後名月にかき氷

暑さ寒さも彼岸までとはいうけれど、最近は季節が季節や国の垣根を越えて交流する時代。

そんな時代だからこそ存在できるメニューを今日はひとつご紹介させてください。虎屋さんの栗のかき氷です。芋名月が過ぎてから市場に出回る栗が、夏の名物かき氷とコラボなんて、本当に面白い時代になったものです。

そのままでも非常に美味しいのですが、私はかき氷に蜜栗をプラストッピングして、最後の一口で一気に味わいます。ホクホクした栗がラストを華やかに盛り上げます。店員さん曰く、練乳をかけるともっと美味しいらしいです。強いですね。

かき氷も最近はたくさんのお店が出てきて、自宅でも美味しいかき氷が作れるようになったけれども、この美しい盛り合わせは虎屋さんにしか出来ません。本当に美味しい。そんな令和ならではのかき氷は虎屋にあります。近いうちに喫茶がある虎屋さんのお近くを通る時は是非。ちなみにかき氷が終わればこれまた美味しい粟ぜんざいやお汁粉がやってきます。ちょっと高いので、今年は行けなさそうな気もしますが、いつか毎月毎週通えるようなご身分になりたいなと思っています。

西生田の森にて伸びるもの、生徒の背丈と文章量

今日はBSテレビ東京の『THE名門校 日本全国すごい学校名鑑』という番組で、附属中学校が紹介されておりました。内容はオープンスクール委員の子たちがオープンスクールを素晴らしいものにするという奮闘と涙のドキュメンタリーで、放送後友だちと「あのように素晴らしい出来た後輩がいて私たちは幸せものだ」と、熱く語り合いました。

小田急線の読売ランド前駅なんて、卒業すれば本当に行かないもので、我々は駅前の歩道橋を見るだけで涙をこぼすのですが、今日はそんな母校の過剰摂取を朝から行い、スマホの通知は中学が中学がとうるさいわけです。かくいう私も、ここに書いてしまうぐらいには興奮しています。

番組に出てきた人生何周目かと思うほど出来た中学生もいれば、大学生になってはじめてオープンキャンパス委員となり、はしゃぎすぎて足を攣るような卒業生もいますので、ピンキリということだけはお伝えします。しかし、あの番組に出ていた生徒と同じぐらい、人格的にも学業的にも既に大成している生徒が例年ゴロゴロいるのも附属中学校です。すごいでしょ。自慢の母校と自慢の同窓生です。

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番組でもサラッと紹介されていましたが、附属中学校は国語教育に現代では異質なほど力を入れています。

1番その成果が出ているのが、生徒及び卒業生の書く文章量。自分で言うのも何ですが、本当に長いです。まず、国語の授業を担当する先生が1年間に2人から3人いて、全員違う授業を1年間通して進めていきます。内容は近現代文多めの古典・近現代ごっちゃ混ぜです。ただテストや課題の形式は似ていて、テストは枠で囲ったスペースがあって、その中にみっちりと作品論などを書くスタイル。課題もB5くらいの紙に自分で枠取りして、スペースの許す限りみっちりと書くスタイル。出来上がった物は皆で共有して、互いに刺激し合います。

深夜特急、高瀬舟、陰翳礼讃、藤など教材のインパクトも強いものがありましたが、何よりもテストや課題の方針が我々生徒の発想力・創造力・構成力・表現力等々を育て、その結果が卒業生の華々しい活躍であり、スクロールしなければ全体が見えないLINEなのかなと思っています。

そう、我々生徒が注意しなければいけないところは、長く書くことを目的としてしまい、文章は人に読ませる物だという意識が抜け落ちてしまうことです。正直、文章の長さで附属中学生か否かは9割見抜けるほど、ダラダラと長い文章を私たちは書いています。相手が読みやすいか?ということが感覚から抜け落ちていて、私はつい最近までそれに気づけなかったので、今更色んなことや人に後悔と懺悔をしております。

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文章量といい、さまざまな力を身につけることができた附属中学校時代。在学時は劣等も良いところでしたが、これから先「お前が卒業生で誇らしいよ」と言ってもらえるよう、精進してまいります。

本日読みたい本

『銀河鉄道の夜』 宮沢賢治 新潮文庫

附属中学校ではこれが一番最初に扱った近代文学だった。私のこの本には、あの頃の付箋やラインが残っているし、度々本棚から出して読んでいるから、比較的ボロボロだ。

もう、何度も読んでいる。

けれども、私にとっての「ほんとうのさいわい」とは何だろう。あの頃もわからなかったし、今もわかっていない。でも、この数年間をこの学校法人で過ごして、少しは答えに近づいた気はする。

暑い日はビールに限る?

