新しい成果を挙げようとするものである。
イギリス、フランス、アメリカにおける服飾造形に日本のきもののデザインがどのように影響を与えているのか、上流階級の服飾遺品のみでなく、中流階級に普及した具体的かつ実用的な服飾についての研究を行う。佐々井は、舞台衣裳やファンシードレスにみられる日本の影響について、日本をテーマとした演劇の影響などを踏まえてさらに研究を深める。森は、日本から輸出されたきものの海外調査を踏まえて、美術のみでなく実際のきものがどのように欧米にもたらされ、それらが当時の人々にどのように影響を与えたのか、さらにそれによってきものがどう変わったのかを検討する。大塚・滝澤は、衣造形の立場から、欧米の衣服における型紙設計法を検証し、きもののような直線的な裁断法がいかに欧米の服飾に応用されデザイン効果が発揮されているかを明らかにする。米今は、女性解放の立場から発行された衣服改良に関する雑誌を検討し、フェミニズムの運動と日本の服飾との関連を明らかにする。佐藤は、フランスにおける日本のデザインの影響を衣裳博物館の遺品やフランスの雑誌から明らかにする。太田は、これまであまり論じられてこなかったアメリカの服飾において、日本のデザインが影響を与えているのかどうか、当時の婦人雑誌の記事を検討する。
以上のように、それぞれの研究者が個別に行ってきた研究を、本学で総合的に検討してこれまでのジャポニスム研究に新たな成果を加えることが本研究の目的である。 -
47成瀬仁蔵および本学学園史研究資料データベースの構築
紀要PDF
研究期間
2010年4月1日~2013年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 吉良芳恵(史学科教授)
- 研究員(分担者)
-
島田法子(英文学科教授)
新見肇子(英文学科教授)
佐々井啓(被服学科教授) - 客員研究員
-
岸本美香子
杉崎友美
研究目的
成瀬記念館のアーカイヴズ機能構築の一貫として、成瀬仁蔵および本学学園史研究に関する資料を収集・整理し、今後の研究に資するデータベースを作成することを目的とする。 成瀬記念館のアーカイヴズ化については、従来、通常業務と平行して行なってきたが、人員・場所・予算等の問題があり、進捗をみていない。一方、新規受入資料も増加し、未整理状態となっている。加えて、現代女性キャリア研究所の入居に伴う資料整理・保管場所の明け渡しにより、従来行なってきた資料整理も停滞している現実がある。
今年度成瀬記念館運営委員会において、総合研究所各研究プロジェクトによって収集された資料の成瀬記念館への移管が決まったことを受け、過去のプロジェクトの資料の収集が、総合研究所の全面的な支援によって進められることになった。本研究では、これらの資料の整理・電子化を3年間で集中的に行なうとともに、今後の資料収集・公開へ向けたモデル作りを行なう。 -
46日本女子大学における歴史的建造物の調査・研究
紀要PDF
研究期間
2010年4月1日~2013年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 鈴木賢次(住居学科教授)
- 研究員(分担者)
-
小谷部育子(住居学科教授)
片山伸也(住居学科講師)
鈴木真歩(住居学科助教) - 客員研究員
-
田中章
園田潔
満田高久
岸本美香子
研究目的
本学は創立以来110年近くが過ぎようとしている。その間に度々キャンパス整備が図られてきた。築100年が過ぎた成瀬記念講堂及び成瀬記念館分館(旧成瀬仁蔵住宅)については、貴研究所の助成を得て詳細な調査を行なった。これ以外の建物(茶室、樟渓館、明桂寮など)においても、築50年が過ぎて、登録文化財に該当する建物が現存している。
本研究は創立以来の目白地区のキャンパス内の建物群の変遷を明らかにするとともに、各建物の実態を明らかにする。各建物については、すでに取り壊された建物も対象とする。これらの建物の図面等の資料はデジタル化を図る。それらを踏まえて、現存建物の歴史的価値を考察し、保存の意義を明らかにすることを目的とする。
さらに、得られた知見を専門的研究の記録にとどめるだけでなく、在校生、卒業生、また一般の方々に広く提供するため、理解しやすい冊子の刊行を目標として、原稿・図版を作成する。(冊子刊行については、『日本女子大学叢書』に応募予定)
2000年代
-
45読書教育と図書館
紀要PDF
研究期間
2009年4月1日~2012年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 三神和子(英文学科教授)
- 研究員(分担者)
-
田中功(日本文学科教授)
大場久恵(英文学科助教)
中沢啓子(日本女子大学図書館情報サービス課司書)
尾形翔子(附属高等学校司書教諭)
乗田令子(豊明小学校教諭) - 客員研究員
- 木内英実
研究目的
日本の生徒や学生に読解力不足が叫ばれて久しい。大学教育においても学生の読解力不足は痛感するところである。文章を速く正確に読み、内容を把握し、想像力を膨らましたりする力は不足してきている。この力を養成するための有力な方法の一つは、読書の量を増やし質を良くすることだと考えられる。それも、幼いときからの質のよい読書習慣の獲得が有効であると言える。世界規模で小学校の学力調査を行なった結果、読解力で優秀さを示したフィンランドが、図書館の有効活用を行なっているように、図書館の果たす役割は大きいと考えられる。このために、まず小学生から大学生までの読書の実態(読書習慣、読書量、読書傾向、読書指導をどのように受けているか、等)と、学校における図書館がどのように係わっているかを調査し、調査の結果を踏まえて、児童・生徒・学生にさらに良い読書習慣を身につけさせ、読書力(読書に親しみ、活字に慣れる力)を養成するためには、どのように指導すればよいのか、指導法を模索すると同時に、図書館がどのように係わり、どのように支援できるか考える。 -
44西生田キャンパスの森の保全に関する研究
紀要PDF
研究期間
2009年4月1日~2012年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 関口文彦 (物質生物科学科教授)
- 研究員(分担者)
-
田中雅文(教育学科教授)
今市涼子(物質生物科学科教授)
山田陽子(物質生物科学科助手)
青木ゆりか(附属高等学校教諭)
大塚泰弘(附属高等学校教諭)
中村礼子(附属中学校教諭)
大越佳子(附属中学校教諭)
澤達大(附属中学校教諭)
森田真(附属中学校教諭)
辻誠治(附属豊明小学校教諭)
黒瀬優子(附属豊明幼稚園園長)
吉岡しのぶ(附属豊明幼稚園教諭) - 客員研究員
-
星野義延
大河内博
研究目的
本学の西生田キャンパスは1934(昭和9)年に、目白キャンパスからの移転構想の下に始まった土地購入に始まる。現在の面積は293、800m2。森としての林地は59.4%を占める。2003年度から2005年度に実施した総合研究所の研究課題25:「西生田キャンパスの森の保全と教育利用に関する基礎調査」では森全域の植物相調査と植生調査、土壌調査などの基礎調査を行った。調査から、森には97科244属356種の植物種が生存し、現存植生としては落葉樹のコナラ-クリ群集、コナラークヌギ群集およびミズキ群落、常緑樹のアラカシ-ウラジロカシ群落とスギ・ヒノキ植栽林、そして竹林が確認された。調査結果に基づいて、西生田キャンパスの森の回復・保全および教育利用に関する基礎アイディアと森の学校のあり方を提言した。2006年度から2008年度に実施した総合研究所の研究課題35:「西生田キャンパスの森の教育的利用に関する研究と実践」では、ホームページによる情報共有と、各学年齢層別における環境教育の実践を試みた。研究面ではコナラ-クリ群集の下刈りと落ち葉掻きによる林床植生の回復過程と、絶滅危惧Ⅱ類植物のエビネやキンラン、タマノカンアオイの保全についての研究を物質生物科学科学生の卒業研究の課題とする。幼稚園園児から大学学生までの教育的実践活動については現在、とりまとめ中である。
過去6年間にわたる研究より、西生田キャンパスの森の現状と教育的利用価値の高いことがかなり認識できたように思う。しかしながら、森は日々変化しており、森の景観を良好に維持するには「下刈りと落ち葉掻き」の林床管理を今後とも継続する必要性がある。今回応募した研究課題の研究目的は「林床管理の継続による植物相の回復課程を探ること」や、「絶滅危惧Ⅱ類植物の人工繁殖による保全方法を探ること」に加えて、「森に移入した植物種の現状把握とその駆除方法を開発すること」と「森が周辺の大気・水環境に及ぼす影響を評価すること」の研究を推進することである。 -
43教職志望者・現職教員に対するサポート体制の構築に関する研究
紀要PDF
研究期間
2009年4月1日~2012年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 坂田仰(家政経済学科准教授)
- 研究員(分担者)
-
島田法子(英文学科教授)
久保淑子(数物科学科教授)
峰村勝弘(数物科学科教授)
永松知雄(附属高等学校教諭)
町妙子(附属中学校教諭)
峯岸憲一(附属中学校教諭) - 客員研究員
-
坂本建一郎
椎木衛
関口ひろみ
研究目的
近年、子どもの学ぶ意欲の低下や規範意識・自律心の低下、社会性の不足、いじめや不登校等の深刻な状況等、学校教育における課題は、一層複雑化・多様化の様相を呈している。変化の激しい時代の中にあって、これらの諸課題に適切に対応した教育活動を行っていく資質能力を身に付けることの重要性が一層高まってきている。教職大学院の創設、教員免許更新制の導入、教職実践演習の新設等、「質の高い教員の養成・確保」を巡る近年の教育改革の動きはこの点に起因している。
日本女子大学は、これまで小中高の全ての分野にわたり数多くの人材を輩出してきた実績がある。しかしながら、1980年代後半以降、そのプレゼンスを大きく低下させていることは周知の事実である。本研究では、現在進行中の教育改革や教員養成システムの改変を視野に入れながら、新しい時代における女性教員養成の在り方とそのフォローアップ体制の構築を目的としている。「実践力」を重視する多様化した教員採用の現状を適格に分析・把握し、優秀な女性教員を輩出することは、家庭生活と職業生活を両立させたい女性にとって生涯にわたって働きうる場を確保することが可能となる等、日本女子大学にとっても将来的に数々のメリットを期待することができる。本研究を通じて、大妻女子大学、実践女子大学、昭和女子大学、東京家政大学との間で設置に向けた協議が進められている共同教職大学院の成功、ひいては日本女子大学の教員養成システムの改革と教職に就く卒業生のフォローアップに寄与できるのではないかと考えられる。 -
42一貫教育における実践的平和教育活動と平和教育カリキュラム化に向けての研究
紀要PDF
研究期間
2009年4月1日~2012年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 生野聡(附属豊明小学校教諭)
- 研究員(分担者)
-
蟻川芳子(物質生物科学科教授)
久保淑子(数物科学科教授)
島田法子(英文科教授)
石井直子(附属高校教諭)
山田真里(附属高校教諭)
柴田笑美(附属高校教諭)
西澤詠子(附属高校教諭)
高橋直紀(附属高校教諭)
市川美奈(附属中学教諭)
飯高名保美(附属中学教諭
國澤恒久(附属中学教諭)
森田真(附属中学教諭)
竹村彩(附属中学教諭)
桑原正孝(附属豊明小学校教諭)
山口博子(附属豊明小学校教諭)
稲場愛子(附属豊明幼稚園教諭)
栁原希未(附属豊明幼稚園教諭)
小宮恭子(中高相談室・附属高等学校教諭)
桜井育子(中高相談室・臨床心理士)
北島歩美(カウンセリングセンター(目白)准教授) - 客員研究員
-
後藤祥子
杉森長子
出渕敬子
牛山通子
宮崎礼子
呉禮子
斉藤令子
山品敦子
安藤春美
研究目的
2007年度から2008年度にかけての2年間に実施した「日本女子大学の一貫教育における実践的平和教育」では、これまでの学園の平和教育を振り返り、報告会を開催することによって、実践内容の共有をはかった。これに基づき、一貫教育の中で目指すべき平和教育の在り方を研究するために、実践的平和教育の講習会(小学生~大学生・大学院生の参加)、異年齢集団での意見交流を通して平和を考える宿泊型のサマースクール(小学生~大学生の参加)を実施し、児童・生徒・学生の実態を通して、各学校段階をつなぐ視点や平和教育の体系化に必要な問題について研究した。この研究と実践の結果、これからの平和教育のあり方についてさらに研究を進め、平和教育のカリキュラム化を考えていくという課題が生まれた。
