再履修させてくれたっていいじゃあないですか

日本文学科で教職課程を履修する方は、文学史を3種類とらねばなりません。
通年授業4単位なので、時間割でなかなか大きなウェイトを占めています。
去年は上代・中世・近代が開講していました。
中世と近代をとりました。8単位とれました。
「来年は近世とるだけだなァ」とぼんやり考えながらシラバスを開いてびっくり、なんと文学史(近代)が今年も開講しているではありませんか。
これはもう、とらずにはおれまい、も一回やったろうという気持ちで第1回の授業に出席。
完全に履修するつもりで登録の日を迎える。
お分かりいただけたと思います。
あわれなせきねは見落としておりました。
文学史の授業には(再履修可)がなかったことをッ…!
履修計画を立てる際には、よくよくシラバスと履修の手引きを参照のうえ、無理のないプランをお立てください。
うーむ。教科書買っちゃったしなァ。どうしましょ

初々しき短編

まず一作。
高校時代に読み、「名作文学って、ようござんせん?」と思わせられた作品です。
芥川龍之介『お時儀』。
駅のプラットホームで、『私』は猫柳のようなお嬢さんを見かける。
お嬢さんは一定の時間に現れるため、それがたびたび続く。
ある日彼女とすれちがうことがあった。
あろうことか、『私』はそのお嬢さんに御辞儀をしてしまったのだ!
『私』は真剣に悩みます。もう一度あの子とすれちがったとき、御辞儀をするべきか、しないべきか…。
そして”その瞬間”が訪れます。
そのとき、『私』のとった行動は―――
芥川さんの晩年の秀作として名高い小品です。
志賀直哉氏も褒めています。
題名を忘れていましたけれども。
『お時儀』、ですぜ。
二作目。
川端康成『雨傘』。
今年、渡辺先生の近代文学演習で取り上げられるそうです。
さすが分かってらっしゃる。
正直、25人のうちに入れたらこの作品やりたいです。
引っ越す少年と見送る少女。
二人が近所の写真館で記念写真を撮ります。
あどけない幼い二人、ぎこちない成長途中の二人、あたたかな心通う二人、と、数ページの短編で何粒もおいしいお話です。
この話は『掌の小説』という短編集に収められているひとつです。
ほかでおすすめなのは、『有難う』です。映画化もされました。
街に売られる娘と、それを乗せる車掌のおはなしです。
これもまた初々しき短編。
三作目。
チェーホフ『悪ふざけ』。
少年は怖がる少女を無理に誘い、一緒にそり遊びをする。
斜面を滑り降りる、その最も絶頂というとき、少年は彼女の耳元でささやく。
「ナージャ、あなたのことが好きです!」
恐怖で我を忘れている彼女は、そのかすれた声が風のいたずらなのか、それ以外なのか、確信が持てなかった。
あの声をもう一度聞きたい、という少女の願いと、その成就の瞬間が、とてもうつくしい作品です。
どの作品もお手軽に読める分量ですので、通学の電車や10分休みなどにおすすめです。
ただし余韻は長いので、そのあたりご留意ください。

