本日公開の文学部スペシャルサイトはもう御覧になりましたか?私は友達がたくさん映ってて嬉しくてしかたない!
みんなみてね~↓
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日本女子大学文学部日本文学科は、贔屓目無しにみても他大学と比べてもレベルが高く、広範囲で日本語と日本文学について学べる場所です。これを読んでいる幼稚園生から介護保険対象者の方までの女性の方々全員に、憧れの学部射程圏内に入れて頂きたいと思っています。そのためには、関わっていないサイトを読めばわかるよと放任するだけではなく、私からも魅力をお伝えしたい次第です。
授業にも著作権があって、私はかなりそのへん厳しくしたい派ですから、誰にも許可を得ていない今、授業の詳細を全て書くというようなことははしませんが、日本女子大学文学部日本文学科と他数校を実際に過ごしてみて、うちの日本文学科のどこがいいのか悪いのか、できるだけ細かめに書いていきたいと思います。是非、歴代のサイトやブログを見ながら、これも参考の一部にしていただけると嬉しいです。
目次
1日本語学の授業
2デジタルの授業
3課外授業
4文学講義
5先生について
6授業外の学生生活
1 日本語学の授業
一番代表的で、分野外で区別つかないよという人でもわかる特徴は、日本語学をカリキュラムに含んでいる点です。
日本語学を研究・学習領域に含む日本文学科はかなり少なく、しかもその中で、全学生が必ず日本語学の概論・歴史を学んだ上で、三-四年の研究に活かしていくという工程が否が応でも組み込まれる仕組みがあるというのは、本当に珍しいものです。
しかし日本及び日本文化、そしてその中に含まれる日本文学を語る上で日本語に関する構造的な知識は必要不可欠。日本語学を通らずに日本文化を語るのは、入り口にも立たぬ部外者の発言。ソシュールらが論じているように、言語によってその文化圏が作られていくのですから、日本という国や、日本文化を本格的に研究しようとする際は必ず日本語学をどういう形であれ、学ぶ必要があるのだと理解しています。代々口伝でのレシピだとか、狂言のお稽古だとかもそのひとつであると思います。
私?一番苦手な分野です。正直この科目は人を選びますね。一年生の概論からマジで意味がわからなかった。初心者にしては学ぶ量が多く、悩んでいると次に進む。特に高校までの文法知識(五段なんたら活用など)がしっかり頭に入っていないと、本当についていけない。先生方に聞けば答えていただけますけど、私たちの学年は遠隔だったのでどうにも。多分、今学部にいる学生の中で最も日本語学が出来ない学年。全員初めて学ぶ内容で、国語が好きという人は得意科目の概念を崩され、かと言って理系の人も唸る内容なのである意味、平等な科目。どうにかして回避できないかと毎日悩んでるんですけど、なんだかんだ毎年取っているような気がします。
2 デジタルの授業
レポート提出締切三時間前になって「名前すら打ってないわ…。」となっても、サイニーやらなんやらで何とかできてしまう、親世代の大学生活が信じられない生活をしている私たち。でも、それを使っている身として、その仕組みや裏側、危険なところを知ったり、それを有効活用するためのイロハは大切で、出来ればその学びを今後の仕事に活かしたいものです。今回の新しいHPはこの話がメインなわけですね。
そんな学びができる授業、『デジタル時代の人文学』という授業が代表的な例でしょう。先生によって内容は変わりますが、どの授業も「文化をデジタル時代にどう活かすか?」ということを考えるものとなっています。
ただ、それにしてはコンピュータに対する知識養成が足りてないかな。基本的なExcelやWordの使い方は必修で習うけど、それ以降はカバーしない。まあそれは理系の仕事だから…と割り切っているのでしょうが。
なのでプラスα(サイト運営に必要な統計とかプログラミングとか)を学ぶには、他学科の授業を自由選択科目や、大学の講座で探すべき。数物や化生に対して多少抵抗がある学生は、家政学部(旧含め)の授業がおすすめ。
そしてデジタル関連の授業とは話が離れますが、授業ごとバラバラに参考サイトを紹介するのではなく、一年生の初めに全員共通で、こういう便利サイトがあるよということを全て一覧で示すと指導が楽そうだなと、毎回思っています。生徒各々が逐一自分で見つけていくのが一番いいんですけど。
3 課外学習
ある。あるけれど、実験をするような他学科や京都の大学に比べると少なめ。