平和学は、社会構造を明らかにし、「暴力」の除去をめざす学問分野であり、社会構造の中で最も抑圧されている人々の視点から「平和」の実現を求めることがその基本的なスタンスであるとされる。社会構造のゆえに、自己実現の果たしえない状況に置かれている人々の視点に立って「平和」を捉えようとすることが重要である。このような平和学の視点に立つならば、直接的暴力のみならず、社会構造における様々な形態の暴力について理解を深め、さらには「対立」の本質について考察する思考を育て、その「対立」を創造的に解決する手立てを考え、自ら実践することができる人を育てることこそ、平和学の新たな展開に応じた平和教育といえよう。このような平和教育概念の広がりに基づき、ビエルステッドは、暴力の形態を「人の領域」の3つと「生物の領域」の1つ、合わせて4つに分類した。各暴力形態に対応する平和教育の領域として、「軍縮教育、紛争解決とコミュニケーションスキルの訓練」「開発教育、人権教育」「多文化教育」「環境教育、消費者教育」などを例示している。そうした平和教育関連領域の根底となる教育領域に「エンパワメント教育」と「世界市民責任教育」の2つを挙げている。またアメリカでは、「社会的責任のための教育者の会メトロポリタン」が核戦争の危険性に危機感を持った教育者たちによって1982年に設立され、平和教育を推進した。この教育実践によって創造的かつ非暴力の方法で対立や問題に取り組む方法を教える「対立を創造的に解決するプログラム」(CR教育)が開発されていった。さらにリアドンは「社会的責任のための教育」を一歩進め「地球的責任のための教育」を提唱し、それを包括的平和教育という概念で示した。この包括的平和教育はグローバルな社会秩序の変革を目指す「積極的平和のための教育」であり、学校教育のどの段階どの教科でも実施し目指さなければならないと主張されている。一方で、日本国内においては、未だこのような平和教育の体系化が練られ、実施されているとは言い難い。「平和の具現化」を日本女子大学の社会的使命として捉え、平和活動を明晰にし、創立者・成瀬の平和思想が女子教育の一貫教育を通して、それが行動と実践を生む平和教育運動として展開できる諸層を研究し、それを実践していくためにも、この研究をさらに深めていく必要性を見出した。
本学は「総合大学」であり、人文・社会・自然・芸術のあらゆる立場からの平和研究へのアプローチが可能である。本研究では確たる学園理念を実践する「一貫教育校」としての平和教育プログラムを研究し、これらをもとに実践的平和教育についての提言を行い、本学の幼児・児童・生徒・学生への実践と、幼稚園から大学院までの平和教育および平和学関連講座のカリキュラム化を試みることを目的とする。
女性の自立と世界の平和を創立以来問い続けてきた本学は、あらゆる世代の要請に応えて、真に生き甲斐ある世界の実現に全力を傾注する社会的使命を負っている。平和な社会を築くための広い視野を持ち、社会を構成する一員として平和への努力と活動を行う人を育てること、家庭や社会におけるピースメッセンジャーとしての女性の活躍を支援することこそが本学の社会的責任である。
本学における平和研究および平和教育は幼稚園から小学校、中学校、高等学校、大学、大学院、総合研究所、生涯学習センターにおける研究・教育活動を通して、さらには桜楓会、婦人国際平和自由連盟日本支部といった組織や、平和を考える有志の会などにより、それぞれの立場で工夫を重ね、独創的な平和学の研究及び教育・啓蒙活動を総合的に集約し、こうした本学独自の平和に関する先行研究・活動に基盤をおきつつ、平和教育を一貫教育の視点で体系化することで「平和の具現化」を日本女子大学の社会的使命として教育活動をしていけるよう研究を進めたい。 -
41大学進学準備教育にかんするシステム論的研究
紀要PDF
研究期間
2009年4月1日~2011年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 明石英人(附属高校教諭)
- 研究員(分担者)
-
澤宏司(附属高校教諭)
谷中信一(日本文学科教授)
蟻川芳子(物質生物科学科教授)
石井直子(附属高校教諭)
高橋直紀(附属高校教諭)
竹下要人(附属高校教諭) - 客員研究員
-
高橋達二
村田憲郎
研究目的
本研究では、高校教員と大学教員が連携して、大学進学者のための準備教育について理論的に検討し、実際にカリキュラム化していく際の理念的・方法論的基礎を構築することを目指す。
今日、大学進学者の学力問題についてさかんに論じられている。高校卒業時の学力では、大学でのアカデミックな議論に対応できず、また自ら主体的な研究能力を獲得することも難しいというのが現状であろう。附属高校生においても決して楽観視することはできない。高校3年の夏休みに多数のレポートを課すなど、各教科で個別に対応しようとしてはいるが、体系的な取り組みは非常に遅れている。本研究は附属高校3年生の大学進学準備教育について検討する際の理論的な基礎作業として位置づけられる。
大学進学準備教育は各方面で活発に取り組まれているが、そのなかには、大学が予備校・塾などに完全に作業を委託してしまうケースが見受けられる。この場合、高校と大学の独自色は軽視される可能性が高いだろう。また、大学入学者に向けて、「学問への招待」、「知の扉を開く」などと銘うった教科書を販売し、高校までの学習から脱却するためのヒントを与えようとする試みも多数ある。しかし、それらはほとんどが、学問や教養のあり方、論文・レポートの書き方等について、以前から言われてきた作法やテクニックを繰り返し述べているだけのように思われる。
本研究は、このような大学入学者教育に関する取り組みの現状を乗り越えるために、システム論的アプローチに注目する。システム論は社会学、経済学、生物学、数学、論理学、哲学などの学際的なアプローチが必要なものであり、まさにこうした性格こそが、リベラルアーツに関する横断的な議論を可能にするはずである。また、各教員の個性やアイディアに完全に依存して体系的な教育を度外視してしまう危険性を避けるためにも、システム論的考察は有効であると考える。
さらに、本研究のねらいは、学問システムと認知システム(意識システム)の関係性を把握することにも向けられている。高校と大学では学習者の認知システムが大きく異なるはずであり、高校卒業生が大学の学問システムに対応できるようにするためには、「新たな認知システム」を機能させなければならないと考えられるのである。大学附属高校という特性を最大限活かすためには、この「新たな認知システム」を高校卒業前に形成するためのカリキュラムが不可欠であろう。
大学と高校、それぞれにおける学習の本質的違いは何か? ここではそれを以下のように規定する。高校での学習は、問いと答えの一対を発問側があらかじめ想定したうえでの発問とそれに対する答えである。一方、大学での学習は発問の段階では答えの定まらない、あるいは答えが存在すらしないかもしれない状態での問いかけである。(附属高等学校の、特に文系科目において論述形式での指導が重視されている事実、また、大学の特に初年度のカリキュラム、これらからみると、この規定はやや理想的過ぎるきらいはあるが、前者に関してはマーク式のセンター試験を、後者に関しては大学卒業後の実社会で求められる問題解決能力を視野に入れれば、それほど無理のある単純化ではないだろう。)
答えが定まっている前者では、答えを導くのに必要な事実の数は当然有限である。一方、後者においては答えが出る(これが答えであると納得できる)まで事実を参照するため、潜在的に無限個の事実を必要とする。ここに大きな違いがある。この違いは特に、学習者を、問いを入力、答えを出力する形式的体系とみなすとき、はっきりしたものとなる。
前者を模する体系と後者を模する体系を峻別し、それらの間に質的な断絶を認める場合、話はそれで終わりである。われわれは、今まで大半の大学進学者が行いえた前者から後者への変化を理論的に捉えたい。この目的に、体系の自らの性質を原因とする連続的な変化を扱うことのできるシステム論は大いに有効である。例えば通常の形式論理の分類では、どの公理を採用するかによって論理体系を区別する。従ってそれら論理体系の間の移行は中間形態のない段階的なものにならざるを得ないが、システム論的アプローチでは論理体系を無段階的に変化しうるものとして定義することができる。つまり大学進学者が経た能力の連続的な変化を、自因により変化する形式的体系として再現できるかもしれない。以上を理由としてシステム論的アプローチが有効であろうとわれわれは考える。 -
40女性の自意識の目覚め:近代イギリスに於ける顔と身体
紀要PDF
研究期間
2008年4月1日~2010年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 坂井妙子(文化学科准教授)
- 研究員(分担者)
-
佐々井啓(被服学科教授)
遠藤知己(現代社会学科教授) - 客員研究員
-
アン・レイン
米今由希子
研究目的
本研究は西洋近代の完成期にあたる19世紀を中心に、イギリスに於ける顔と身体の解釈行為を文学、社会学、服飾美学などの多様な視点から考察し、その歴史的・文化的異議を明らかにしようとする試みである。以下、各自の研究目的を述べる。
佐々井・米今
イギリスでは、それまでの生活文化を踏まえて新たな服飾の提案がなされてきた。そこで、健康博覧会の開催による健康志向の服飾の考案や、唯美主義の観点からの健康を考慮した服飾について、Agliaなどの機関誌を資料として、具体的に提案された服飾を検討する。さらに、New Woman がどのようにこれらの健康的、活動的な衣服を取り上げていったのかを、更なる資料の収集によって明らかにする。
遠藤
19世紀西欧社会において、身体や顔をめぐる解釈行為はそれ独自の厚み をもって編成されている。それは、個体性や個人性、そしてまた他者と のコミュニケーションや自己意識といったものをめぐるある特異な定義 の形式、つまり意味論(Semantik)と連動している。それは、現代 のわれわれが前提としている意味論を準備したものでありながら、いく つかの場所で大きくずれている。現代の意味論を安易にもちこんで解釈 すれば、そうしたずれはつぶされてしまうが、そうではないかたちでこ の領域を探索することは、現代の意味論が何であるか(同時に何でない のか)、そのリミットを知るうえでも有益であろう。
以上のような観点から、19世紀近代における〈身体解釈学〉の諸 実践をめぐる、理論的=歴史社会学的考察を行う。
レイン
異文化遭遇に於ける表情とボディーランゲージの解釈の可能性を小説、旅行記のディスコースから探る。
坂井
女性の魅力と顔色、表情との関係を「赤面」を中心に考察する。赤面は女性の性的、文化的、社会的価値を測る指標と考えられたが、これらが目指す文化的実践は観相学的理論とどのように乖離しているのかを化粧行為を例にとって分析する。 -
39女性の社会進出と生涯学習の意義
紀要PDF
研究期間
2007年4月1日~2010年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 岩田正美(社会福祉学科教授)
- 研究員(分担者)
-
真橋美智子(教育学科教授)
岩木秀夫(教育学科教授)
百々佑利子(児童学科教授)
佐々井啓(被服学科教授)
三神和子(英文学科教授)
倉田宏子(日本文学科教授)
小林多寿子(現代社会学科教授)
堀越栄子(家政経済学科教授)
天野晴子(家政経済学科准教授)
高増雅子(家政経済学科准教授) - 客員研究員
- 鄭銀志
研究目的
本学の女子教育は、そこに生涯学習の要素を創立時から含んでいたことにより、内外から注目され高く評価されていることは周知の事実である。しかし、昨今の状況を見ると、生涯教育を掲げて様々な広報宣伝を行っている大学が非常に多くなっている。そこで本研究では、これまでの本学の教育目標や教育経験を踏まえて、新しい時代の生涯教育のあり方について、再び女子教育という点から捉え直すことが必要であると考える。
本研究はすでに3年間続けているが、当初の目的からさまざまな方面に拡大している結果、その全体像を明らかにするためには、さらに継続した研究が必要であると痛感している。そこで、本計画を2年間延長し、女子教育における生涯教育の意義を考察し、その成果を公表したいと考える。
〇そのための方法として、第一にこれまでの本学に蓄積されてきた生涯学習についての諸調査、研究を収集し、生涯教育の場を提供してきた本学の、通信教育、生涯学習総合センターや日本女子大学教育文化振興桜楓会の全国的な活動をさらに内容別に整理し、その意義を検討する。
第二に、国内の女子大学の生涯学習についての調査結果のまとめを行い、さらにアジアの女子教育における生涯学習の実態調査の成果を踏まえて比較検討する。
第三に、卒業生の社会活動の結果を考察し、さらに追跡調査の可能な卒業生についてヒヤリングを行って、生涯学習と社会活動との関係を考察する。 -
38実践の科学である「生活安全保障科学」の社会への還元
紀要PDF
研究期間
2007年4月1日~2010年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- Nguyen Van Chuyen(食物学科教授)
- 研究員(分担者)
-
多屋淑子(被服学科教授)
佐藤和人(食物学科教授)
松影昭夫(物質生物科学科教授)
蟻川芳子(物質生物科学科教授)
石川孝重(住居学科教授)
小舘香椎子(数物科学科教授)
飯長喜一郎(心理学科教授)
川澄俊之(食物学科教授)
大塚美智子(被服学科教授)
平田京子(住居学科准教授)
鵜養美昭(心理学科教授)
堀越栄子(家政経済学科教授)
清水賀代(数物科学科講師) - 客員研究員
-
岡崎廉冶
小尾欣一
河内十郎
研究目的
