様々な秋

平生畏長夏 一念願清秋

如何遇秋至 不喜却成愁

書冊宜可讀 詩句秋可捜

永夜宜痛飲 曠野宜遠遊

江南万山川 一夕入寸眸

清辦双行纏 何処无一丘

楊万里「感秋五首 其五」

こう詠まれたのは昔のことですが、ここ数年は夏の暑さが増し、ますます秋という季節は我々に活力を与えてくれる季節になりました。

卒業論文の締め切りに追われ、今月の始めより眉間あたりの疲れが取れない私も、雲一つない秋晴れの日にはパソコンから離れ、行楽に興じます。テーマとして取り扱う対象がそれを「OK!」と言ってくれそうなのが救い、な所でございます。今回はそんな秋の行楽のうち、3つ、体験したことを書いていきたいとおもいます。

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某日も、部屋に引きこもってキーボードを叩いているのには余りにも惜しい気候。寒すぎることもなく、スポーツ日和。少し変わったことがしたい。山はクマだし海もクマだし、何をしようと思って、思いついたのがゴルフでした。

しかし、試合を観たこともないし、ぬるいホッケーを西生田でやったっきりで、行った所で何もできないかもしれないし、初心者が軽く「やあ」と顔をのぞかせて良い場所ではないかもしれない…。

こんな心配もありつつ、それでも好奇心と、今を過ぎたら永遠と忌避するかもしれないという気持ちと、もしハマっても「ゴルフに於ては天才は存在せず、万人が同じように上達しうるものです」という文六くんの言葉があるのだと、自身を説得させて、YouTubeを1本さらっと観ただけの状態で、初めての打ちっぱなしに行ってまいりました。人間度胸が大事。

今回使用したのはじゃらんの「マジ部」。首都圏にも数施設、ここのチケットを使って無料で入れたり、体験できたりするものがあり、私は祖師ヶ谷大蔵の「千歳ゴルフクラブ」にて体験してまいりました。初心者でも安心して行けそうな文面に惹かれました。

ゴルフクラブと2箱分の料金が入ったカードを借り、いざ2階へ。籠にボールを入れ、見様見真似で構え、打つ。

30と書いてあるところにまで飛びました。初球にしては上手くいった方なのでは?

昼間で他の利用客も少なく、干渉もなにもされないので、恥を棄てどんどん打っていきます。我ながら綺麗に飛んで行ったなと思うものもあれば、下に落下していくものもあり(こちらの方が多数)、干渉されないとはいえ一番左端のレーンで良かったと心底思いました。

打っていくうちに、体の中心にクラブを置いて、体の軸を決めたあと、出来るだけ左腕を固定した状態で軽く打つと旗の近くまで飛んでいくことがわかりました。

また、案内された場所は後ろに鏡が設置されており、スイングの形がどうなっているのかを確認することもできました。それこそ、最初は打つときにクラブを右肩のあたりから振り下ろすようなことはできなかったわけですが、鏡で周りの人のフォームを参考に練習してみて、それから打ってみると、いい音がするし高く飛ぶしで、面白い。

あっという間に90球が終わり、籠を戻してクラブを返して、退館。当日、思いつき、大学より身軽。全部間違っていたとしても、楽しかったです。ハマる人や、定年間際になってまたハマる人の気持ちもわかるわあと思いました。

「マジ部」にはゴルフ場もタダになるクーポンがあるので、利用対象者であるうちにデビューできるよう、身近にいる経験者にしっかりと教わりたいです。

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暖かな日差しに心地よい風が吹き、「行楽日和」そのものの、とある日。大学で招待チケットを貰い、東京庭園美術館で開催されている「永遠なる瞬間 ヴァンクリーフ&アペール」展へ行ってまいりました。前回の展覧会(「建物公開2025 時を紡ぐ館」)には招待券を持った家族に付いて行っていたため、「今回は展示物に集中できるね~」などと言いながら、多少銀杏の残り香が強い道を歩みます。

今回の展示は、1階が1920年代のジュエリーが中心で、2階が30年代以降のモダンなデザインが取り入れられたジュエリーが中心。新館が現代の技巧を紹介する構成となっており、ヴァンクリーフ&アペールの歴史とその時代のハイジュエリーの流行について順を追って理解することができます。

ジュエリーに関してはまだ学が浅いので、どれもこれも「すごーい」「きれーい」などといった感想がメインにはなってくるわけですが、特に心惹かれた展示が二つありましたので本日はそちらを紹介いたします。

先述の通り、1階は20年代のジュエリー―アールデコ調の高いもの―が並んでおり、ダイヤモンドが隙間という隙間、器具という器具にびっしりと配置されているような、庭園美術館の立派な応接間や食堂に相応しい作品が並んでおります。

食堂を出て、直ぐにある暗い喫煙所に、大きな雫型のエメラルドが特徴のネックレスが展示されています。エジプトのファウイザ女王旧蔵のものだといい、その存在感は女王のものというだけに、圧倒的。思わずその場にひれ伏したいほどの、ずっしりとした重厚感。展覧会のホームページに作品の写真が出てきますが、実際は比ではないので、是非東京近郊の方はご覧になってください。