能や歌舞伎を観たり、現場の声を聴く機会は先生であったり国語国文学会によって作られているけれども、一ヶ月に一度二度というわけにはいかない。学会委員の立場から言うと、予算も限りあるし、呼びかけても来ない場合が多い。これは毎年そう。大学生忙しいものね…。といいつつ、いざ主催側になると舌打ちすることもあったり。でも仕方がありません。
これにはどうしても大学の立地が理由の一つとしてあります。目の前に御所、降りれば国立博物館、大学が寺や神社の敷地にある、はどう足掻いても勝てません。目白不動もすぐ行ける距離ではない。能舞台も学校からじゃ電車で一駅以上。だいたい全ての駅まで微妙に遠い。普通に行けるから諦めきれない距離感なんです。
ただですら、七人以上で動くとなると安全の保証が低くなるのに、移動距離が長いとなるとさらに面倒になります。これが「じゃあ来週の授業は土下座前集合ね!そこから北上して、色々巡って、次の時間前には帰れます。」が出来ない要因です。聖地巡礼のようなものを授業内や空きコマでしっかりやりたい人は他の学校、というか京都がおすすめです。
ちなみに学校関わらず自分で行くにも、立地問題は変わらないので、面倒くさい。電車代も高い。歩くとなるとかなり辛い(上野とか)。
東京の大学なんだから贅沢は言うなって話ですが、せめてJRの最寄り駅から徒歩一分くらいの大学と場所を交換したいなとかは毎日思っていますね。こればかりは仕方がない。三井家も成瀬先生もこれは想像していなかったことでしょう。まだ私たちは副都心線が出来たのを喜んでおくべきです。
その分、和本を直すとか、能面を見るとか、学校でやれる体験は多め。古本に触れたり、実物を見る経験も用意されている。T大学やK大学などと比べて数では勝てないですけれど、この学校は触らせてくれたりするのでより身近に感じます。数で負けるようなところは大抵デジタルで資料を公開しているので、それらの恩恵にもあずかれます。
そして、忘れてはいけないのが変体仮名の読解をほとんど強制で皆、読めるようになるということ。京都で文学を学んでいても、写本で読める人が本当に少ないんです。最近は一年生の必修ではなくなったようですが、これは取るべきですよ、授業があるのですから。ちなみに、うちの史学科もあるみたいです。そちらは漢字が読めるようになるそうです。だから、こういうノウハウを学ぶ授業を経て、それを持っていること前提に資料を読まされることは多々あります。
つまりうちの学科は比較的インドアな授業が多め、そのため十二分に知識はつけられるが、それを外でどう活かすかは学生次第、ってことです。全ての物事に言えることですが、ずっと受け身の体制だとちょっと勿体ないのかなと、受け身の姿勢でいながら思っています。
4 文学講義
古代から現代まで幅広い時代・ジャンルの文学と、オールマイティに関われるのは非常に良い点。
何が誰が悪いこともなく、どの授業を取っても後悔がないです。もぐりをしてもいいのかは謎。個々に許可は取った方がいいかもしれないです。二時間続けての授業もないので、色々な授業が取れます。曜日・時間割が被りがちなのがムッとくることもありますが、それはどの学校も似たり寄ったりなことです。
「こんな授業があるよ〜」という例として、一年生から取れる講義を三つ、柔らか〜く紹介しましょう。
①中国の古典文学についての講義。来年帰ってくる予定!ただプリントを先生が教壇で読んで、感想だったりを書いたり、言ったりするごく普通の形式だったが、内容が濃かった。ちゃんと「読む」。特に覚えているのは『東京夢華録』を地図を見ながらどこでどこでと見ながら読んだ、本当に最初の方の回。大学の授業はこういうものなんだ!と初めに知るのにもうってつけの授業。
②万葉集の写本を巡る講義。古典文学全てにおいて原作が残っているものはない。時代時代で人が手で写し、たまに改変しながら受け継がれていって、最終的に私たちが知っているものになる。そんな歴史の流れをどう見ていけばいいのかを、万葉集を使ってしっかり学べる授業。古典文学を専攻する人は絶対におすすめ。今も離島な存在の校舎でやっているのかは謎。
③文学と派生した能についての講義。元の物語・能の台本・実際の映像を順に見ていき、お能の魅力を知る。楽器や舞台などの基礎的知識もしっかり学べるため、お能やそれ以外の伝統芸能に関して、親しみを持てるようになる。能楽師の方のお話を聞いたり、後日実際能を観に行く機会もある。上手いお能にはα派が出ているため、寝てしまうのは仕方がない。先生の話にはばっちり目が開いているのに、動画が始まると寝る、「普通は逆だよね」が体感できる…かもしれない。
5 先生のこと
書いてもいいのかわかりませんが、人によってはこれが一番知りたいことなのでは?