2004年から3年間の予定で開催された研究課題「学際的共同研究による生活安全保障科学の創成」は、食環境・衣環境・住環境の安全に関する研究を進めている家政学部と基礎科学の立場から有害物質の分析や除去を通じてそれをサポートする理学部、さらに家族の安全を含む心の安全を保障する方策を探求している人間社会学部とが協力して、心の安全を含めた「生活安全保障科学」を創成しようとの意図で始められ、具体的には、年に少なくとも6回の「生活安全保障科学セミナー」を開催してきた。このセミナーは、毎回学外から多数の来聴者を得て成功裏に進められてきたが、その経過の中で明らかになったのは、社会が生活の安全に関する確かな知識をいかに強く求めているかということ、毎回のセミナーでの本学教員をはじめとする講師たちの講演内容が、既にそれ自体立派に「生活安全保障科学」の域に達していること、の二点であった。そこで本研究は、これまでのセミナー開催の実績をふまえて、「生活安全保障科学」は既に創成されているとの認識のもとに、社会の要請に応えてその成果をセミナーやシンポジウムの開催を通じて可能な限り廣く社会に発信していくことを目的としている。 -
37日本女子大学の一貫教育における実践的平和教育
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研究期間
2007年4月1日~2009年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 生野聡( 附属豊明小学校教諭)
- 研究員(分担者)
-
蟻川芳子( 物質生物科学科教授)
金子堯子(物質生物科学科教授、WILPF日本支部副会長)
久保淑子(数物科学科教授)
島田法子(英文学科教授)
川端直子(附属高等学校教諭)
山田真理(附属高等学校教諭) 2007.4.1.~
市川美奈( 附属中学校教諭)
国澤恒久( 附属中学校教諭)
森田真( 附属中学校教諭)
山田彩( 附属中学校教諭)
桑原正孝( 附属豊明小学校教諭)
永田陽子( 附属豊明幼稚園教諭)
兵頭由貴子( 附属豊明幼稚園教諭)
吉岡しのぶ(附属豊明幼稚園教諭) - 客員研究員
-
杉森長子
上田和子
研究目的
女性の自立と世界の平和を創立以来問い続けてきた本学は、あらゆる世代の要請に応えて、真に生き甲斐ある世界の実現に全力を傾注する社会的使命を負っている。平和な社会を築くための広い視野を持ち、社会を構成する一員として平和への努力と活動を行う人を育てること、家庭や社会におけるピースメッセンジャーとしての女性の活躍を支援することこそが本学の社会的責任である。
本学における平和研究および平和教育は幼稚園から小学校、中学校、高等学校、大学、大学院、総合研究所、生涯学習総合センターにおける研究・教育活動を通して、さらには桜楓会、婦人国際平和自由連盟日本支部といった組織や、平和を考える有志の会などにより、それぞれの立場で工夫を重ね、独創的な平和学の研究及び教育・啓蒙活動を行ってきた。本研究では、こうした本学独自の平和に関する先行研究・活動に基盤をおきつつ、平和教育を一貫教育の視点で今一度整理し、体系化することで「平和の具現化」を日本女子大学の社会的使命として再構築したい。
平和教育の分野において、今や時代は従来からの戦争のない世界をめざす教育にととまらず、平和的手段と文化・環境を自己の確立を通して意識化させる教育、それを行動原理として実践するための意志と実行力を持たせる教育、といった実践的アプローチを求めている。さらに詳しく述べるとするならば、平和学習に加えて戦争や暴力を予防する能力、平和の状態を維持するための発想(転換、超越)と調整の能力を育てるための教育、社会をどう変革し構築していくべきなのかを考え、感じ、実践する人を育てるための教育を求めていると言える。
平和を主題とした一貫教育の課題としては、次のようなものがあげられる。
・幼児・初等教育段階においては、自分の身の回りの生活を通して共生・共創の気持ちを育むこと。
・初等・中等教育段階においては、対話力・学びの吸収力を充実させ、問題意識を持った学びにつなげること。
・中等・高等教育段階においては学びを自己実現にリンクさせ具体化していくこと。
・高等教育段階においては、主体的に学ぶ人として、常に社会に開かれた学びを通して社会に参加していくこと。
・生涯教育段階においては、持続的未来への責任を持つ「人」として学びをライフスタイルに結び付けていくこと。
本学は「総合大学」であり、人文・社会・自然・芸術のあらゆる立場からの平和研究へのアプローチが可能である。本研究では確たる学園理念を実践する「一貫教育校」としての平和プログラムを研究し、これらをもとに実践的平和教育についての提言を行い、本学の幼児・児童・生徒・学生への実践を試みることを目的とする。
-
36本学園の高等学校・大学における英語教育の一貫したカリキュラム・シラバスの開発
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研究期間
2007年4月1日~2010年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 吉田章人(附属高等学校教諭)
- 研究員(分担者)
-
藤井洋子(英文学科教授)
加藤雅子(英文学科教授)
大場昌子(英文学科准教授)
落合るみ子(英文学科助手)
工藤洋路(附属高等学校教諭)
中谷恵子(附属高等学校教諭) - 客員研究員
- -
研究目的
本校の理念である幼稚園から大学までの一貫教育を、「英語教育」の分野で具体化する足がかりとして、附属高等学校英語科と大学英文学科が連携を図り、①一貫した指導目標の設定、②一貫したカリキュラムとシラバスの策定、③カリキュラムにおける到達度を測る英語能力テストの開発、④指導目標を達成するための一貫した教材の開発を研究目的とする。
第一の指導目標に関しては、学年別(高等学校第1学年~大学第4学年)に、「該当学年を修了した生徒・学生は、英語を使って具体的にどのようなことができるか」、又は「どのようなことができるようになって欲しいか」を記述したCan-doリストを開発する。このリストは、英語の4領域、すなわち「聞く」・「話す」・「読む」・「書く」技能のそれぞれに亘って記述される。例えば、高等学校第1学年における「書く」ことのCan-doリストとしては、「まとまった内容の手紙・Eメールを書くことができる」であるかもしれない。一方、大学第4学年におけるそれは、「卒業論文を書くことができる」ことであるかもしれない。
以上のようなCan-doリストを作成した上で、その次の段階として、「リスト上の事柄を生徒・学生ができるようになるためには、どのような英語の能力を必要とするか」を記述する。英語の能力を記述するためにCanale and Swain(1980)が発表したコミュニケーション能力(communicative competence)の定義を軸に研究を進める。すなわち、言語能力(language competence)、談話能力(discourse competence)、社会言語能(sociolinguistic competence)、方略能力(strategic competence)という4つの能力に分け、記述する。例えば、大学第1学年の「話す」ことのCan-doリストに「プレゼンテーションを構成(談話能力)、効果的なプレゼンテーションを行うための非言語的要素(社会言語能力)、言葉につまった時の対処の仕方(方略能力)を記述してゆくことになる。このようにCan-doリストを具体化するための下位能力を詳らかにすることによって、「高等学校・大学の第何学年には、何を学習するべきか」というカリキュラムとシラバスの策定が可能になると考えている。
このような過程を経て、カリキュラムとシラバスが完成させた時点で、次に取りかかるべきことは、そこに記述されたコミュニケーション能力を測るための日女大英語運用能力テスト(JWU English Proficiency Test:JWUEPT)の開発に取り組む。開発された英語能力テストを、高等学校・大学の生徒・学生に実施する。その目的は理想として記述したCan-doリストと現状の生徒・学生の有する英語能力との一致とギャップを明らかにすることである。試験結果を詳細に分析し、Can-doリストとの比較を行う。比較した結果、場合によってはCan-doリストの修正を行う可能性もあり得る。
最終段階として、試験結果の分析をもとに、現状の生徒が理想として掲げるCan-doリストを達成できるような教材の開発に着手する。
以上、3年間の研究を通して、指導目標、教材、検定試験を開発することで計画(指導目標を基礎とした授業計画)→実施(教材を用いた授業)→評価(英語運用能力テスト、またはそれをもとにした定期テスト)のサイクルを日々の教育活動に確立することを目標とする。 -
35西生田キャンパスの森の教育的利用に関する研究と実践
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研究期間
2006年4月1日~2009年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 関口文彦 (物質生物科学科教授)
- 研究員(分担者)
-
今市涼子 (物質生物科学科教授)
田中雅文(教育学科教授)
津島美穂(物質生物科学科助手)
山田陽子(物質生物科学科助手)
青木ゆりか(附属高等学校教諭)
大塚泰弘(附属高等学校教諭)
中村礼子(附属中学校教諭)
大越佳子(附属中学校教諭)
澤達大(附属中学校教諭)
森田真(附属中学校教諭)
辻誠治(附属豊明小学校教諭)
桑原正孝(附属豊明小学校教諭)
黒瀬優子(附属豊明幼稚園園長)
吉岡しのぶ(附属豊明幼稚園教諭) - 客員研究員
- 星野義延
研究目的
2003年度から2005年度の3年間に実施した研究課題25の「西生田キャンパスの森の保全と教育利用に関する基礎調査」では、西生田キャンパス全域の森の植物相調査、植生調査、土壌調査などの基礎調査を行った。その最終報告書が2006年11月発行予定の本学総合研究所紀要9号に掲載される。最終報告書では貴重な森としての植物情報が記載され、今後の「西生田キャンパスの森の回復・保全プログラム」、教育の場(幼稚園児から大学生まで)としての理想的な「森の学校のあり方」などが提言されている。
植物相の調査では97科356の植物種が確認でき、この種数は多摩緑地保全地区でリストアップされた75科206種に比べると2倍近い数値を示す。その他に、20数年前に観察されたクマガイソウ(絶滅危惧Ⅱ類)やヤマルリソウが発見できなかったが、環境省が植物絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定しているタマノカンアオイ、エビネ、キンランが比較的好条件で繁殖している。以上の植物相の調査結果は、種保存のための貴重な森であることを証明している。一方の植生の調査では、次の2群集、2群落、2植生型の存在が確認された。(1)アラカシ-ウラジロガシ群落、(2)コナラ-クリ群集、(3)コナラ-クヌギ群集、(4)ミズキ群落、(5)スギ・ヒノキ植栽林、(6)モウソウチク林。この中で、コナラ-クヌギ群集が最も大きな7割の広がりを示した。
西生田キャンパスの貴重な森を「教育の森」としての機能をどのように発展させるかの研究課題が見つかった。そのため、本研究では①西生田キャンパスの森の保全を図り、②課題研究25で提言した「教育の森」の活用により発生した問題点の修正を試みるとともに、③教育の範疇に、環境科学教育だけでなく教育を含めるなどの調査研究を研究目的とする。具体的には森の情報提供はホームページ(HP)の構築によって行い、一方の教育の森としての機能は森に誘う案内パンフレットの制作や案内板の設置、樹木名プレートの整備、森から学ぶための基礎知識リーフレットの制作、「下刈りと落ち葉掻き」の作業による森の健全な保全をねらった景観整備などである。総括的には、本物の自然が息づいている森に入って、忘れかけていた感覚を目覚めさせ、個性豊かな学びの体験を実践してもらうことが根底にある。 -
34女子理学教育をリードした女性科学者たち―家政学から理学へ
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研究期間
2006年4月1日~2008年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 蟻川芳子(物質生物科学科教授)
- 研究員(分担者)
-
金子堯子(物質生物科学科教授)
今市涼子(物質生物科学科教授)
永田典子(物質生物科学科教授)
小川京子(物質生物科学科助手)
今泉幸子(物質生物科学科助手)
小舘香椎子(数物科学科教授)
高橋雅江(数物科学科教授)
小川賀代(数物科学科講師)
丸山千寿子(食物学科教授)
五関正江(食物学科准教授)
木本万里(食物学科准教授)
宮崎あかね(物質生物科学科准教授) - 客員研究員
-
江澤郁子
大隅正子
中村輝子
研究目的