暑すぎて歩く気すら起きません。

言い訳に過ぎませんが、私そもそもの習性として花粉が飛散し出してから秋虫が鳴き始めるまでは基本的にやる気が出ない方で、9月以降はまた生き急ぐようにバタバタし始めますので今回まではインドアな感じの文章をお許しください。

こうして外に出ない日々が続く中何をいったいしているのかと言いますと、第一に企業のHPを見て、第二に本を読み、第三にスマホで文章を読んだり動画を見たりしています。冷房が効いた部屋の窓から覗く外の世界は晴れ渡り、絶好のお出かけ日和だと思うのですが、一歩外に出れば全てが幻想であることを思い知らされるわけです。朝から昼間はこうして、目が悪くなるような生活をして、夕方とか夜にちょっとだけ外を歩いて、体力を最低限維持しています。

本を読むと言っても、古典集成を読んでいるとか文学部の学生らしいことは一切せず、ずっと美術雑誌とか旅行雑誌ばかり見て楽しんでいるだけなので、なんとも言い難いです。

雑誌やSNSを見て、たくさん行きたいと思う場所はあるのですが、近隣だと銀座ライオン銀座七丁目店でしょうか。

ということで行ってまいりました。

銀座七丁目のライオンは現存最古のビアホールで、東京の中心地としてはかなりびっくり、戦前からあります。それゆえ、マッカーサー元帥もよく来ていたとか。ガラスモザイク画をはじめ、ほとんどが当時のままということで生きた文化財の代表例です。

頑張って昼間に行ったので比較的すぐ入れて、ビールも食べ物もすぐに来ました。夏祭り中なこともあり、ガリバーブーツで楽しんでいる客も多々見られましたけど、私たちはより多くの種類を楽しみたかったので、中か大ジョッキを数種類頼んで回し飲みしました。全部美味しかったです。黒ラベルは安定の極上として、意外だったのは、エーデルピルスの上品さと白ビールの飲みやすさ。二つとも初めて飲んだのですが、エーデルピルスは(ピルスとあるから当たり前)ウルケルに似ていて、でもそれらよりちゃんとポップに苦味があって、何より見た目が儚げで可愛い!白(調べたら白穂乃香とありました)はエーデルピルスや黒ラベルとは違って、苦味や麦感がないというか、原材料が小麦だからなのか詳しくないので知りませんが、本当に飲みやすいのにびっくりしました。ビール苦手でもこれなら好きって人たくさんいそうだなぁと思いました。

食べ物も本当に美味しくて、テーブルにみっちりなぐらい頼んだのに一瞬で無くなりました。個人的にカリーブルストが特に美味しくて、もっと食べたかったです。今回は頼まなかったのですが、周りの客が食べていた、つぶ貝のガーリックバター焼きが美味しそうだったので次回以降のため、ここにメモします。

昼間の銀座は日陰もあまりなくて最高に暑く、普段の銀座から考えると、ありえないぐらい路上に人がいませんでしたが、美味しい思いが出来たので行って大正解でした!あまり飲酒は良い印象を持たれないですし、あまり体に良くないことはわかっていますけれども、こうして歴史ある場所で百年前の人たちと同じように楽しめるようになったことは、歳とって良かったことの第一位です。

本日の読みたい詩

「お道化うた」 中原中也作 『在りし日の歌』収録

銀座ライオンの前身である、カフェー・ライオンについて書いてある本が良いかとも思ったが、やめて、これを選んだ。

ビールを呑みつつ泥酔の中、ベートーベンとシューベルトについて、彼らをベトちやん、シュバちやんと呼び、時空を超えた会話をする。さんざん色々話した末に、最後は「いざ知らぬ」と投げる。そして、どちらも早死にしたことを「誰知らうことわりもない……」と言って締める。

