「酵母はアルコール発酵を好きでやっているのではない!?」
ワインや日本酒を作る主役は酵母です。彼らは、せっせとアルコール発酵に勤しむことがあるのですが、実は一定濃度のアルコール(エタノール)の中では生きられないということをご存知でしょうか。酵母の種類にもよりますが、ワインを作る酵母では概ね濃度が15%くらいまで、日本酒を作る酵母はもう少し高くて、18パーセントくらいが限界です。彼らは、糖を摂取して、アルコールを作るわけですが、自分で作っておきながら、それに中毒して死んでしまうのだったら、最初から作らなければいいのに、と考えますよね。しかし、彼らにはアルコールを作らなければいけない事情があるのです。ただし、アルコールを作ることが目的ではないのです。アルコールはあくまで、彼らが真に必要とするものを手に入れる過程の最終段階で捨てられるものなのです。つまり、酵母の排泄物といって良いのです。ということは、お酒が好きな人は、いわば酵母のおしっこをありがたがって飲んでいるってことになるのですね(私もその一人です)。では、酵母にとって真に必要なものって何でしょうか?それは、微生物がどのようにして暮らしているか、そして、その体の中でどのような反応が起こっているかを勉強する事で、なるほど!と合点が行くようになるはずです。どうでしょうか、知りたくありませんか?興味を持たれた方は、是非、大学で微生物の世界を覗いてみてください。