卒論提出まで残り2か月。まさに佳境という中、最近お気に入りのカルピスをがぶがぶと飲みながら、血走った目でPC・論文とにらめっこしている限界大学生、さやかです。みなさん、こんばんは。
今日も卒論ゼミに参加し、先生と中間レポートをもとに面談をしました。よく書けているとお褒めの言葉を頂き嬉しい反面、色々と要改善点も見つかりました。もっともっとブラッシュアップしていかなければ……!ゼミでの同期たちの発表も毎回気合が入っていて勉強になるし、何より内容が面白い。自分も負けてたまるかと、今日気合を入れなおした次第であります。
さて。この間の土曜日、ひきこもりの私にしては珍しく夜の渋谷へとお出かけをしました。お目当ては、”綾崎隼×けんご 『死にたがりの君に贈る物語』スペシャルトークショー”。
綾崎隼さんとは、私のブログに度々登場する、私の大好きな作家さんであり、私の最推しです。第16回電撃小説大賞「選考委員奨励賞」を受賞され、『蒼空時雨』にてデビュー。その後自然の風物をモチーフにした「花鳥風月」シリーズや現代版ロミオとジュリエットをテーマとしたミステリ「ノーブルチルドレン」シリーズなど多くの作品を発表されています。そして、今年発表された最新作『死にたがりの君に贈る物語』がTikTokの宣伝によりバズり、現在話題沸騰中の作家さんでございます。
私が綾崎さんの作品と出会ったのは、中学一年生の頃でした。当時私はミステリーものにハマっていまして、面白い作品ないかなーと書店をウロウロしているとき、『ノーブルチルドレンの残酷』という作品が目に入りました。
「ノーブルチルドレン」という聞きなれないカタカナに「残酷」という重い言葉。そしてポップなイラストの表紙に惹かれ、購入しました。すると、これが私の心にストライク!この作家さんは面白いと作品を買い集めるようになり、大好きな作家さんになりました。
綾崎さんの作品の魅力は3つあると思っています。一つ目は繊細で綺麗な言葉選びです。
「唇から零れ落ちた吐息を拾い集めて。一つに束ねたら、あなたの形になれば良いのに。」
これは『吐息雪色』という作品の冒頭です。
すごく綺麗な文章だと思いませんか?吐息を拾い集めるっていう表現が、冬の寒さ・心細さとそれが現実には不可能な空想であることを描いていて。「あなたの形になれば良いのに」と、吐息を「あなた」に見立てる。でも、吐息だからきっとその像は透明で、手で触れることはできなくて、脆い。思い描く像が不完全でしかないという切なさ。そして「良いのに」と逆接で止めるという憎さ。もう、たった二文だけで沢山語れてしまいます。
綾崎さんの作品は、こんなふうな繊細で綺麗な表現がちりばめられていて。まさに私の好みドストライク……!!
二つ目は、魅力的な登場人物たちです。もう、登場人物全員が愛おしい。例えば、「ノーブルチルドレン」シリーズのヒロインである女子高生・緑葉。靴のかかとを潰し履き、シャツはブレザーの下からはみ出していて、髪は寝ぐせでくしゃくしゃ。それでいてたまに奇行に走るという、ぱっと見やばい人なのですが、実は誰よりも心優しくて、芯が強いのです。将来は心療内科医になるのだと、その練習のためと称して「保健部」を創設し、生徒たちの悩みと真剣に向き合っていきます。純真で気高い志を持ち、厳しい現実に立ち向かっていく姿は本当にかっこいい。中学生のころ、作品を読みながら「緑葉のように強い心を持ちたい」と思ったものです。他にも、紹介したい、愛しい人たちが沢山いるのですが、文量がすごいことになりそうなので、とりあえず、緑葉だけにしときます。綾崎さんの作品を読んでいると、きっと登場人物たち一人ひとりをすごく大切に思っているんだろうな、というのが伝わってきます。
三つ目は、読者の期待を良い意味で裏切る展開です。綾崎さんの作品、ミステリ要素が含まれていることが多いんです。読むたびに、「次は騙されまい」と意気込むのですが、毎回してやられています。不意打ちでやられることもあれば、正面から堂々とやられることもあり、作品を一つ読み終えると、思わず最初から読み直してしまいたくなる。そして読むたびに新たな発見があったりして、何度でも読み返したくなる。そんな仕掛けと深みがあります。ほんと、こればっかりは実際に作品を読んでいただかないとうまく説明ができない……!!