詞選びといい、展開といい、最後首がこっくんと言ってそうな消え方といい、詩全体から、暗い道だか部屋で、酔っている時の情景がありありと浮かぶ。次に並ぶ詩が「思い出」なのも、酔って寝た時の夢というか、翌朝の眩しさのような。

中原中也という人間が酒に酔っている、という行動が、絵や動画なんかよりも生き生きと伝わる、寂しくも美しい詩だ。

役に立たない高校生へのアドバイス集

ありがたいことにオープンキャンパス委員にさせていただいて、この間初めて参加してきました。

内部生なので本当に受験に対して知識がないのですが…。

なので全く役立たずのまま終わってしまいました。ちょっとこれはせっかくの立場をもらっているのに悪すぎます。

次回以降はちゃんと聞かれたら答えられるようにまとめておきたい!ということで今回は私が思う「日本文学科に入学して3年、これはやっておけば良かった/これはやるな!」集です。改めて考えてみても、私が答えられるものというと入学が決まってからの話だけなので、こうなりました。これだけの内容ですが、この通り何も物事を知らないほら吹きバカ学生が書いているので、本気にはしないように…。

〜入学時の私の簡単な学業レベル紹介〜

・思春期らしく漢字テストに反感を持ち、毎回再試験に追われる

・現代文法/古典文法ともに苦手、テストは捨てていた。勘で現代語訳をする変な癖がつく。

・近代文学と漢文のみ興味を持つ

・高校2年時英語が最低評価、理系も底辺に近い。しかし第1志望は定員が多く志望者が非常に少ない学科なため、余裕で入学

やっておけば良かったこと1-3位

1位 文法

これに勝るものはありません。全国の皆さん、特に解いたらその場で忘れるような方、他の暗記物は捨てていいので文法はきちんと学びましょう。文学部志望の人は〇行〇〇活用とかすぐに答えられるレベルだとベストだと思います。文法が出来なくて何が困るかというと、授業中の問いかけだとか、うちだと必修科目のテストとかもあるのですが、何よりレポートや論文で現代語訳をするときに困ります。正しくやらないとダメなので、詰みます。

他の人は使い方だけでも覚えて、勘で答えられるレベルになれば大丈夫だと思います。

2位 便覧に出てくるような古典作品を読む

これは合格後で大丈夫。でも、入学後焦って読んでも何も身につかない。附属生はどうせ受かるから今のうちから読んでおくといいよ。

今の大河に登場してくる、紫式部や清少納言など、今に至るような作品書いているような人は当時のインテリオタクしかいません。桐壺といえば長恨歌、香炉峰の雪は簾を高く、と必ずどこかで当時の教養として流行していた前時代の文学が出てきます。この程度なら全然マシなんですけれど、ハッキリそれと書いてなくても、構成や展開やセリフが実は『〇〇』のパロディだった!ということがあります。最初は謎解き感覚で面白いですが、だんだん自己不信になってきます。近代文学は日本の古典にプラス、西洋の古典作品からの引用も入ってくるのでそっちの方が地獄です。自分のためにも下に、今学んでいて読んでおけば/読んでいて良かったもの「個人的」ランキングは書いておきますが、中国古典から暇さえあれば満遍なく全部読むべきだったなと思っています。

☆これだけは目を通しておくと楽だと思ったもの

・白氏文集

・伊勢物語

・古今和歌集

・太平記

☆特に読んでおいて/読んでおけば良かったなと思うもの

・孔子とか中国思想系

・古事記

・万葉集

・日本霊異記

・和漢朗詠集

・今昔物語集

・平家物語

・聖書

・シェークスピアとゲーテの色々

★余力があれば

・大和物語

・住吉物語

・四鏡

・新古今和歌集

・曽我物語

★さらに余力があれば

・枕草子

・土佐日記

・梁塵秘抄

・徒然草

・方丈記

・千載和歌集

・催馬楽/謡曲/狂言/歌舞伎/浄瑠璃/落語の有名作品。新編集に載っているもの。(実際に観るのがベスト)