本年5月内閣府から「女子高校生・女子学生の理工系分野への選択」と題するキャンペーンが立ち上がり、本学も協力大学として名乗り出た。「理科離れ」が深刻化する現在、理系女性の社会的進出が望まれている。本学においては「女性に科学は不要」と言われた明治期に、創立者は家政学の基盤として自然科学を重視し、長井長義をはじめ著名な科学者を非常勤教授として招聘し、教育・研究の指導に当てた。その教えを受けた一回生のPh.D.及び農学博士丹下ウメを皮切りに、薬学博士鈴木ひでる、理学博士大橋広、農学博士道喜美代、医学博士武藤静子、理学博士高橋憲子など女性科学者の先駆者達が本学家政学部から巣立ち、後輩の指導に精力を注いだ。「女性の手による女子の理学教育」は、日本はおろか世界にも稀なモデルであり、私立女子大学で唯一の理学部を持つに至った所以でもある。このような宝を持ちながら、世間的にはあまり知られていないのは残念である。本研究は、本学が誇るこれら先達をはじめとする科学者諸姉の業績と理学教育を整理し、記録として後世に残すとともに、戦略的広報活動および学外における競争的資金獲得に備えた研究として位置付けることを目的とする。 -
33学校を中心とする犯罪からの子どもの安全策の確立に関する基礎的研究
紀要PDF
研究期間
2006年4月1日~2009年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 清永賢二(教育学科教授)
- 研究員(分担者)
-
小山高正(心理学科教授)
坂田仰(家政経済学科准教授) - 客員研究員
-
平井邦彦
篠原惇理
米川英樹
後藤 久
研究目的
小・中学校及び幼稚園・保育園を中心として発生する子どもの犯罪被害からの「安全確保(子どもの安全教育プログラム)」策を確立するため、全国的な被害発生実態及び被害者化の過程を把握し、その結果を踏まえ子どもを標的とする犯罪発生の防止策についての基礎的研究を行なう。
子どもの安全保護策の確立は、現在、学校関係者のみならず全国民的な緊急の課題である。文部科学省を中心に、そのための様々な対策が実施されている。しかし、こうした既存の対策は、あくまでも行政的な対策であり、「学校や園」といった空間を一纏めにし、その安全をどの様に確保するかが殆どである。
しかし、緊急に子どもや保護者そして学校関係者に求められるところは、子どもの犯罪被害の実態を踏まえると同時に、子どもの差異に沿った「現実的な子どもの安全策」の確立である。即ち、子どもの年齢、性、体力等の差異と、現実に発生している子どもを被害者とする事件を踏まえた「子どもの安全教育プログラム」の開発とその現実化が緊急に進められねばならない。
本基礎研究は、そうした子どもの安全教育プログラムの開発と教育現場での現実化を目指した体系的研究の一環として、子どもの犯罪被害実態の把握、その被害事件の発生と対応の過程を把握し分析研究しようとするものである。 -
32女性教員の養成とキャリア・パスに関する総合的研究
紀要PDF
研究期間
2006年4月1日~2009年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 坂田仰(家政経済学科准教授)
- 研究員(分担者)
-
島田法子(英文学科教授)
久保淑子(数物科学科教授)
峰村勝弘(数物科学科教授)
永松知雄(附属高等学校教諭)
町妙子(附属中学校教諭) - 客員研究員
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渡辺光雄
坂本建一郎
黒川雅子
河内祥子
研究目的
21世紀は男女共同参画の時代といわれている。しかし、女性の職業上のキャリア・パスについては未だに厳しい現実が存在している。その中にあって、義務教育諸学校等の教員は、戦後一貫して女性が重要な役割を果たしてきた職業である。
日本女子大学は、これまで小中高の全ての分野にわたり数多くの人材を輩出してきたが、1890年代後半以降そのプレゼンスを大きく低下させていることは周知の事実であろう。本研究では、現在進行中の教育改革や教員養成システムの改変を視野に入れながら、新しい時代における女性教員養成の在り方とそのキャリア・パスを検討することを目的としている。本研究を通じて、今後の日本女子大学の教職課程の改革に寄与できればと考えている。 -
31日本女子大学における働く母親の子育て支援
紀要PDF
研究期間
2005年4月1日~2008年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 佐々井啓(被服学科教授、元さくらナースリー主事)
- 研究員(分担者)
-
黒瀬優子(附属豊明幼稚園園長)
岩崎洋子(児童学科教授)
堀越栄子(家政経済学科教授)
丸山千寿子(食物学科教授、元委託者代表)
杉山哲司(児童学科准教授)
百々佑利子(児童学科教授) - 客員研究員
-
高木郁朗2007.4.1.~
品田ひでこ2006.4.1~
関本泰子
大野知美(協力者)
小熊わか(協力者)
研究目的
日本女子大学の保育所「さくらナースリー」は、本学教職員のために昭和45年に設立が決定され、翌46年(1971)年に開所した。その前には卒業生が自宅を開放した「めぐみ保育園」があり、当時の教職員の熱心な運動や資金集めの結果、新設される豊明幼稚園の2階の一部に学内保育所が開設された。時代を先取りする画期的な発想の下に、人件費を負担して「0歳児からの子育て支援策」が始まったのである。専任保育士による入念な保育プログラムや手作りのおやつや昼食は利用者から高い評価を得た。通信課程生も夏のスクーリング中に子どもを預けた。現在本学が目指す生涯教育の実現に学内保育所は重要な責務を担ってきた。「働くママの味方」あるいは「次世代育成支援」というコンセプトはこの数年社会的な広がりをみせ、学園内保育所や企業内保育所の設置、地域への開放など、多様で安価な保育サービスが立案実施されている。しかし、保育は委託業者に委せきりであったり、運搬保存しにくい離乳食を家からもたせたり等、子どもの健康と発達に配慮しない杜撰さも目立ち利用者が増えていない保育所も多い。「さくらナースリー」は、少子化現象、教職員の職住の遠い距離、保育料の高さが障害となって、入所児の数が減少している。一方で国策として子育て支援は重要視され、本学でも今までとは違う形の支援への需要があるように思われる。附属幼稚園児およびその家庭の乳幼児の保育、研究生や院生の子どもの一時保育を求める声が聞かれるようになった。「さくらナースリー」は本年創立35周年を迎えた。仕事・学問と子育ての両立、女性の生涯教育の実現という原点にある発想を大切にしながら、今日的な問題に関わる調査・研究に基づいた21世紀型の学内保育所の意義と在り方を考察し、本学の発展(学生の教育、実地体験、教職員の支援)と社会貢献(広い子育て支援)のための将来構想を展開する指針を見いだすことが本研究の目的である。
2007年度には下記のことを計画している。
1)さくらナースリーの現状の分析、他保育所の聞き取り調査の継続—とくに保育士、調理師の労働環境について
2)文京区との連携について
3)インターンシップ証の発行
4)認証、認可、認可外保育所についての研究—民間委託を含めた業務の在り方についても含める。 -
30教育現場における精神的な困難を抱えた子どもたちと家族への支援のあり方に関する総合的研究
紀要PDF
研究期間
2005年4月1日~2007年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 飯長喜一郎(心理学科教授)2007.1.1.~
- 研究員(分担者)
-
高木郁朗(家政経済学科教授)
鵜養美昭(心理学科教授)
功刀俊文(付属豊明小学校校長)
山口博子(付属豊明小学校教諭)
河合洋子(付属豊明小学校教諭)
永田陽子(付属豊明幼稚園教諭)
小川賀子(付属豊明幼稚園教諭
小宮恭子(カウンセリングセンター研究員)
山品敦子(カウンセリングセンター研究員) - 客員研究員
- 上林靖子
生地新
研究目的
子育てや教育をめぐる社会文化状況の急速な変化のなかで、心理発達上のつまずきや対人関係上の傷つきなどを契機として、心身の不調や逸脱的な行動を示す子どもたちが増加していると言われている。発達途上にある子どもたちは、精神的な困難を内面的に抱えることが困難であり、近年、急速に拡大している映像メディアやインターネット情報の影響も受けやすく、多様な行動で自らの精神的な困難を表現していると思われる。そして、旧来のいわゆる「不登校」や「非行」などのカテゴリーに入りにくい、新しいタイプの行動上の問題を目にすることも増えてきている。本研究の目的は、①個人のプライバシーに配慮しつつ教育現場における子どもたちの様々な精神的困難の様相を調べ類型化した上で、類型別の子どもと家族への支援のあり方を検討すること、②そこで得た知見を教育現場にフィードバックすることを目的とする。本研究は、一貫教育体制をとっている日本女子大学と附属校園、カウンセリング・センターの共同研究として実施する。研究にあたっては、臨床心理学及び精神医学の専門家がリーダーシップをとるが、教育学や児童学、児童青年精神医学など、大学内外の専門家の協力も得る予定である。 -
29成瀬仁蔵と近代日本の宗教
紀要PDF
研究期間
2005年4月1日~2008年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 臼杵陽(史学科教授)2007.4.1.~
- 研究員(分担者)
- 村井早苗(史学科教授)
- 客員研究員
-
林淳
高橋原
久保田浩
星野靖二
辻村志のぶ 2006.4.1.~
鶴岡賀雄 2006.10.1.~
磯前順一 2007.4.1.~
研究目的
本研究では、日本女子大学の創立者、成瀬仁蔵の宗教観および建学の精神を、近代日本の宗教の歴史状況との関係性から考察してゆきたい。成瀬の研究については、近年では総論的な伝記叙述に発展的な成果が見られるものの、いまだ彼の宗教観の解明については十分とは言えない。そこで本研究では、前回の総合研究所のプロジェクト「成瀬仁蔵の宗教観」をさらに発展させることで、成瀬の儒教、仏教、キリスト教、帰一教会とのかかわりをふまえたうえで、日本女子大の建学精神との関係にまでふみこんでゆきたい。そして、本研究を進めるなかで、その成果を日本思想史や歴史学、宗教学など、さまざまな研究分野において発表してゆくことで、成瀬仁蔵の思想の持つ今日的意義を今日の日本の知識社会に広く問いかけてゆきたい。
今年度は、前年度までに明らかにした宗教言説の側面に加えて、明治期から大正期にかけての天皇制、国家神道の成立等、社会状況に照らしながら、成瀬自身の宗教観の変遷を、明治・大正時代の思想状況の中に位置づけて評価したい。彼との交友であった姉崎正治、渋沢栄一、澤山保羅、その他キリスト教系知識人との比較を行いながら、成瀬の宗教的理念の独自性を検討し、日本女子大学の建学の精神との関連にも踏み込んで考察したい。 -
28女子大学における生涯学習の意義
紀要PDF
研究期間
2004年4月1日~2007年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 岩田正美(社会福祉学科教授)
- 研究員(分担者)
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真橋美智子(教育学科教授)
岩木秀夫(教育学科教授)
百々佑利子(児童学科教授)
佐々井啓(被服学科教授)
三神和子(英文学科教授)
倉田宏子(日本文学科教授)
小林多寿子(現代社会学科教授)
堀越栄子(家政経済学科教授)
天野晴子(家政経済学科助教授)
高増雅子(家政経済学科助教授)
溝部優実子(日本文学科助手)2005.4.1~2006.9.30 - 客員研究員
-
大浜慶子
鄭銀志
研究目的
本学の女子教育は、そこに生涯教育の要素を創立時から含んでいたことにより、内外から注目され、高く評価されていることは周知の事実である。しかし、昨今の状況を見ると、生涯学習を掲げて様々な広報宣伝を行なっている大学が非常に多くなっている。そこで、本研究では、これまでの本学の教育目標や教育経験を踏まえて、新しい時代の生涯学習のあり方について、再び女子教育という点から捕らえなおすことが必要であると考える。本研究では、女子教育における生涯学習の意義を考察することを目的とする。
そのための方法として、第一に、これまでの本学に蓄積されてきた生涯学習についての諸調査、研究を収集し、生涯学習の場を提供してきた本学の通信教育、生涯学習総合センターや日本女子大学教育文化振興桜楓会の全国的な活動を踏まえて、その意義を検討する。
第二に国内の女子大学、国外、特にアジアの女子教育における生涯教育の実態について調査し、比較検討する。
第三に卒業生や生涯学習総合センターの利用者への調査を実施し、大学が提供する生涯学習のありかたについて考察する。 -
27学際的共同研究による生活安全保障科学の創成
紀要PDF
研究期間
2004年4月1日~2007年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 河内十郎(児童学科教授)
- 研究員(分担者)
-
多屋淑子(被服学科教授)
Nguyen Van Chuyen(食物学科教授)
佐藤和人(食物学科教授)
松影昭夫(物質生物科学科教授)
蟻川芳子(物質生物科学科教授)
石川孝重(住居学科教授)
小舘香椎子(数物科学科教授)
飯長喜一郎(心理学科教授)
川澄俊之(食物学科教授)
大塚美智子(被服学科教授)
平田京子(住居学科助教授)
鵜養美昭(心理学科教授)
堀越栄子(家政経済学科教授)
清水賀代(数物科学科講師) - 客員研究員
-
岡崎廉冶 2006.4.1.~
小尾欣一 2006.4.1.
