常にあるべき静かなお盆

京都の夏の風物詩といえば祇園祭と十六日の送り火ですが。前日に台風が来たりしましたが、今年も無事に送り火が行われました!そして台風で国内外の旅行客は来れない・無駄なのに新幹線の席を取りに京都駅に集結していたので、地元住民しかおらず、お盆休みの京都にはあるまじき空きようでした。

私は北大路橋でまず大文字をみて、御薗橋まで賀茂川沿いをダッシュで北上して妙の一部、舟形、左大文字をみるという行動をしたのですが、見えなかった法の字と鳥居も含めどの字も綺麗に見えたということで、ご精霊さんも大満足でお帰りなさったのではないでしょうか。爺さん、私もしっかりこちらのご先祖さん送り出しましたよ!

大文字

送り火自体の感想もお話ししたいところですが、今回お話しするのは翌日の大文字山の消し炭拾いについて。大文字の消し炭は無病息災のお守りになるのだそうで、私もつい最近まで知らなかったのですが、そういうのがあるよ、あなたも行けばと教えていただきまして、十七日午前三時台、バスも電車も自転車もないために暗い夜の今出川通を歩いて銀閣寺まで向かいました。まあ、消し炭拾いと聞いて後片付けのお手伝いなのではないかと考える人もいるかと思いますが、物は考えようです。

真夜中の今出川通は人通りも車通りも灯りも少なく、雨雲が桂の方にいたため、雷鳴も聞こえておりました。流石にちょっと怖いなと思いつつ、フードにマスクという不審者のような格好をして夜道を急ぎます。京都大学前の薬局と警備員さんのところ以外、ほとんど真っ暗。途中のエニタイムが逆に怖かったです。

銀閣寺の脇道まで来ると、二人三人と人影が見えるようになり、ようやく安心。今出川通の地味な坂道により既に汗だくですが本番はここから。前を行く人の影を見失わないよう、しかし途中途中で水分補給をしながら山道を進みます。日が登っていようが無かろうが、標高が低くなろうが高くなろうが、暑いことに変わりはないのです。低く、簡単な山ですが、それでも懐中電灯無しだと真っ暗で、さらには前日・前々日の雨によって道が少しぬかるんだままの山道はなかなかスリルがあります。ちなみにiPhoneのライトだと威力が足りなくて少し怖かったです。また、最近は熊が出たというニュースもあったので別の意味で大変恐ろしい。熊よけの鈴をつけて登る方もいました。綺麗に整備された長い階段を駆けあがると、開けたところに出ます。そこが火床です。

左が火床

午前五時、一つ一つ火床を見て回っても、既に大きなものはなく、中ぐらいのものが運良ければ見つかるぐらいでした。他所者ですし、小さいものをいくつか拾わせていただいて、あとはずっと風景を楽しみつつ、体を休めていました。虹が東山区から右京区まで跨ぐようにかかった京都のまちを、あそこが御所か、となると横の煉瓦色は同志社さんで、Y字の森を挟んだところにあるのは京都大学さんで、さらに手前に見える敷地面積の広いお寺さんは金戒光明寺さんか、などとMAPアプリ片手に確認していきます。この五ヶ月でだいたいここから見える場所は歩いておりますので、とても楽しいです。改めて距離を視覚的に感じることによって、やっぱり同志社さんから京都駅は遠いのだなとも思いましたし、これから暑い日は電車・バス代をケチらずに、遠い場所は諦めて公共交通機関を使うことにしようと決めました。

火床から

山であれ電車であれ、行きに比べて帰りの道中は楽で早く終わってしまう気がするものです。すれ違う人すれ違う人に「おはようございます!」と笑顔を振りまきながら山道を下っていきます。その爽快感といったら。ハマる気持ちもわかります。しかし楽しい気分も諸行無常、もう少しでゴールといったところで、突然強い雨が降ったことにより、近くの人とやばいやばいと慌てて手を貸し合いながら滑り落ちるように残り少ない山道を降り、橋を渡って、舗装された道にまで出て、終了。電車やバスに乗り込むのが申し訳ないほどずぶ濡れになり、帰りも結局歩いて帰りました。正直この山から下宿までの帰り道こそがこの数時間で一番疲れました。あの後、日がさしてこなければ、私は今頃風邪をひいていたでしょう。やっとの思いで帰り、シャワーを浴びてソファーに転がった途端気を失いましたが、目が覚めてもまだ、百貨店が開く前の時間でした。朝が早いとこんなにも一日が長い。ご飯を食べて街へ出かけることも出来、有意義で楽しい一日となりました。

銀閣寺道

小さな消し炭は懐紙に包んで玄関に飾ると良いそうなので、とりあえずビニール袋に入れたままスーツケースの中に入れて帰省し、ノーマルの白懐紙と愛用の可愛らしい柄付き懐紙に包んで、形の良い大きなものは祖父母に、あとは実家と親戚、友人宅へ持っていこうかなと思っております。京都に来て色々と無病息災を願いまくっているような気がいたしますが、どうかこの一年だけに限らず、何年先も家族と共に健康で楽しく長生きしたいものです。