・浮雲

・蒲団

✴︎ただのおすすめ(近代)

・様々なる意匠

・『敗北』の文学

・日本近代文学の起源

✳︎私には無理だった

・源氏物語全巻

源氏とか特に擦られまくっているから、できれば全部納得いくまで読みたいけれど、本当に時間がかかる。まずは原文で読めと言われるけれど、絶対に途中で投げ出すので、自覚がある人は『あさきゆめみし』などで概要を知るぐらいで良いと思います。本文を読むのは他のを読んでから手をつけた方が良い。

3位 歴史

日本文学志望なら日本史、西洋文学志望なら世界史を選択することが多いのでしょうけども、正直日本人として日本人の歩みと歴史的立ち位置は知っておくべきです。つまり本来は日本史も世界史も、両方とも捨てるべきではない。

というのはさておき、日本文学および日本文化を知るには対象が生まれた時代背景をよ〜〜く知っておくべきです。細かいことまでとは言いませんが、この時代は誰の治世でどんな事件が起こっていたかぐらいは知っておく必要があります。これはイギリス文化専攻にしろ中国文化専攻にしろ何にしろ同じです。そして、4年後何を研究対象にしているかなんてわかりませんから、進む先が決まったのなら、満遍なく対象が存在する国の歴史的知識を得ておくと後々楽だと思います。国立博物館に通うのはかなりおすすめ。

殿堂入り 他言語(英語)

国の機関でありながら国語を捨てて英語教育に力を入れようとしている教育機関のことは、外国から密輸されてきたサルが運営しているんじゃないかと思っていますが、それとは別に、英語は世界の共通語ですので英検2級ぐらいのレベルはキープしておくと後々楽に物事が進みます。就職の話。

これはやるな!1-3位

1位 勘で現代語訳

やらないと思いますが、本当にやるな!いちいち調べて正しく翻訳する癖をつけてください。

98%は当たるとかそういう問題じゃないです、古典を読むなら原文と専門家が書いた現代語訳がついている本で読みなさい。文法身についていない人が安いからと言って現代語訳がついていないものを買うんじゃありません。図書館に通って新編集を読む方が良いです。

2位 古い論文を読む

大抵間違ってます。今の時代、吉田兼好と言うものならコンクリ詰めにされますよ。

3位 本を1から全て読むこと

ぶっ叩かれると思いますけど、時間がない若者にはやっぱりこれ。本って1冊長いじゃないですか。飽きるし、コスパ悪い。読み飛ばしても良いから、とにかく知ってるエピソードを増やした方がいいと私は思います。本1冊に対して原稿用紙10枚ぐらい感想をかけるぐらい、じっくり読むのが好きな人は否定しない、どんどんやってくださいだけれども、正直、全ての本をじっくり読む必要はない!じっくり読んだところで歳取らないとわからないのもたくさんあるし…。3-5行ぐらいすっ飛ばしながらでも、あらすじを知り、そういう世界があるんだってことを知り、そこから何らかの学びがあったり、この人何が言いたいのかわからないなと思ったり、知らない語彙が出てきたらその時点で価格の10倍は得していると思っています。

まとめ

とりあえず本を読むことをおすすめします!本以外にも高校生のうちから映画や舞台など、幅広い分野で知見を得るべきです。1番手っ取り早く、図書館に行けばタダで済むのでとりあえず本です。

これは文系理系関係なく、また中高や大学に進学するかしないかも関係なく、全員がその姿勢を持つべきだと思っています。それに気づくスピードが早ければ早いほどいいってだけです。高校生は早いですよ、少なくとも私よりは。少しだけでも嗜んでいると、人生楽しくなるっぽいですよ、共に楽しみましょう!