研究目的
現在、人間を取り巻く生活環境はさまざまな危険因子を含んでおり、健康や心の平静の維持が困難な状況にある。このため、生活の危機を最低限にとどめ、快適で健康な生活を安心して送るための方策が必要で、生活の安全を保障するための研究開発や情報提供を積極的に進めることが切望されている。こうした状況の中で本学では、家政学部の食物学科、被服学科、住居学科などがそれぞれ実践科学の立場から食環境、衣環境、住環境の安全に関する研究を進め、また理学部は基礎科学の立場から有害物質の分析、除去などの研究を行なっている。さらに人間社会学部は、家族の問題を含む心の安全を保障する方策を探求している。このように本学ではさまざまな側面から生活の安全にアプローチした研究が進められており、それぞれ大きな成果をあげているが、残念ながら個別研究の段階に留まっており、成果を生活安全保障というかたちに統合する段階には至っていない。本研究はこうした本学の現状を踏まえ、学部・研究科の枠を超えた研究の統合を図ることによって「生活安全保障科学」という新しい学問体系を創成し、その成果を広く社会に発信することを目的としている。その為には、本学各教員が既に個別に進めてきて成果をあげている生活安全保障に関する研究を相互に発表しあい、その中から共同研究の芽を育てていくことが必要で、その第一段階として、教員各自の研究成果の発表の場としての「日本女子大学生活安全保障セミナー」を開催することが、本研究の具体的な目的の一つとなっている。 -
26学園の桜・日本の桜
紀要PDF
研究期間
2003年4月1日~2005年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 中村輝子(物質生物科学科教授)
- 研究員(分担者)
-
金子堯子(物質生物科学科教授)
辻誠治(附属豊明小学校教諭)
津島美穂(物質生物科学科助手)
小笠原小枝(被服学科教授)
石井倫子(日本文学科講師)
安達啓子(文化学科教授) - 客員研究員
- 孫佩霞
研究目的
日本の桜、ハナザクラは、日本列島の気候風土と日本人の好みにマッチして育てられ、今日では世界に誇る300種におよぶその品種が作られるとともに、桜に関する文化、桜文化ともいうべきものが築かれてきた。当学園においても桜は重要な環境要素として育てられ、創立以来生徒や学生たちとともに毎春の訪れを祝ってきた。また桜は校章のデザインとしても用いられて、当学園の生活とは密接な関係を有してきた。当研究においては、このような桜が学園において果たしてきた役割を歴史的に掘り下げ、また今日の環境変化がその植栽環境に及ぼす影響を調査研究し、さらに広く日本文化史の中で、桜の根源的な「美」を考察することにより、桜に関する総合的な研究を行う。 -
25西生田キャンパスの森の保全と教育利用に関する基礎調査
紀要PDF
研究期間
2003年4月1日~2006年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 関口文彦(物質生物科学科教授)
- 研究員(分担者)
-
今市涼子(物質生物科学科教授)
中村輝子(物質生物科学科教授)
津島美穂(物質生物科学科助手)
青木ゆりか(附属高等学校教諭)
大塚泰弘(附属高等学校教諭)
中村礼子(附属中学校教諭)
大越佳子(附属中学校教諭)
澤達大(附属中学校教諭)
森田真(附属中学校教諭)
辻誠治(附属豊明小学校教諭)
桑原正孝(附属豊明小学校教諭)
黒瀬優子(附属豊明幼稚園園長)
潤賀史津佳(附属豊明幼稚園教諭) - 客員研究員
- 星野義延
研究目的
本学の西生田キャンパスの森は、近隣の緑の大半が宅地造成などによって消失する中で、この地域の貴重な森の中核をなしている。この森はコナラ、クヌギなどを中心とする落葉広葉樹林と、アラカシ、シラカシなどからなる常緑広葉樹林などで構成され、かつて多摩丘陵に広範にみられた住民の生活の場としての「里山」の面影を残すものである。しかし、この20年近くの間、下刈りや落ち葉掻きなどの施業が停止されており、つる植物やササなどが繁茂し、大変荒れた状態を呈している。林床に生育するエビネランやクマガイソウなどの希少植物も著しく個体数を減少させており、このままでは森から消失するのは必至の状況にある。この豊かな森は、幼稚園児から大学生までの広い層への理科・生物学教育だけにとどまらず、人文・情操教育など様々な分野にも利用し得る、本学の貴重な財産といえる。
荒れ行く森の現況調査を行い、回復への指針を示すことは、本学の教育にとって今まさに緊急を要する課題である。本研究では西生田キャンパス全域の森の植物相調査、植生調査、ならびに土壌調査などの基礎調査を行い、これらのデータに基づき、西生田キャンパスの森の回復、保全プログラムの作成、さらには教育の場としての森林設計について提言を行うことを目的とする。 -
24日本女子大学寮の100年
紀要PDF
研究期間
2002年4月1日~2005年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 小谷部育子(住居学科教授)
- 研究員(分担者)
-
沖田富美子(住居学科教授)
定行まり子(住居学科助教授)
高橋雅江(数物科学科教授)
真橋美智子(教育学科助教授)
大場昌子(英文学科助教授)
後藤弥生(住居学科助手) - 客員研究員
-
一番ヶ瀬康子
館岡孝
長田真澄
多田良子
研究目的
創立者・成瀬仁蔵により日本女子大学が設立され、今年で100周年を迎えた。開校と同時に寮も開寮した。その寮の100年の歴史・教育・生活・環境全般を総合的に捉え、その特色を明確にすることを本研究の目的とする。
そのために、これまでの女子教育研究所の調査資料や寮生名簿から桜楓会名簿を照合し資料調査を行い、寮出身者の動向調査をアンケートや聞き取り等で分析する。さらには本学と関係深い国内国外(主にアメリカ)の寮の資料収集調査を行うことにより、本学寮の有意性を検証すると共に未来につなげていきたい。 -
23日本と世界の「新しい女」たち―日本女子大学校と『青鞜』の時代
紀要PDF
研究期間
2002年4月1日~2005年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 倉田宏子(日本文学科教授)
- 研究員(分担者)
-
佐々井啓(被服学科教授)
三神和子(英文学科教授)
高頭麻子(史学科助教授)
村井早苗(史学科助教授)
馬場哲雄(現代社会学科教授)
坂井妙子(文化学科講師)
溝部優実子(日本文学科助手) - 客員研究員
-
菅井かをる
鬼頭七美
小林美恵子
橋本のぞみ
渡部麻実
研究目的
1911年(明治44年)平塚らいてうをはじめ、日本女子大学校同窓の若い女性たちが中心となって、『青鞜』を創刊し、女性の解放をうたった。いわゆる「新しい女」の登場であり、日本社会における女性解放運動の出発である。しかしながら、「新しい女」の登場は日本にかぎったことではなく、解放と新しい生き方を主張した女性たちは、他の国でも、特に欧米で、もっと早くから存在した。では、日本の『青鞜』の「新しい女」の特質はどこにあり、彼女たちは他国の「新しい女」たちとどこが違い、どこに共通項をもっているのであろうか。日本の「新しい女」をより正しく理解するためには、他国の「新しい女」とつきあわせ、引き比べることが必要である。また、欧米においては、女子高等教育と女性解放運動が「新しい女」の出現に大きくかかわっているが、日本においても草創期の日本女子大学校の教育は、『青鞜』の中心メンバーとなった日本女子大学校同窓生たちの活動に、どのようにかかわっているのであろうか。
この研究の目的は、『青鞜』に参加した日本女子大学校同窓生たちを研究すると同時に、欧米(英米仏)の「新しい女」について研究し、また、草創期における日本女子大学校の教育や学生生活を考察することによって、世界の女性運動の大きなうねりのなかにおける、日本の『青鞜』の女性たちの特質と位置を見つけ出すことにある。
本研究の目的は、1911年創刊の『青鞜』に参加した日本女子大学校同窓生たち、すなわち日本の「新しい女」の研究と、欧米(英米仏)の「新しい女」の研究を同時に進めることにより、世界の女性解放運動における『青鞜』運動の特質や位置を明らかにすることにある。その際重要なことは、草創期の日本女子大学校の教育が、本学同窓生である『青鞜』社員や『青鞜』運動にどのような影響を与えたのかを解明する点にある。 -
22成瀬仁蔵の平和思想と女性の平和運動
紀要PDF
研究期間
2002年4月1日~2005年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 杉森長子(文化学科教授)
- 研究員(分担者)
-
蟻川芳子(物質生物科学科教授)
金子堯子(物質生物科学科教授)
小塩和人(英文学科助教授) - 客員研究員
-
中嶌邦
秋林こずえ
松沼真由子
呉礼子
守田茉莉子
研究目的
本学創立者、成瀬仁蔵が日本における女子高等教育のパイオニアであることは衆人の知るところである。本研究は、成瀬の女子教育論の基底をなすヒューマニズムの社会的表象、平和思想に着目し、成瀬の平和思想が女子高等教育においてどのように根付き、女性の平和運動として展開されていったかを探求しようとするものである。
日本における女性平和運動のパイオニアは、今春設立80周年を迎えた日本婦人平和協会である。この団体は第一次世界大戦中に始まる成瀬と国際的な女性平和運動との出会いのなかから生まれ、成瀬の教え子たちに育まれ、国際的な女性平和団体、婦人国際平和自由連盟日本支部として今なお世界的規模で活動を継続している。
成瀬の教えを受けた日本女子大学卒業生たち、特に、井上秀と上代タノは日本婦人平和協会設立にかかわり、婦人国際平和自由連盟日本支部の会長となり、また大橋広、管支那、野見山不二、野宮初枝、辻キヨも会長をつとめ、さらに多くの教え子たちが今日もなお理事として活動を支えている。
本研究では、成瀬の平和思想の思想的研究とともに、成瀬の平和思想の実践面に関する実証的研究を目指す。日本婦人平和協会や婦人国際平和自由連盟日本支部の80年にわたる活動を整理・分析し、成瀬の教え子たちや日本女子大学関係者による平和活動を明晰にし、成瀬の平和思想が女子教育を通して平和運動として展開するダイナミズムの諸層を歴史的かつ実証的に研究する。 -
21成瀬記念館分館(旧成瀬先生住宅)に関する研究
紀要PDF
研究期間
2002年4月1日~2004年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 鈴木賢次(住居学科教授)
- 研究員(分担者)
-
後藤久(住居学科教授)
尾林道子(住居学科助手) - 客員研究員
- 渡辺保弘
小橋安紀子
沼田早苗
研究目的
創立100周年を迎えた本学で、成瀬記念館分館(旧成瀬先生住宅)は唯一、創立時(明治34年)以来の遺構である。本学にとって、その記念的な重要性は計り知れないが、明治期の都市専用住宅の遺構としても稀少で、貴重な文化遺産といえよう。
ところで、東京都には不忍通りの拡幅の計画があり、それが実施されれば、成瀬記念館分館(旧成瀬先生住宅)の一部が引っかかることになる。近い将来に、用地買収が始まるとされているので、移築を含めた保存・活用の方策を緊急に検討する時期に至っている。
本研究は、建物の現状調査を行い、詳細な実測図を作成し、移築工事のための基本的な事項を解明・資料化し、将来の事態に備えることを目的にしている。 -
20本学の食教育を通してみた成瀬仁蔵の教育理念とその継承 ―創立から新制大学発足時までの調理を担当した人々を中心に―
紀要PDF
研究期間
2001年4月1日~2004年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 本間健(食物学科教授)
- 研究員(分担者)
-
吉中哲子(食物学科教授)
天野晴子(家政経済学科講師)
飯田文子(食物学科講師) - 客員研究員
-
石川松太郎
三輪里子
鈴木みのり
徳野裕子
研究目的
