散りて積もれる紅葉と日数

12月も後半となりまして、京都の観光客もずいぶんと減ってきました。今年は夏が暑すぎましたので、紅葉がいつもより長く、細かく言えば先々週ぐらいまで楽しめました。ですから、この間まで秋のようだったのに、本当にもう年末なのかと信じられない気持ちでおりますが、年始はこれまた冬とは思えないくらい暖かいようですね。成人式がある身としては助かりますが、昨年より一段と地球温暖化を肌で感じるようになってきて未来が恐ろしいと考えざるを得ません。

さて、私ただ今帰省中でございまして、それも帰ってきたばかり。書けるネタもないので、時間は少し遡り、ここでは12月上旬頃の紅葉のお話をして、本年の私のブログを締めようと思います。

紅葉シーズンの京都はとにかく観光客が多い、紅葉の名所は紅葉を見に行くのではなく人の頭を見に行くところだと言われ続けられて、覚悟だけはしておりましたが、まさかいつもは座れる早朝の京都駅行きバスが満員で、1台見送って10分以上後にやってくる2台目で観念して無理矢理乗り込むまでとは思いもしませんでした。東京の満員電車とは違って、大きなお荷物様たちが場所を取っておられるので、1リュックサック分なら無理矢理入り込めば若人1人は乗れるんですよ、危険なのでやりたくないですが、授業ですから仕方ない。そんなわけで平日休日問わず連日大混雑の京都ですから、紅葉を心穏やかに楽しむなら、頑張って早起きして、すでに開いているお寺さんや神社、あとは自然に育っている山などへ出向き、人が2、3人増えてきたらサッと立ち去る、正体バレを恐れる化け物のような動きをするしかありませんでした。なので結局紅葉の名所として名高い永観堂や東福寺は未だ行けず。ドーナツの生地部分に生まれ育った身ですから、人混みには人並み以上に慣れていますけれど、覚悟を決めてお金を払っていざ行ったとて、紅葉を見ているのだか、人のスマホを見ているのだか。まあしかし、この混みようは「秋といえば紅葉、紅葉といえば京都!」が世界中に広まっているということの証明です。確かに京都で見る紅葉は、今年は色が悪いとはいえ格別ですから、沢山の人に感動してもらうのは良いことです。

ところで、日本文学を学ぶ者としては、紅葉といえば?と聞かれて「京都!」とだけ答えるのは50点台だと個人的には思うわけです。京都は永遠の都ですけれども、その隣には、鹿の住む古都、奈良の都があることを忘れてはいけません。奈良と言いますと、東大寺や春日大社のある奈良市には、この度は幣もとりあへず手向山八幡宮や、秋さればの春日山がありますが、それ以外に奈良の紅葉といえば、そう、竜田川と三室山!

京都駅からJRに乗って揺られること、1時間ちょっと。王子駅にて下車。改札を出ると、雪丸という二足歩行の犬が迎えてくれます。そこから法隆寺行きのバスに乗って竜田大橋というバス停で降りて、交差点を渡り橋の方へと向かいます。橋の下に流れる川こそ竜田川!

竜田川と三室山と紅葉

昨今は琵琶湖の水も下がる雨不足。嵐もなくて、紅葉の下を流れていく水の様子は見ることができませんでしたが、平日だったのもあって、人が少なく、ゆっくりと綺麗な紅葉を愛でることができました。

川に沿って南へ下ったところに三室山が見えます。入り口のところにはなんと、「ちはやぶる」と「嵐吹く」が刻まれています。

三室山入口

階段で頂上まで登ると、正面には左右にゆったりと広がる信貴山!

頂上から

山頂の看板によれば、「能因法師は、下方の神南集落の三室堂に住んでいたといわれ、三室山へはしばしば遊びにきていた」そうで、そばには能因法師の供養塔が。同じ場所で寛いでいたと考えるだけで口角が自然と上がっていきます。

これで目的は果たしたのですが、せっかくなので街歩き。再び川の方に出て、今度は先程とは対岸側の竜田城跡から紅葉を楽しんで、猫坂交差点に出て、法隆寺の方へ歩いていくと、龍田神社があります。龍田神社は法隆寺の鎮主社で、ここの天然記念物の蘇轍はどこのものと比べても堂々としていて大変立派。

お参りをして、神社を出て、また法隆寺の方向へ進み、斑鳩町役場の前へ出ると藤ノ木古墳への案内看板が見えます。将来の墓には埴輪を埋めたい私にとって古墳は無視できない存在です。迷うことなく左折し、古墳へ向かいます。

藤ノ木古墳

古墳をぐるっと周回して、再び法隆寺の方へ向かうと、途中に斑鳩文化財センターというものがありました。ここは先程の藤ノ木古墳についての展示や、今は法隆寺の建築物について展示・保存している場所。

平日の昼過ぎですし、客はまばら。ボランティアの方が展示物を端から端まで丁寧に丁寧に説明してくださいました!私は古墳が埴輪の延長線上で好きなだけで、飛鳥時代は概要しか覚えていませんでしたので、解説していただいて本当に勉強になりました。また、私は今季の授業で文化財修復について学んでいるので、法隆寺の五重塔についての展示と解説は、その授業で学んだことを復習する良い機会となりました。

解説や展示に夢中になって、気づけば夕方の4時となっていました。南南西にいた太陽は限りなく信貴山の方へと近付き。行こうとしていた法隆寺は閉門時間が迫り。時間が余れば奈良駅の方にも行こうと思っていましたが、それも行けず。次の休みにでもすぐに奈良へ行こう!と思いましたが、京都から奈良って結構お金も時間もかかるんですよね。結局、次に奈良に行けたのは春日大社のおん祭の日でした。この日には流石に奈良も色無しで。紅葉踏み分け鳴く鹿は枯れた芝草探り当て、人来る度に寂しげに鹿せんべいを強請りなき、真夏の暑さが嘘かのように春日の山は酷く凍えて、あをによし奈良の都も冬が来たと実感させられました。奈良は京都より若干寒いような気がします。春日の山の黄葉は来年以降にお預けです。

手向山神社

先述の通り、今回が今年最後のブログとなりました。この2023年という年は、私にとって間違いなく、今までの人生の中で1番、濃い1年間であったといえます。ブログ部としての活動を始めさせていただいて、人生で初めての引っ越し作業をして、送り出す会を開いてもらって、そして4月に京都に来て。映像や物語でしか知らなかったものや、その場に来て初めて知ったもの。文学だけでなく、非常に幅広い分野で色々な事を経験させていただきました。毎日がとても新鮮で、楽しくて楽しくて仕方ありません。本当にありがとうございます。来年も皆様平穏無事に、楽しく毎日が過ごせますように。良いお年をお迎えください!