春の匂いと共に、花粉と黄砂がアタックしてくる季節。
一応四年生の端くれをやらせていただいていた私も先日卒業いたしました。
思うとこの4年間、本当に色々なことがありました。全然思うようにいかないことばかりだったけど、自分なりに頑張れたと思っています。
コロナ禍もあって想像の斜め上へ飛んで行った私の学生生活の中でも、石井先生にブログ部へお誘いいただいたのは私にとって大きな転機でもありました。
そう、もともとは私が本学の観世流能楽研究会の部長だったので、そのPRを、という事でお声がけいただいたんです。途中で退部していますし、今は能の一文字すら書くことがないこのブログ、果たして意味があるのかと何度も思っては胃がもやつくような胸やけの感覚を味わい、その癖自由に書き散らしていました。本当に申し訳ない。ごめんなさい。ひと匙の罪悪感を隠し味にしたこのささやかなブログ、視界の端に入った方は少しでも笑っていただけたでしょうか。
4年間、長かったですね。ブログ部で執筆を開始したのは二年次からですので、見返すと私の人生の足跡を振り返って眺めるような気分です。
実は私、卒業式でノスタルジーな気持ちになった経験が人生で一度もなかったんです。むしろ精々するような気持ちでしたし、卒業式で号泣する友達を見ても全く共感できませんでした。でも今回、大学を離れるのがどうしようもなく惜しくて、自分は日本文学科のことが好きだったんだなぁと、終わるタイミングで気づきました。
高校で転がり落ちるように魅力に引き込まれた中古文学や近世文学は本当に好きなだけ勉強できましたし、私の視野を広げてくれる中国文学との楽しい出会いもありました。日本語学では唸りながらパソコンと向き合い、近現代は……思うと全然触れませんでしたね。勿体ないことをしました。上代の授業も面白かったです。私たちの世代はコロナ禍に振り回された世代でもあったので、入学してから二年間はほぼオンライン授業で、大学に通っているという実感があまり湧かなかったんです。三年生になってから突如キャンパスに人が溢れかえり、昼になると食堂も構内のテーブルとイスもすべて埋まってしまって、うちにはこんなに学生がいたのかとびっくりしたくらいです。
対面で受けたかった授業もたくさんありますが、オンライン型だからこそ気になった箇所を何度も聞き返して時間をかけて咀嚼する事ができてよかったな、と思う授業もあります。
楽しかった授業、一体いくつあるんでしょう。
中古文学沼に入るきっかけになった林先生の日本文学史の中古は授業が毎回楽しみでわくわくしましたし、中古の古典文学講義も楽しかった。毎回別形式のレジュメを三種類用意してくださったりと慈愛の女神なのではと思うほど親切丁寧な授業で、講義の感想へのフィードバックを丁寧にしてくださったので、そこに自分のコメントがあると嬉しかったのをまだ覚えています。一年生の時から私は林先生が推しでした。満足のできる成果を出すことはできなかったけれど、自主ゼミも卒論ゼミも林先生に見ていただけて本当に嬉しかったです。
福田先生の日本文学史の近世はどこまでも広く深い先生の近世文学への知識と探求心に驚きつつ、過去の文学の教養を土台にしつつも新しい面白さを生み出してくる近世文学の魅力を知るきっかけになりました。
吉田先生の中国文学の授業、特に演習は、人と意見交換をする楽しさを生まれて初めて知りましたし、想像すると眩暈がしてくるほど膨大な中国文学の歴史を軽々と網羅しながら楽しそうに講義をしてくださって、穏やかな微笑みの下にどれだけのご経験があるのかと考えてしまったこともありますた。吉田先生の授業は文学に限らず、人生の生き方まで示していただいたような不思議で豊かな時間でした。