はい。ここまでの私の文章の熱量でわかる通り、私、綾崎さんの作品、本当に大好きなんです。どの作品も何十回と読み返しているし、これまで苦しいときに何度も綾崎さんの作品に助けられてきました。中学生のころからだから、追っかけ始めて、かれこれもう10年。私の中で、綾崎さんを超える作家さんはいません。本当に、大好きなんです。
そんな、憧れの作家さんのトークイベントに参加してきました(ようやく本題)。しかも、ネット配信ではなく、リアル参加。定員20人という超プレミアだったのですが、奇跡的にチケットがとれまして。トークイベント前にアルバイトのシフトに入っていたのですが、イベントが楽しみすぎて興奮して浮かれてしまい、お客様にお釣りを払い忘れるという大失態を犯しました。いつもなら再起不能なまで落ち込むのですが、「この後綾崎さんに会える……!!!!!!!!!!!」と思うだけで、元気百倍でした(反省してます)。
イベント時間が近づき、会場に案内されて。「え、もうこの壁の向こう側に綾崎さんがいるの…?ガチ……?」と、現実が受け入れられない限界オタクをしている間に開始時間に。軽い足取りで、司会である編集者さんの肩を叩いて、「よろしく!」と声をかけ、颯爽とステージにあがる素敵な男性。
この方が綾崎隼さん……!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
その後は、綾崎さんから目が離せませんでした。釘付けでした。あれは完全に恋でした。
今回のイベントは、最新作『死にたがりの君に贈る物語』のヒットを祝して開催されました。作品執筆の裏話だったり、小説にかける思いだったりが聴けて、本当に幸せな時間でした。期間限定でアーカイブが公開されているようなので、気になった方は是非!(https://youtu.be/zDsiatCo28Y)
沢山のお話の中で特に印象に残っているのは、小説にかける思いです。新人賞に応募したときも、担当編集者さんに原稿を見せるときも、すごく怖いのだと、綾崎さんは語っていました。魂を削って小説を書いているのだと。小説家の方が真剣に作品と向き合って執筆されているからこそ、こんなに素敵な作品が世に生み出されるのだなと感じました。作家さんが魂を削って小説を書いているのならば、私たちも誠心誠意真剣に小説と向き合わねばと心を新たにしました。
そして、今回のイベントではなんと綾崎さんのサイン入り著作を頂くことができました!!!!!!!!!
しかも!!!!!!!!宛名つき!!!!!!!!!!
もう、一生の家宝です(泣)今日まで生きててよかったと、心から思いました。そして、今日が私の命日だとも思いました。サインだけで充分幸せすぎるくらいなのに、宛名まで入れてくださった綾崎さんには感謝してもしきれません。本当にありがとうございます。
10年以上追っかけてきた大好きな作家さんとお会いできて、貴重なお話を沢山きけて、おまけにサインまでもらえて。本当に、本当に幸せな一日でした。油断すると泣いてしまそうな位、嬉しくて、感動でいっぱいでした。こんな体験、きっともう二度とできないだろうなと思います。あの時間と頂いたサイン本は、私の一生の宝物です。綾崎隼さん、本当にありがとうございます。
これからも、綾崎さんを追っかけていこう。何度だって、作品を読み返そう。そして、小説を、文学を愛していこう。そう思えた一日でした。
皆さま、ぜひ綾崎さんの作品読んでみてください。まずは現在ヒット中の『死にたがりの君に贈る物語』を、そしてもし気に入っていただけたのであれば、次に『盤上に君はもういない』を読んでみてください。きっと、この二作品を読めば見事沼にはまります。
それでは、今日はこのへんで。さやかでした!