本学の家政学は食教育にかなり重点がおかれていたことはよく知られている。それが他の女子教育機関と異なる本学独自性の一つともなっていたと考える。本研究ではそれがどのような成瀬の教育理念に基づくものであったかを明らかにすると共に、その継承がどのように行われていたかを創立から新制大学発足時までの人々を中心に分析する。食教育のなかでも特に調理は明治、大正、昭和にわたり創立者成瀬仁蔵から直接教えを受けた本学の卒業生によって担当されてきた。しかもその多くは寮監として授業以外の実践の場での教育も担っていた。さらに卒業生以外で成瀬の教育方針に賛同した人々によっても行われた。本学の卒業生には、玉木なお(1家)、手塚かね(1家)、大岡蔦枝(2家)、松本幸(2家)、藤田てい(10家)、東佐誉(13教・家2)、亘理ナミ(18師家)、小林文子(24師家)、後者では山崎武八郎、赤堀峰吉、渡辺鎌吉、ブラッドへリー、赤堀菊子らがあげられる。
本研究ではこれら本学創立から新制大学発足時までの調理を担当した人々をとりあげる。
研究目標は、(1)成瀬仁蔵の教育理念が食教育、特に調理教育でどのように息づいてきたか
(2)それらの人々の経歴をたどり、その調理の授業内容を収集・分析し本学の特徴を明らかにする(3)同時代の他の女子高等教育機関における調理教育と比較検討するなどである。 -
19中高一貫教育に関する総合的研究
紀要PDF
研究期間
2001年4月1日~2003年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 坂田仰(家政経済学科助教授)
- 研究員(分担者)
-
久保淑子(数物科学科教授)
倉田あゆ子(家政経済学科助手)
前典子(附属豊明幼稚園園長)
黒瀬優子(附属豊明幼稚園教諭)
小川賀子(附属豊明幼稚園教諭)
茂木潤子(附属中学校教諭)
本木綾子(附属中学校教諭)
柳沢清美(附属中学校教諭)
梶田由紀子(附属高等学校教諭)
田尾澄子(附属高等学校教諭)
薄由美(附属高等学校教諭) - 客員研究員
-
田中洋
小川雅子
河内祥子
研究目的
日本社会において学校教育の荒廃が社会の大きな関心を集めるようになってから既に久しい。中央教育審議会をはじめ各種の審議会・団体が、それぞれの立場から様々な改革案を提示している。その中にあって、政府は注目すべき幾つかの法改正を実施した。本研究においては、その中から、学校教育法の改正によって新たに設けられた「中等教育学校」及び「中高一貫教育」について理論と実践の双方から総合的・学際的に研究することを目的としている。
日本女子大学は、これまで長きにわたり幼稚園から大学・大学院に至る一貫教育の充実に努めてきた。その源泉が創立者である成瀬仁蔵にまで遡ることは周知の事実である。価値観の多様化とこれまでの学校教育制度の揺らぎを受けて新たな方向性として打ち出されている中高一貫教育と、本学が伝統的に取り組んできた一貫教育の異同を明らかにすることは、新しい世紀を迎えるにあたり本学の建学の理念をスクールアイデンティティとして具体化し、今後の発展可能性を模索するにあたり不可欠の作業である。そこで、これまで本学における一貫教育の在り方について検討を重ねてきた「一貫教育を考える会」との連携をはかりつつ、広く中高一貫教育全般にわたる基礎研究を行いたいと考えている。 -
18成瀬仁蔵の宗教観
紀要PDF
研究期間
2001年4月1日~2004年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 磯前順一(史学科助教授)
- 研究員(分担者)
- 永村眞(史学科教授)
- 客員研究員
-
アンニーバレ・ザンバルビエーリ
高橋原
金子奈央
研究目的
本研究では、日本女子大学の創立者、成瀬仁蔵の宗教観を究明することを目的とする。成瀬は、かつて福沢諭吉・新島襄と並び称された私学創設の功労者であるが、残念ながら、現在では十分にその社会的功績や歴史的に果たした役割が認識されているとは言い難い。そこで本研究では、研究代表者をはじめ分担者の多くが専門とする宗教研究の視点から、成瀬の宗教観を、明治・大正期の社会の変遷過程と関係づけながら、彼のキリスト教や仏教との関わり、帰一協会設立に到った意図を解明してゆく。そして、最終的にはそのような宗教観と本学の創設がどのような関係にあるのかを解明し、成果を海外にも問いたい。 -
17学園における「総合学習」の検討
紀要PDF
研究期間
2000年4月1日~2003年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 小林基男(附属高等学校教諭)
- 研究員(分担者)
-
黒瀬優子(附属豊明幼稚園教諭)
小川賀子(附属豊明幼稚園教諭)
山口博子(附属豊明小学校教諭)
神山智之(附属豊明小学校教諭)
斉藤純子(附属豊明小学校教諭)
中村礼子(附属中学校教諭)
鈴木秀一(附属中学校教諭)
本木綾子(附属中学校教諭)
沢達大(附属中学校教諭)
峯岸憲一(附属中学校教諭)
國澤恒久(附属中学校教諭)
大川ソノ子(附属高等学校教諭)
金子健一(附属高等学校教諭)
添谷陽子(附属高等学校教諭)
杉山昌謙(附属高等学校教諭)
菅間博之(附属高等学校教諭)
日朝秀宣(附属高等学校教諭)
桧山純一(附属高等学校教諭) - 客員研究員
- -
研究目的
今次の教育課程の改訂によって(1998年6月23日発表)、小・中学校においては2002年度より、高等学校においては2003年度より総合的な学習の時間(以下「総合学習」とする)が設けられることになった。そこでは教科の枠を越えた学習内容の総合的把握をめざすことと、学習者の自発性と創意工夫を最大限に生かすことが求められている。この時学習者の自発性や創意工夫をしっかりと受けとめ、適切なアドヴァイスを行うことで、単なる放任にならないように気配りする教員の力量が何よりも重要なことになる。このことが総合学習を実りあるものにできるか否かのポイントであろう。しかも「総合学習」は小学校3年生から高等学校3年生まで10ヵ年継続的に実施される。それ故本学園のような幼稚園から大学院までの一貫教育校においては、附属各校がそれぞれ独自に「総合学習」のテーマを考えていくと共に、小3~高3までを貫く共通テーマを考え、相互に協力・相談しながら準備を進め、本学園に独特の「総合学習」カリキュラムを作成していくことが出来れば、一貫教育校としての本学園の独自性を出していけるとも思えるのである。ここに創立以来の教育目標を重ねることで、受験生父母の理解を得、さらに大学教員の協力を得ることでより充実した内容を実現しその上に共同研究を実施したことで、小中、中高間の教員の相互交流と人事交流の道を広げていくことも目的の一つである。なお本研究には日々が即ち総合学習であると考えている幼稚園にも参加していただく。 -
16日本の社会福祉発達と本学社会事業学部創設の意義に関する研究
紀要PDF
研究期間
2000年4月1日~2002年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 田端光美(社会福祉学科教授)
- 研究員(分担者)
-
岩田正美(社会福祉学科教授)
小山聡子(社会福祉学科専任講師)
須之内玲子(社会福祉学科助教授)
牧野田惠美子(社会福祉学科教授)
成田龍一(現代社会学科教授)
真橋美智子(教育学科助教授) - 客員研究員
-
一番ヶ瀬康子
寺脇隆夫
中嶌邦
研究目的
日本女子大学社会福祉学科は1921年(大正10)年9月26日、社会事業学部として開設され、わが国最初の社会事業に関する女子高等教育機関として、本学創立100周年には80周年を迎えるに至っている。
社会事業学部は、創立者成瀬仁蔵先生の社会改良思想と女子の総合大学構想の中に位置づけられ、第二代校長麻生正蔵先生が「時期はいまや正に熟しきった」と学部開設の趣旨を当時の桜楓会『家庭週報』に述べているように、わが国が欧米の影響を受けて科学的社会事業の設立を目指した時期と機を一にして開設されて以来、戦時下の苦悩の時期を越えて今日まで、社会に貢献する人材を多く輩出してきた。今日の社会福祉をめぐる国際的情勢は、21世紀における新しい変革を目指し、わが国でも社会福祉制度の改革が行われようとしているが、その中でも社会福祉の専門教育及び人材養成はますます重視され、新たな教育機関が新設されつつあるのが現状である。このような状況のなかで、本研究は本学100周年、社会福祉学科80周年を迎えるにあたり、申請者各自の歴史研究及び社会福祉の研究・教育の蓄積を基に、本学社会事業学部の歴史的意義と貢献をあらためて包括的に研究し、今後の社会福祉教育と本学の発展に資することを目的とするものである。
1995年〜1999年
-
15成瀬仁蔵の女子教育 ―初期日本女子大学校卒業生のアメリカ留学と国際交流にみる
紀要PDF
研究期間
1999年4月1日~2002年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 島田法子(英文学科教授)
- 研究員(分担者)
-
蟻川芳子(物質生物科学科教授)
杉森長子(文化学科教授)
小塩和人(英文学科助教授)
松沼真由子(英文学科助手) - 客員研究員
-
徳野裕子
小林陽子
研究目的
本学の創立者である成瀬仁蔵が、女子大学校を創設するにあたりアメリカを視察して当時のアメリカの女子教育から示唆を受けたこと、そして日本における女性指導者を育成するにあたり、初期の日本女子大学校卒業生がアメリカに留学して研鑽をつむことを奨励したことはよく知られている。なかでも、丹下梅子(1家:ジョンズホプキンス大学Ph.D.)、井上秀(1家:コロンビア大学)、上代タノ(7英:ウェルズカレッジM.A.)、高良とみ(14英:コロンビア大学Ph.D.)、浅賀ふさ(12英:シモンズ女子大学M.A.).は様々な分野における傑出した指導者になった。その他にも正田淑子(1英:コロンビア大学M.A.)、大橋広(3英:シカゴ大学Ph.D.)、原口鶴子(3英:コロンビア大学Ph.D.)、土屋愛子(4英:オベリン大学)、富山時子(6英:コロンビア大学M.A.)等々の多彩な指導者が本学卒業後にアメリカでの教育を経て育っている。 本研究はそのような初期本学出身の女性指導者群像を研究対象に取り上げる。そのとき(1)成瀬仁蔵の教育理念がどのように彼女たちのバックボーンとして生きていたか、(2)アメリカ留学の経験がどのようにその後の進路、活動に影響を与えたか、(3)日米関係、国際交流とどのように関わったかを分析することを、共通の研究目標とする。 -
14中高一貫教育における学校図書館の在り方について
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研究期間
1999年4月1日~2001年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 坂田仰(家政経済学科専任講師)
- 研究員(分担者)
-
田中功(日本文学科教授)
倉田あゆ子(家政経済学科助手)
井田絹子(家政経済学科助手)
高畑瑠美子(附属高等学校教諭(司書))
大川るみ(附属中学校教諭(司書))
乗田令子(附属豊明小学校教諭(図書館担当)) - 客員研究員
-
小川正人
田中洋
研究目的
学校教育の荒廃が社会の大きな関心を集めるようになってから既に久しい。中央教育審議会をはじめ各種の審議会・団体が、それぞれの立場から様々な改革案を提示している。その中にあって、政府は注目すべき幾つかの法改正を実施した。本研究においては、その中から、学校教育法の改正によって公立学校においても可能となった「中高一貫教育校」と、学校図書館法の改正によってその重要性が再認識されている「学校図書館」の二つについて、その関連性、理論的側面および実践の在り方を検討し、今後の本学の学校図書館の一貫教育への応用可能性を模索することを目的としている。基礎的理論研究はもとより、他の先進国立、私立学校の実証的比較研究を行う予定である。また、将来的には、大学・附属校園を問わず、本学の全図書館を一つの有機体として捉えた情報メディアセンター化の可能性についてまで視野に入れたいと考えている。 -