一言でいうならアットホーム。でも最近ブラック企業がこの言葉を使うこともあるので、ちゃんと事実に基づいた理由を言うと、失態を冒しても注意とかなり手厚いフォローがしっかり返ってくることが常であること。他にも、時間がないのにリソグラフのインクがないことに頭を抱えていたら、見かねて詰めてくださったことも。全員、親身です。本当に親身です。とても失礼な例えですが、近所のお姉さんお兄さんおじさんという感じの雰囲気があります。
全員専門家ということで、もちろん個々に癖はあります。あるあるの域ですね。もはや当たり前。これが怖いという生徒もいますが、癖のない教授の授業なんてつまらないにも程があります。ただ相性というものは絶対にあるので、まずはオープンキャンパスなどでお話ししてみてください。
悪いと思うことはなんでしょう、あまりないですね。学生さんがたくさん食べなと、立食パーティーの時全然食べてくれないことかな。
6 授業外の学生生活において
レジュメは自分でリソグラフを使って大量印刷します。意外とこれ珍しいんですよ。職員にお願いしなきゃいけないことが多々。使い方がわかると共に、ギリギリまでレジュメの内容を改変できる利点があります。数日前に申請しないとダメというのは忙しく、できれば最後まで完璧に成したい学生にとっては難しいでしょう。結局コンビニの印刷機が待っているのですから。
印刷室の斜め手前にある学科の図書室はなかなか充実しています。静かで机も広々。辞典など、豊富に揃っています。億劫な点は大学図書館が遠いこと。他学科の図書室も同じですけれど、校門前の信号が厄介なんです。間隔があるので、急いでいる時など、最悪なのです。カチカチしている時、小学生の目の前なのにダッシュで渡ろうとすると、守衛さんにガチギレされます。当たり前だ。
印刷室の隣部屋は会議室です。そこではよく国語国文学会が開かれ、ほとんど毎週会議をしています。学生が主体でやっており、三年生が一番上につきます。オリエンテーションやガイダンスで選出された委員が、企画の実施・研究ノートの作成・自主ゼミ等の会計管理をチームに分かれて行っております。他にも、年一での静嘉堂や宮内省書陵部の見学、十月ごろに開催の国語国文学会大会を中心になって行います。学科の中の学級委員長、と考えればわかりやすいと思います。まあ面白いですよ。とくに学会大会を学部学生が運営するところは少ないですし、いい経験です。
あとうちの学科で特徴的なのは自主ゼミかな。所属ゼミや学年関係なく、上代・中古・中世・近世・近現代・創作・日本語・交流ゼミなどと、一教授につき一つ持っているイメージがあります。中国もあったかと。大抵週一お昼休みに先生の研究室や教室・会議室に集まって、一つの作品を読んでいくもの。時間が短いので、発表者は(演習授業よりはかなりお気楽な)発表をして、しない側と先生はそれを聞いてリアクションする。夏休みには、国語国文学会のつくる研究ノートに全員でレポートを書く。真面目な会合と思う人もいるみたいですが笑、私は結構楽しくやっています。メンバーと先生が良いからかな。入るのは希望制で、春から何時でも入れるはずです。
ラスト、交換留学について。同志社女子大学さんには日本語日本文学科というものがあるので、史学科の生徒などに比べると今後戻ってからの大学生活がスムーズに進みます。単位互換がしやすく、またいくらでも行くための言い分は揃っている感じですね。今は私たちもいるので、先生や先輩に質問しに行きやすい環境もあります。
国外留学に行く人もいます。文系まるごと言える話ですが、理系と比べて違うのは、学校を離れやすいところですね。ラットとかいないし。行く先(協定校)が少なめというのはありますが、あまり志望する人がいないので、ほとんど確実に行けるそうです。
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以上、私が見る日本文学科でした!私は日本女子大学の犬レベルにこの学校法人が好きなので、多少バイアスがかかっているかもしれませんが、比較対象を持っての感想、ご参考になれば嬉しいです✌️
本日の読みたい本
『増補 文学テクスト入門』 前田愛著 ちくま学芸文庫
作者論を中心に展開する、高等学校までの一般的な国語教育をしっかり受けていると、この本の内容はすんなりとは入ってこないだろう。入門とあるだけ解りやすい方なんだとは思うが。しかし、本作で語られているテクスト論こそ、今主流の「読み方」である。
さあ、これをスッキリと読み終えられるだろうか。
ついでに言うと、本書に書かれた、本を始めとするあらゆる事象について、一年生の時点で「読み解ける」ようになるのが、日本女子大学文学部日本文学科のカリキュラムである。
この本を読み、本学科の授業を受ける、またこの本を読む、本学科の授業を受ける…のサイクルは必ずあなたの見る世界を変える。