石井先生の古典文学特論(能)の授業は、実際に能をやったからこそ感じられる実体験を含んだ奥行きのある面白さがあり、これは一年生の時に受ければよかった、二年生でも受けておけばよかった!!とすごく後悔しました。能研での経験と石井先生の教養の授業での経験から、能は私の人生に色の鮮やかさを足してくれたと感じています。一生をかけて楽しめるのは日本文学全般にいえることですが、なんせ能は今でも観に行くことができます。ストーリー背景や見どころを理解した上でシテの方の巧拙がある程度わかるとそこに注目して見る事もできますし。近世の歌舞伎や浄瑠璃といった芸能も含め、現代でも見る事ができて、その面白さが理解できるってめちゃくちゃ豊かで粋な人生だと思いませんか⁇能研に入っていなかったら、そして石井先生の授業を受ける事がなかったら、私は一生銀座シックス地下能楽堂で能を見る事はなかったでしょうし、今後能を見に行く人生の選択肢も生まれなかったでしょう。
あとは東洋音楽の授業や仏像、寺社の建築物に関する授業も、日本文学を別の角度から眺める際に役に立つ知識で面白かったですし、挙げきれないくらい沢山の思い出があります。引っ越しするときもどうしても授業の資料を棄てられなくて、かさばりまくる紙の束をそのまま持って行ったくらいです。
特に忙しさに追われながらも必死にこなしていた1,2年次の胸のときめきはまだ覚えています。にしても、フィジカルがあまりにも弱すぎて何度床を転げまわり天井を見上げながら無力さに打ちひしがれたことか。それでもやろうと思う意思があるのであれば、日本文学科の先生方は必ず手厚くサポートしてくださいますから、大丈夫です。
寂しいですね。こういう時出しても恥ずかしくないくらいの立派な成績で、あらゆることに長けていたら、あるいは文章を書くのが上手だったらもっと日本文学科の一学生として胸を張れるんですが。後悔がないといったら嘘になりますし、きつかったことも沢山ありましたが、それでも豊かな大学生活でした。
最近、読解力、分析力を人に褒められることが増えたんです。こんな稚拙な文章ですが、言葉の選び方について指摘されることや、文章に限らない分野でもよく見ているね、よく気づいたね、と言われることもあります。自分の言葉の引き出しからの出力に間違いなく慣れましたし、続けたからこそ自分の頭で考えて自分で言葉を紡ぐ面白さに気付くこともできました。
そして、これから先の人生を生きる中で、日本文学科で得られたものに気付くことができると思います。今はまだ気づけていない、あるいは整理して言葉にすることができていなくても、いつかふとした時に気づくことができるような予感がします。
いつも通りにまとまらないまま書き散らしてしまいましたが、とにかく最高だったことが伝わればそれでOKなことにします。
【今回のおすすめコスメ】
キャンメイク ぷらんぷくコーデアイズ いちごぷらんぷく
最近再販された名品ですね。
どちらかというと黄みが得意な私にはやや青みを感じますが、ニュートラルカラーで他のアイシャドウとあわせて使いやすい、癖のないカラーです。cipicipiのいちごみるくと一緒に使うと、韓国コスメの(実物と色味が違い過ぎる)広告のアイメイク、最近の韓ドラの主演の女の子の目元になれます。かわいい。あとつやっつやキラキラのラメが最高。買ってください。私はストックを買います。
最後に、私の絵文字の宝石マークについて語っておしまいにしましょう。
ブログ部員でそれぞれ絵文字を決めましょう、というお話になった時にちょうど聞いていたちゃんみな「美人」の歌詞からとりました。
「予想違い驚きなさい 磨いたらダイヤ美しい 前例がないのは怖いかい ならお手本になりなさい 怖がったままでどうすんだい? あの彼女を助けなさい」
ちゃんみな「美人」作詞:ちゃんみな 作曲:Ryosuke ‘Dr.R’ Sakai,ちゃんみな
決して容姿に限らず、あなたも私も、全ての人が輝くダイヤです。ダイヤじゃなくたっていい、ペリドットでも、カイヤナイトでも、どんな色や形の石でもいいんです。磨く意思があるなら、あなたは美しい。私も今後の人生何があるかわかりませんが、背筋を伸ばして、強く、気高く生きていきます。
日本文学科の先生方、中央研究室の皆さま、本当にありがとうございました。
それでは皆様、さようなら、お元気で。