13日本女子大学式統語および意味の理解テスト(J.COSS;JWU test for Comprehension of Syntax & Semantics)を用いた日本語の言語発達過程の横断的研究
紀要PDF
研究期間
研究組織
- 研究員(代表者)
- -
- 研究員(分担者)
- -
- 客員研究員
- -
研究目的
1997年4月よりJ.COSS言語研究会を発足し、英語版文法理解テストTROGならびにそのフランス語版L´E.CO.S.SEを基に、日本語における文法構造の発展段階を調査するテスト(J.COSS)の制作を開始している。1998年10月現在第二次調査(詳細は別添企画書参照)を実施中で、その中間結果では尺度分析の再現性係数が87.1%(まず信頼できる水準)であった。今後微調整を行い、4歳から12歳までの日本語を母語とする児童の言語発達段階を調査するテストとしてJ.COSSの標準化を行う予定である(本年度中)。
そこで、来年度はこの標準化されたテストを用いて3つの発達分野における文法能力を調査し、幼児期から老齢期までの生涯に渡る言語能力の発達過程を調査するとともに、本学園の一貫教育における言語能力への影響を横断的に研究する。また個人別言語能力の特徴をふまえ、各自の持ち味を生かした能力の発揮と伸展を支援する方法を考察する。
幼児・児童を対象とする研究:4歳から12歳までの幼稚園児や小学生など
……豊明幼稚園:吉岡しのぶ
……豊明小学校:稲子智幸・武藤亜希子・大越保
J.COSSの信頼性および妥当性の調査、ならびに保育や教育の重点項目と言語能力の関連を考察する。
成人・老人を対象とする研究:13歳以上、大学生など
……心理学科:小山高正・宇野儀子
成人版J.COSSの制作、ならびに老齢期における文法能力の発達過程を調査する。
日本語の文法能力に遅滞が認められる者を対象とする研究:帰国子女や言語発達遅滞児など
……児童学科:福本俊
日本語を学習する場合に困難が示される文法領域の調査、
ならびに特異的な文法理解パターンを示す者への再教育法を検討する。
なお本テストは最終版までにテスト問題を携帯型コンピューターへ移植する。これにより実施時間が統御されるとともに、収集データを迅速かつ詳細に分析し、個人ならびに集団の解析結果を即時フィードバックすることが可能になりテストの利便性向上を図る。 -
12日本女子大学家政学部の100年―どのような卒業生を送り出したか―
紀要PDF
研究期間
1999年4月1日~2002年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 江澤郁子(食物学科教授)
- 研究員(分担者)
-
真橋美智子(教育学科助教授)
沖田富美子(住居学科教授)
佐々井啓(被服学科教授)
塚原典子(食物学科助手) - 客員研究員
-
一番ヶ瀬康子
館岡孝
大野静枝
小川信子
宮崎礼子
赤塚朋子
研究目的
日本女子大学創立者・成瀬仁蔵は、日本で初めて家政学部を構想・設立した。その日本女子大学家政学部が100年を迎えるにあたり、本学家政学部の教育と研究の特色を、卒業生の動向を捉えることによって建学の精神とその使命を明らかにすることが、本研究の目的である。
そのために、桜楓会員名簿をはじめ桜楓会がすでに行った調査および女子教育研究所の調査研究の蓄積をふまえ、それ以降の資料を収集・調査することによって、家政学部が社会に送り出した人々の全人的な発達を検証したい。 -
11姉崎正治関連資料の整理及び日本宗教学の成立史的研究
紀要PDF
研究期間
1998年4月1日~2001年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 磯前順一(史学科助教授)
- 研究員(分担者)
- 多田狷介(史学科教授)
- 客員研究員
-
宮崎賢太郎
深澤英隆
研究目的
姉崎正治(1873-1949)は、日本の宗教学の基礎を築いた存在であるが、成瀬仁蔵とは帰一協会における盟友でもあった。姉崎の自伝『わが生涯』や成瀬の死後にかかれたエッセイ「成瀬仁蔵兄の信念生活」には、成瀬の生前の姿が活写されており、そこには両者の強い精神的結びつきがうかがわれる。
生前は宗教学者・文筆家として国際的知名人だった姉崎も、死後には永く忘れられた存在であった。しかし近年、明治期における近代諸学の生成についての見直しが進むとともに、姉崎正治への関心が、国際的にも高まりつつある。しかし姉崎に関してはその基礎資料すら収集・整理がなされていないのが現状である。
姉崎が宗教学科主任教授として、また図書館長として奉職していた東京大学には、全く未整理のままに、姉崎正治の原稿・遺品・遺蔵書などの資料が残されていた。本研究は、東京大学に残されていたこの姉崎正治関連資料を分類・整理して目録化するとともに、その内容を、刊行された著作・論文の再検討ともあわせて分析し、日本宗教学の成立史を跡づけることを目的としている。本研究で扱う資料は、姉崎正治の資料という範囲を超えて、近代の学問史の第一級資料であり、近代日本の学問・宗教・教育の関連を理解する上でも、貴重な材料となるものである。本資料のなかにはまた、帰一協会に関係する資料も含まれており、成瀬仁蔵研究にも資するところ大であると考えられる。 -
10学園における一貫健康教育の必要性と効果の検討
紀要PDF
研究期間
1998年4月1日~2001年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 佐藤和人(食物学科助教授、保健管理センターセンター長)
- 研究員(分担者)
-
江澤郁子(食物学科教授)
草彅秋男(附属高等学校校長)
鈴木由紀子(附属中学校校長)
功力俊文(附属豊明小学校校長)
森田美喜子(附属豊明幼稚園園長)
丸山千壽子(食物学科講師)
塚原典子(食物学科助手)
加藤千晶(食物学科助手) - 客員研究員
- 田中たえ子
研究目的
一生を通じて心身の健康を保つためには生涯におよぶ健康教育が必要である。なかでも幼児期から青年期に及ぶ学園生活はその基礎を作り上げる最も重要な期間である。本研究では幼稚園から大学までの共同研究により、園児、児童、生徒、学生の健康に対する意識、現在の健康状態、健康上の問題点などをアンケート調査や健康診断・測定により把握するとともに、それらに対する効果的な指導法を検討し開発する。具体的には(1)骨の健康(2)肥満とやせ(3)アレルギーを中心課題に置いて研究をすすめる。(1)の課題については本学中学生の調査によりエネルギー、カルシウム、鉄の摂取が必要量に達しておらず、特に3年生では骨密度が低いことが明らかとなっている。生涯にわたる骨の健康に対する早期教育は重要な課題である。(2)の課題については食行動異常による過食や拒食が増加するとともに低年齢化してきている。また、偏った食事や運動不足による小児成人病が問題となってきている。正しい食行動に導く早急な対策・指導が必要である。(3)の課題については環境や食生活の変化、ストレス増加のため喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患がますます増加してきている。アレルギーの現状把握と対策が必要である。本研究においてこれらの課題に対する健康教育の必要性と効果を検討する。 -
9「社会系」教科における中・高一貫カリキュラムの総合
紀要PDF
研究期間
1998年4月1日~2000年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 高山博之(教育学科教授)
- 研究員(分担者)
-
小林基男(附属高等学校教諭)
本木弘悌(附属中学校教諭)
澤達大(附属中学校教諭)
柳沢清美(附属中学校教諭)
峯岸憲一(附属中学校教諭)
金子健一(附属高等学校教諭)
水野清(附属高等学校教諭)
杉山昌謙(附属高等学校教諭)
田岡令子(附属高等学校教諭)
内田美和子(附属高等学校教諭)
佐藤逸子(附属高等学校教諭)
日朝秀宜(附属高等学校教諭)
坂田仰(家政経済学科専任講師) - 客員研究員
- 佐島群巳
研究目的
我々は佐島群巳教授を研究代表として1995年8月より「『社会系』教科における中・高一貫カリキュラムの編成」というテーマでの共同研究をすすめてきた。この研究では、主として地理と日本史における一貫カリキュラムの編成に目途をつけ、中学校公民と高等学校政治・経済の一貫カリキュラムの編成を急いでいる所である。しかし、我々の研究はなお困難な問題を残している。それは地理や日本史、公民と政治といった分野科目の一貫の先に中・高の社会科教育全体をどう総合的・統一的把握をするか大問題を残しているからである。
そこで1998年3月に日本女子大学を定年退職される佐島教授に客員研究員をお願いし、社会科教育を専門とされる高山博之教授にもご指導をお願いしつつ、人権、環境、福祉、生活を柱として、社会科における中高一貫カリキュラムをどう総合的に位置づけるかを2年計画で完成させたい。 -
8Jinzo Naruse,A Modern Paul in Japan(1893)の研究と翻訳
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研究期間
1997年4月1日~1998年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 新井明(英文学科教授)
- 研究員(分担者)
- -
- 客員研究員
-
秋山倶子
松本晴子
研究目的
成瀬仁蔵は明治26年、アメリカ留学中にA Modern Paul in Japan(『沢山保羅―現代日本のパウロ』)を出版した。しかしこの書物そのものの翻訳は未だこころみられていない。このたび成瀬記念館の努力により、『成瀬記念館』Nos.7~11(1991~95)にその全訳が発表され、注釈も付加された。(訳者は松本晴子、注釈者は秋山倶子。訳文の印刷にさいしては、依頼により新井明が目をとおしている。)
この書物には若き成瀬仁蔵のキリスト教理解とかれの教育思想が表明されているばかりではなく、やがては日本女子大学の建学の精神の原型となるものの萌芽さえ明確に認められるのである。したがってこれを1冊本として完成させれば、本学学生、桜楓会員のみならず、ひろく日本教育史やキリスト教関係者などの興を引くに値する内容であることが判る。
ただ、これを出版に付するには、なお未詳の諸点の解明をめざしての、細かい調査と研究が要められる。そのために日本女子大学総合研究所の研究課題の一つとして、これを認定していただき、1年をかけて、この英文著述の翻訳、注釈、解説などを完成させたいと念ずる次第である。 -
7成瀬記念講堂に関する研究
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研究期間
1997年4月1日~1999年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 後藤久(住居学科教授)
- 研究員(分担者)
- 鈴木賢次(住居学科教授)
- 客員研究員
-
秋山倶子
小橋安紀子
渡辺保弘
坂本千珠
研究目的
本学創立者成瀬仁蔵の名を冠した「日本女子大学成瀬記念講堂」は明治39年に建てられた。(当初豊明講堂・図書館と称した。)以来本学学生及び卒業生にとって創立者とその教育理念の象徴となっている。
本研究は、この講堂について創立者の構想と社会状況や背景を多面的にふまえた上で、建築経緯と変遷を可能な限り厳密に検証研究をする。
また設計者田辺淳吉は大正期生活改善運動において、住宅改善に尽力した人物として注目されるが、彼とその作品に関してはあまり知られていない。田辺の初期作品として、この講堂を研究し、彼の設計姿勢とそのデザインの源泉を明らかにしたい。
更に、この講堂は関東大震災において、多大の被害をうけ、清水組が修繕不可能と診断したにもかかわらず、小屋組を残し、存続した。その陰には、特に卒業生による想像を絶するまでの熱意があった。創立100周年を目前にした本学において、この熱意がかたむけられた背景もあわせて考究しておくことも必要と考える。 -