デザイン画も展示されていたのが特徴で、デザイン画もそれはそれは美しいのですが、それをはるかに超えた作品というのが本当に素晴らしく思いました。

もう1つは、新刊にて展示されていた、小さな蝶々のイヤリング。

2、3センチほどの小さな作品であるのに対し、強い存在感を放っており、家人も私も「なんなんだ」「一等素敵」と魅了されていました。

展示ケースの斜め後ろに上映されていたムービーによると、この作品が入った展示ケースの総ての作品はヴァンクリーフ&アペールが特許を習得している「ミステリーセット」という手法で作られたもの。見えないほどのレールに、緻密なカットが施された石を並べていくという、その中でもこの蝶々のイヤリングに使われているサファイアはナヴェット ミステリーセットと言われるマーキースカット、ダイヤモンドもジュエリーの枠が目立たないことでより一層その輝きを解放しており、今にも羽ばたいて飛んでいきそうなイメージがありました。

約2時間ほど観てまわり、庭は前回見たから良いかと言って帰りましたが、もう少し紅葉が進んでいたら日本庭園のほうに寄っても良かったのだろうなと思います。

ハイジュエリーは観るだけで目が肥え、生きる活力になります。この輝きを1つでも多く人生のうちで観ていくためにも、ちゃんと仕事をして、目だけは本当に大切にしようと思いました。

[公式]永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル — ハイジュエリーが語るアール・デコ

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最近は最高の息抜きのような存在になりつつある授業と、プレッシャーのような存在になりつつあるゼミを終え、にこやかに卒業アルバムの写真を撮り、卒論を書いて日が暮れて、向かったのは初台の国立劇場。

文化庁のモニターに当選し、オペラ『ヴォツェック』を観に。

国立劇場でオペラを観るのは初めてで、どんな服装の方々がいるのだろうかと多少不安でしたが、思っていたよりカジュアルで、非常に安心いたしました。客席は多少狭い印象がありましたが、今回は端っこの席だったので出入りもしやすく、快適でした。周りを見渡してみると、意外に同い年くらいの方々が多く、落ち着くことが出来ました。席で迷ったり、後ろから「全然予習とかしてないんだけどさ」などという会話も聞こえたので、もしかしたら私と同類だったのかもしれませんが。

しかし、その穏やかな気持ちが一度崩れた事件がありました。

開演直前に、主演の交代が決まった時のことです。公演に先立ち、責任者による発表とお詫びがあったのですが、その時会場にブーイングが飛んだのです。外国人の方でしょう。多数ではなく、1人によるものでした。しかし明らかに会場内、特に私の周りが緊張状態に持ち込まれ、最悪でした。

そんな状況の中で始まった舞台。舞台装置は簡素で無駄のない、見やすさ。比較的簡単なドイツ語なので聞きとれはしますが、字幕があるので超安心。なによりも、元から彼が主演だったのではないかと思うほどのまとまり。主演とジェニファー・デイビィスの美声。オーケストラの素晴らしさ。終演時には、鳴りやまない拍手、そして例のブーイング元と同じ声で、ブラボー、ブラボーと叫ばれていました。

ヴォツェックとマリーの子どもがいるのですが、彼がかなり注目すべき存在です。この作品は狂気を描いたものですが、この子どもの存在こそ、劇中一番の狂気です。結婚しない両親の間で生まれたというのと、教会に届け出を出されていないという、出生そのものの異常性を備えたこの子ども。劇中で、彼は一言も喋りません。魂の抜けた人形のように、テレビを観て、注意されてもテレビを観て、神父に連れ出される時も抵抗はせず、最後もただ静かに、しかし父親と同じように人体実験のアルバイトをしている。ただ、愛は求めている。役者の名前はホームページでは載っていませんが、名演だったと思います。

なにも予習せずに来たので、内容には多少の驚きと、そして目の前に座っていたカップルはどういった気持ちでこれを観に来たのだろうという疑問が残りました。モニターだったことが新宿まで私を歩かせました。他オペラにある、面白かっただとか感動したとかの感想は言えず、専ら自分の周りに座っていた同世代の感想が気になりました。

今まで、オペラは他のものと比べて観る機会がなかったのですが、ちゃんと収入を得て、今後気になる公演は観に行くようにできたらと思います。

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追伸

先日、ブログ部のお茶会に参加いたしました!

なかなか対面でお会いすることがないので、自分でもわかるほど緊張し、猫を被り、ただ欲は深く、アップルパイを勝ち取り、美味しく穏やかに、卒論の締め切りに背中で汗をかきながら、楽しい時間を過ごすことが出来ました。先生、同席の皆さんありがとうございました。

4年生にもなって、こうして様々な学年の方々と交流できるグループがあるのは本当に嬉しいです。卒業後もこうして交流会ができたらいいのですが、やっぱり難しいのでしょうか。

次は新1年生を交えてお茶会ができたらなと考えております!楽しみです💕

ケーキ:先生撮影