本日読みたい本

『プラダを着た悪魔』 ローレン・ワイズバーガー著 ハヤカワ文庫

この映画はおそらく、かなりの人間が観ている名作だと思うし、まだ観てなくとも、現代を生きる女性なら必ず一度は観ておくべきなんじゃないかと思う。

仕事、恋愛、その他の人間関係。どうやって自分なりに両立していくか。マイスタイルはどうやって築き上げていくのか。

形は人それぞれだが、情報が錯綜する現代を生きる私たちは、常に自分だけのスタイルを磨いていき、それに基づいた行動決定をしていかなければならない。

持つべきものは狂気な友人

ちょっと色々辛いかも(五月病)と思っていた時に日本文学・文化ばかり触れていたらそれらを目にするだけで辛くなり始めました。その時、タイミングよく救いの手を差し伸べたのが、やはり中高の友人たちでした。どれも会う理由は海外文化関連。6月の1週目、私は久しぶりに授業時間以外の時間のほとんど全てを海外に目を向けることになったのです。
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2日の日曜日。私は生まれて初めて立川駅に降り立ちました。昭和記念公園で行われる、東京蚤の市へ友人Aと行くためです。互いにちょっとづつまた遅刻し、立川駅で落ち合ったあと、昭和記念公園へ向かいます。「ヱ!?金取るの」と驚いた後、入場。お金は取りますが、老若男女沢山の人が居ました。もちろん、アンティークですから、フランスや英国、チェコ、北欧のグッズも沢山あります。食事も充実していて、ソーセージやクラフトビール……。「ビアガーデン行きたいね」と20代成りたて丸出しの会話をして、よし、英国でパブってボルドーでワイン嗜んで色々な国で食ったり呑んだり観光した後にドイツでビールで乾杯だ!と卒業旅行の計画を立てたりしていました。その時までには少しでもいいから円高ドル安お願いします……。そして、北欧といえば近くにイケアがあるんだぞと、再入場できることを確かめてから、イケアへ向かいました。イケアではちょうどお腹が空いたので、プラントのフィッシュアンドチップスを食べました。私の知るものとはちょっと違うけれども、やはりビールが欲しかったので公園で飲もうかなと思っていると。
マイナス因子同士が出会うとプラスになるように、お互い晴れ女ですが、2人で会うと9割雷雨が来ます。前回2人で旅行に行ったときは、大豪雨で霞む五重塔を見ながらアフタヌーンティーを楽しみました。今回も見事雨雲がやってまいりました。IKEAと書かれた旗がすぐ近くにあるにも関わらず、白くなって輪郭しか見えない様子に、ビールさよなら、また今度と別れを告げました。私はいつになったらこの友人と酒を交わせるのでしょうか。公園の会場もやっぱり来たかと雨装備を初めていました。しかし、今回の雨雲は調子が悪かったようで、移動できないほどの豪雨ではありませんでしたので、歩いてららぽーとに向かいます。ららぽーとでは以前から2人して気になっていたアヒルのぬいぐるみを互いの形見として持ち帰り、私が大好きだった期間限定のアサイーパンケーキを食べました。

月曜日は私の今一番嫌なサークルがありましたが、自主ゼミがあって、その後同じ自主ゼミでかつブログ部の、ののちゃんと食堂で4限の時間まで話しながら美味しい冷茶漬けを食べれたので乗り越えられました。授業の方も他学科の友人たちと会えるのでサークルまではしっかり元気でした。

火曜日は偶然(!)学校へと向かう途中で、友人Rと会えました!彼女は最高にクールで中身はやばい変人。ずーっと一緒にいたのに、学部が離れて全然会えなかった上、元々私は彼女と会うと元気になる特性があるので、まるで栄養剤をイッキしたかのように、一瞬で元気になって百年館までの道をスキップで行きました。学会では学科のオアシス、私の友人で学会委員長である友人Nとお話しできましたし、授業の帰りには顔が良い数少ない学科の友人Mと偶然鉢合わせ、少しの間だけお話ししたのと、更にバス停前で他学科の友人たちとも会えました!後1日頑張れというエールでしょうか。

水曜日は友人のお姉さん(あだ名)と授業を受けて、その授業の途中でアブの入場があって(コイツの入場は目白では珍しいですが西生田では全く珍しいことではありませんでした)、それに気をとらわれているうちに授業が終わりました(笑)そして120年館で学科の大食い友人Kと(これまた偶然)会って、食堂でまた冷茶漬けヒレカツ入りと唐揚げを食べました。友人はうどんと小鉢と味噌汁とご飯を食べていました。食堂は美味しいですがもう少し量を増やしてほしいです。