ここは上州草津の湯

ドリフターズのあの歌で、この地の名前を知ってから、気づけばはや19年。
行ってまいりました。
3月9日・10日の一泊二日。
温泉にいくからには、ひと月くらいゆっくり滞在して、時間湯なり打たせ湯なりしてがっつり湯治としゃれこみたかったのですが、現代に生まれた悲しさ、そうは問屋が卸しませんでした。
一日目
ゆき  高速バス 「上州ゆめぐり号」 
     練馬駅発 11:30
     草津着  15:07
正確に言うと、このバスの始発は新宿南口。
だいたい三時間半で着きます。直行便だともっと速いようです。
宿「佳乃や」到着。
バスターミナルから徒歩5分(も、かからなかったかもしれない)。近い。
チェックインを済ませ(同行した人たちが金額をぴったりに用意していなかったため、支払いの後処理に軽くごたごたする)、部屋に荷物を置いたのち、湯畑へ向かう。
坂をおりるにつれ、だんだんと濃くなっていくゆで卵のにおいに少々気圧される。
そして、圧倒的湯けむりにぶつかる。
眼鏡が一瞬で曇り、きちんと全貌を映すのに要30秒。
湯畑。
草津の気温は3度ほど。
けれど、物量といっていいくらいの湯けむりで、空気はそこはかとなくぽかぽかしていました。
西の河原へゆく(草津熱帯園とで多数決をとり、3:1で決定。カピバラよりも、温泉情緒のほうが勝ったもよう)。
水の代わりに温泉が流れている河原です。
川底の石が酸化して、エメラルドグリーンに染まっていました。
人気はなく、雪はしんしんと降りだし、どこか荒涼とした雰囲気。
間違いなく賽の河原でした。
湯けむり殺人事件のプロットを練りながら、一行は帰途へ。
温泉浸かって、夕ご飯。
目をつけていたお好み焼き屋さんが満員。
中国料理屋「龍燕」さんに変更する(ア○街で観てから、かねて行きたかったお店でありました。結果オーライ)。
・しゅうまい
・青椒肉絲
・細切り肉入りあんかけかたやきそば
・餃子
・炒飯          以上。
とてもおいしかった。
やたらと中華にはやかましくなっていた舌(新宿の京王プラザホテル「南園」の味を知って以来)も、満足する味でした。
遠くへ来たからには、やはり美味いものを食べたいものです。
二日目
おみやげ買って帰宅。
また三時間半、バスに乗って帰ってきました。
夜中までUNOをしたり、アイスキャンデーを食べたり、なかなかかわいい旅行だったのではと思います。
参考までに、旅の予算の内訳をば。
バス代 往復5800円
宿代  1泊6000円(素泊まり)
夕飯代 一人あたり1100円
入湯税 100円
こんなもんです。
安く安くと頑張りましたが、こんなものです。
高速バスの早期予約割引を逃したときの悔しさは、筆舌に尽くしがたいものがあります。
あまりに浅ましいので、ここで発散するにはしのびないほどです。
とにかく悔しかったんですよ…。
お宿も美味しいお店も共同浴場も観光地も徒歩15分圏内、という地域内アクセスの良さ。
いかにも温泉、そこいらとはものが違いますわいな、とでもいいたげな、柔らかな泉質。
まったく、よいところでした。
どうぞ今年のご旅行の選択肢に、ぜひ。
と、まわしもののように終わります。

源氏物語をくわずぎらう訳

平成26年にセンター試験国語を受験なさった方は、思い当たるふしがおありなのではないかと思います。
あの「小林秀雄ショック」から1年。文科省はまたやってくれましたね。
現代文パートはまあ、べつに、よかったのですけど。
古典ですね。
というか、源氏ですね。
もう思い出すだに胃の底がぞわぞわするので、どこの巻だったのかさえもうろ覚えなのですが、たしか宇治十帖のどこかだったと思います。
個人的に、『源氏物語』のハイライトは若紫拉致およびその養育の箇所だと思っております(というか、そのあたりしか読んでいない)。なんでそこを出しやがる。
そしてなぜ自分。
「いざたまへ」を「さあ、まいりましょう」と訳せなかったのでしょうか。
まったく遺憾の意であります。
結果的に漢文もずくずく。得点は6割弱という惨憺たる結果(ついでに英語も壊滅していた)。
2枚並べて敷いた布団をごろごろ転がり、天は我を見離したり、おいおい泣いて虎にでもなりそうな勢いでありました。
もうほとんどトラウマに近い記憶です。
その象徴が、『源氏物語』なのです。
今はだいぶ平気で読めます。
というより、読まないとお話にならないからなのですが…。

わたしの俊成卿女はなにか間違っている

「後鳥羽院さまの歌会に呼ばれなすったのでしょう? どのような名でお出になるのですか?」
「これよ」
「………!? ど、どういうおつもりで…?」
「どのつもりも敦盛もないわぁっ!」 

上記はあくまで、わたしのイメージです。
日本文学史中世の授業をとっていらっしゃる方は、ぴんとくるものがあるのではないでしょうか。
俳優さんに疎いおのれを全力でうらみました。
自分はわりとステレオタイプな女性キャラが好みのようです。
「おほほほ!」と高笑いするような人が好きです。