6豊明幼稚園が目指す子ども像と保育の分析
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研究期間
1996年4月1日~1999年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 前典子(附属豊明幼稚園園長)
- 研究員(分担者)
-
森田美喜子(附属豊明幼稚園教頭)
新田美子(附属豊明幼稚園教諭)
星道子(附属豊明幼稚園教諭)
黒瀬優子(附属豊明幼稚園教諭)
小嶋映子(附属豊明幼稚園教諭)
小川賀子(附属豊明幼稚園教諭)
渡邉浩子(附属豊明幼稚園教諭)
日下部弘美(附属豊明幼稚園教諭)
池田恵子(附属豊明幼稚園教諭)
栗原朱実(附属豊明幼稚園教諭)
永田陽子(附属豊明幼稚園教諭)
大畑祥子(児童学科教授)
石井光恵(児童学科助手)
福田きよみ(児童学科助手) - 客員研究員
- -
研究目的
日本女子大学の一貫教育の最初の教育課程である豊明幼稚園は、目指す子ども像として
・ 健康で、明るく、元気な子ども
・ いきいきとした新鮮な心で物事に接し、工夫したり、つくりだすよろこびが感じられる子ども
・ お互いのよさを認めあい、仲良く協力できる子ども
・ 自主的な生活態度を身につけ、自分のことは自分でし、最後までやりぬく子ども
を掲げている。これは創立者が目指した子ども像である。
幼児期の教育は、その発達特性から、「一人ひとりの子どもの可能性を大切に、普段の細やかな生活の積み重ねの上に」成立する。
私たち保育者や、その場に共に生活する友だちのかかわりが、一人ひとりの子どもの行動や学習の傾向を作っていく。
小学校以上の教育が、その達成目標を「教科の学習とそれに伴う態度」においているのと異なり、幼稚園は生活そのものが教育目標である。
子どもたちの意欲、心情や生活態度に大きく影響を及ぼすのは、保育者の一挙一動(例えば喜ぶ、賞める、悲しむ、叱る、共に楽しむ、笑う、気が付かない、無視する、等々)であり、それは保育者自身の人生観、子ども観に基づくと考える。故に子どものさまざまな態度や表現の中に「主体性」「自主性」「創造性」を、どう読み取るか、その読み取りは間違っていないかを検討しあい、より良いかかわりがとれるよう絶えず努力しなければならない。
子どもの側面、保護者・保育者の側面が相互に複雑に影響しあう実践場面において、発達心理学の諸データを踏まえ、「目指す子ども像と保育」を以下の観点より追求、研究したい。
(1) 私たちが「主体的」「自主的」「創造的」とみている行動・場面は何か。
(2) 3年間(2年間)、保育の進行に伴う子どもたちの発達変容の姿を追跡する。
(3) 一人ひとりに応ずる保育(個人差もふくめて)とはどういうことか。保育者同士が自分たちの保育を見あい、検討しあうことにより、自らの子ども観・保育観を問い直し変容しあう。
(4) 保育の場に存在するいろいろな人(保育者、友だち、保護者、実習生等)から重層的に影響を受け、育ち、育ちあう有様を探る。(Team Teachingの方向を探る。)これが開かれたクラスづくりにつながるよう努力する。
(5) この研究を通して、実践教育研究の新たな方向、方法を追求する。 -
5女子大学の将来展望に関する総合的調査研究
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研究期間
1996年4月1日~1999年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 牧野暢男(教育学科教授)
- 研究員(分担者)
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渡邊惠子(教育学科教授)
畠澤郎(教育学科助教授)
村松幹子(教育学科助手)
小林多寿子(現代社会学科助教授)
井上信子(教育学科講師)
杉森長子(文化学科助教授)
岩木秀夫(教育学科教授)
清永賢二(教育学科助教授)
久保淑子(数物科学科教授)
吉崎静夫(教育学科教授)
真橋美智子(教育学科助教授) - 客員研究員
- 吉田文
研究目的
こんにち女子大学は、18歳人口の減少に伴う大学入学者数の減少、女子の大学進学者の共学志向の高まり、就職難など、その基盤を揺るがす大きな変化にさらされている。21世紀にかけて女子のみの高等教育機関として生き残っていけるかどうかは、大学改革の方策如何に関わっているともいえる。したがって、その具体的な方策を現実の社会変化との関連や、高等教育機関のなかでの女子大学の独自の位置と役割、さらには将来展望を明らかにするなかで、真剣に検討する必要がある。
本研究は、女子大学の理念、女子の大学への進学動向、大学における女子教育の生涯発達的意義、企業等の女子高等教育に対する意向、女子高等教育の国際比較の観点から、今後の女子大学のあり方を検討する。 -
4成瀬仁蔵著作目録の作成
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研究期間
1996年4月1日~1999年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 中嶌邦(成瀬記念館主事)
- 研究員(分担者)
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永村眞(史学科教授)
真橋美智子(教育学科助教授) - 客員研究員
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秋山倶子
小橋安紀子
研究目的
創立者成瀬仁蔵に関しては、『成瀬仁蔵著作集』全3巻がまとめられているが、著作集に収められているもの以外にも現在遺漏がみられ、また、再掲載など、複雑な処理を必要とすることが明らかとなっている。そこでそれぞれ得意分野のスタッフが協力して、資料の収集と、パソコンによる著作目録を作成する企画をたてた。
完成後は、「成瀬記念館文献目録シリーズ1」として刊行することを希望している。なお、同シリーズ2は、第二代校長麻生正蔵著作目録として1989年3月に刊行した。 -
3児童の発達に関する縦断的な研究
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研究期間
1995年8月1日~1998年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 福本俊(児童学科助教授)
- 研究員(分担者)
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安藤慶子(附属高等学校教諭)
石井光恵(児童学科助手)
大畑祥子(児童学科教授)
川原ゆり(心理学科教授)
鳥居登志子(心理学科助教授)
畠山トミ(児童学科教授)
山下陽子(現代社会学科助手) - 客員研究員
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研究目的
1979年度以来、旧児童研究所で継続して来た「児童の発達に関する縦断的な研究」を完結させる。研究対象者は、1995年4月より、本学1年次生として在学中である。
具体的には
(1) 従来と同様に、身体機能・運動能力、文化的環境の状況、学業・認知的能力、対人関係の状況、自己意識など、多面的な資料を得る。
(2) これらを基に、大学4年間での、所謂、自我同一性の確立過程、性同一性の獲得過程、将来の(職業)生活の展望の状況などを解明する。
(3) 本学における「一貫教育」の意味を探ることも、目的に加えたい。このため、他大学の学生との比較研究も必要となる。 -
2「社会系」教科における中・高一貫カリキュラムの編成
紀要PDF
研究期間
1995年8月1日~1998年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 佐島群巳(教育学科教授)
- 研究員(分担者)
-
小峰昭彦(附属中学校教諭)
本木弘悌(附属中学校教諭)
澤達大(附属中学校教諭)
柳沢清美(附属中学校教諭)
小林基男(附属高等学校教諭)
金子健一(附属高等学校教諭)
水野清(附属高等学校教諭)
杉山昌謙(附属高等学校教諭)
田岡令子(附属高等学校教諭)
内田美和子(附属高等学校教諭)
佐藤逸子(附属高等学校教諭)
高木郁朗(家政経済学科教授)
久保田文次(史学科教授)
伊藤寿和(史学科助教授)
成田龍一(現代社会学科助教授)
田端光美(社会福祉学科教授)
山田忠彰(文化学科助教授) - 客員研究員
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研究目的
本学園の附属中学校と附属高等学校は1979年4月の中・高合同校舎の完成を機会に「ゆるやかな統合」の実現を目指すに至り、以後16年間相互の信頼関係の育成に努めてきた。この状況の更なる発展を目指し、また学校完全五日制の導入(文部省は1999年の導入を目指して教育課程審議会を発足させている)に伴う教科別の担当時間数の削減への対応をも考える時、中・高一貫の教育体制の充実にもつながる教科教育における中・高統一カリキュラムを編成することが不可避の目標と考えられるのである。この点について中・高の「社会系」教科の教員と、(1)特に中・高生に育成したい「社会認識」・「市民的自覚」とは何か、(2)生徒の能力・個性・適性に応じた「学習課程の最適化」の実現の2点を検討しつつ、社会の変化に対応した本学園にふさわしい中・高一貫のクロスカリキュラムを環境、人間、福祉、生活などを柱として実現するための研究を行うことを計画した。とりわけ中・高の教員から中・高一貫カリキュラムの作成に際し、一貫教育の最終的な実現主体である大学の協力を得て、大学側からみた附属の「社会系」教育に対する要請を内容に反映したいとの強い要望があり、中・高の教科書編纂に係わったり、関心を持っていたりする教員の参加を要請したところ、地理・歴史・公民・教育等の諸分野から共同研究への参加者が次々に現れた。中・高・大の協力により大学教育をも視野に入れた統一カリキュラムの編成として大きな成果が得られる研究となると確信している。この研究が全教科に及ぶ中・高一貫カリキュラム編成の先駆となることも期待している。 -
1女子学生のための心理教育グループ-理論・実践・成果の研究
紀要PDF
研究期間
1995年8月1日~1998年3月31日研究組織
- 研究員(代表者)
- 馬岡清人(児童学科助教授)
- 研究員(分担者)
-
平木典子(心理学科教授)
尾崎かほる(カウンセリング・センター研究員)
袰岩秀章(カウンセリング・センター研究員) - 客員研究員
- 水上雅敏
研究目的
近年、大学での心理教育的方法はその重要性を増し、学生への援助にその導入と展開が課題となっている。この背景には、大学生に通観される発達の未成熟さ(岡野ら、1994)があり、従来の大学教育に加え、学生の社会的、心理的成熟を援ける心理教育プログラムの必要性が高まっている。ここで言う心理教育とは、学生の心理的、社会的成熟を促すための対人的及び個人的技術・態度を教えることを指し、小グループを用いて実践される。このことに関連して、年々増加している本学学生の悩みとは、主として「自己主張がうまくできない、主張する自分が見つからない」、「本音を話せる友達がいない、どこまで話していいかわからない」というものである。こうした悩みは日常生活だけでなく、ゼミや就職活動にも深刻な影響を与えている。このように、健康だが対人関係上の困難を感じている学生が、積極的に勉学や就職活動に取り組めるように援助することは、本学の急務であると考える。そこで本研究では、学生への有効なアプローチとして心理教育グループを取り上げ、その方法と実践、成果を研究することを目的とする。心理教育グループとしては、平木(1989)によって日本に導入されたアサーション・トレーニングと、日本では未知の部分が大きい孤独感グループを重点的に扱うこととする。