やあこんにちは。今日は彼女の話をしよう。彼女の大学生活はうかつなミスの連続だ。近くで見ていても時々吹き出してしまうようなくだらないミスばかり。私はこの笑うべきミスたちを、彼女のペナペナした人柄を表すのに重要な出来事であるとも捉えているが、やはりどうにか直せないものかとも思っている。
私たちが2年生のときに受けた日本文学史の試験での出来事だ。その試験では授業内容を自筆でまとめたノートのみ持ち込みが許可されていた。彼女は普段から紙のノートに授業内容を書き込むのが習慣だった。当然試験日の朝、彼女は得意満面で通学カバンに授業ノートを詰め込んだはずだった。しかし、試験が始まる前、カバンを漁った彼女の手に収められていたのは中国文学史のノートただ一冊だけだった。
そのときの試験は散々な結果だったらしい。
彼女は私とともに教職課程を履修しているため、3年生の後期には模擬授業を行う授業が週に2回ある。これはそのうちの1回の話。彼女は自分の担当回で、日付を書く際に月の異名を紹介しようと計画していたそうだ。彼女の担当回は10月だったから「神無月」と書くべきところ、何を勘違いしたのか「水無月」と黒板に書いたではないか。ヒヤヒヤする私、隣の席から聞こえてくる「神無月」と囁く声。きっとこの声が彼女の耳にも届いたのだろう。慌てて書き直し、振り向いて話を始めた彼女の顔は真っ赤だった。
同じく3年後期。これは先述した2つある模擬授業のうちもう1つの話。彼女は授業の計画案をA4のノートにまとめている。古典なら現代語訳、現代文なら段落分け、作者の情報、授業の流れに関するアイデア等々。彼女は授業内で解説をするのに必要な内容を全てそのノートに書き込んでいた。ここ2週間くらいは暇さえあればそのノートを取り出し、授業計画を練っていた様子である。しかし、模擬授業を始めた彼女の手元にそのノートは見当たらなかった。ああ、忘れたんだなと私は察した。
授業を終えて彼女に聞いてみたところ、家のプリンターに挟んだまま置いてけぼりにしたらしい。気づいたときにはすでに大学にいて、印刷したページだけは持っていたから何とかなったと言っていた。
そう、挙げてゆけばきりがないのだ。中国語の小テストでシャーペンを忘れて、唯一持っていた黒ボールペンで回答の一発書きに挑戦したという話も聞いたことがあるし、PDFファイルの回転機能を知らずにスマホを回転させて文書を読んでいたということもあるらしい。
今日も彼女は平和な大学生活を送っているようだ。