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そしていよいよ木曜日!いつも通り10分ほどの遅刻を果たして舞浜駅に着きました。この日から2日間、友人Dとバケーションパッケージでディズニーランド・シー・ファンタジースプリングスを楽しみます!
ランドではまず、バケーションパッケージ(以下バケパ)特典のパスを使って美女と野獣のアトラクションに乗りました。最後の舞踏会のところで踊り酔いしましたが(笑)素晴らしいセットにどこから出てくるのかわからない扉、ベルの美しさに最初から泣き出しそうでした。
この日のランドは異様に空いていて、次は待ち時間5分足らずでホーンテッドマンション、スプラッシュマウンテン、スペースマウンテン、スターツアーズ、バズをぐるぐるした後、ショーを観に行きました。車が舞台上に登場したり、チップとデールが様子のおかしいダンス(もちろん褒め言葉!)を披露したり、イーヴィルクイーン(お婆さんの姿)がアホみたいに暴れ踊っていて、ショーってこんなに楽しかったっけと思いながら、爆笑しました。

この後は、20分足らずでミッキーとミニーにそれぞれ会えるとのことだったので、会いに行きました。ショーの後なのでまるで楽屋訪問のようです。空いていたからか?2匹ともサーヴィス精神旺盛で、ミッキーにおいては、1匹と2人で様子のおかしい写真を撮ってもらった後、手に鼻キスしてくれました。2人して驚きすぎて、鳥が飛んでいたところにいきなり牛が突っ込んで来て驚いた時の鳴き声のような声を出してキャストさんに笑われました。未だに感覚残ってる。
そして、今やっているドナルドのパレードをシンデレラ城の前で観ました!昼間のパレードは他の友人と行くと絶対に観ないので、10年ぶりでした。ドナルドの誕生日が近いことも知らなかったやつがこんな良席で良いのかと思いながら、カメラを構えた友人の蔭に潜むようにして待っていましたら、ポップな音楽が流れ始めました。ドナルドの格好をしたダンサーさんたちが本当に可愛くて、あとピートがヴィランのくせして優しくて可愛い!何より主役のドナルド!この子は文句なしの可愛さ満点ダックです!何言ってるのかわからないけど。

可愛い可愛い鳴いていたらあっという間に終わってしまい、残念がっていたら、「次もショーだよ」と友人に手をひかれ、フォレストシアターという新しい劇場に行きました。席に座る前にトイレへ行ったのですが、トイレまでの廊下が本当に可愛くて泣きそうになります。飾ってある楽譜を一つづつ見ていたら、スタッフの方に「そろそろ始まりますよ」と言われて、慌てて2階席1列目へ向かいます。ショーの内容は色々なキャラクターが次々と歌を歌っていくのですが、途中シンデレラが他のプリンセスと歌う場面があって、その美しさに、私は小さい時シンデレラが本当に好きだったことを思い出しました。王子の名前などは忘れていましたが、またオタクをしても良いかなと思いました。ミッキーたちも本当にかっこ可愛かった!
そのあとはずーっとバズを周回したり(バズは7月で終わってしまうので)、センターに乗って首がちょっと危なくなったりしていたらあっという間に夜が来てしまいました。せっかくなのでエレクトリカルパレードを見ようと思って、友人をバズに置いて、城前広場に行きました。いつの間にかラプンツェルとアナと雪の女王が増えていました。浦島太郎かよ。こちらも大変楽しんで、隣にいた知らない外国人と盛り上がりました。

ホテルに行って、泥のように寝て、翌日はとうとうファンタジースプリングスです!バケーションパッケージにはファンタジースプリングスのアトラクションに優先的に乗れる魔法のリボンがついているので、9時くらいにのそのそと、シーの門をくぐりました。魔法のリボンは兎に角すっごくて、これとバーコードチケットさえあれば10分足らずで乗り物に乗れます。おかげでそれぞれ最低2回、多くて8回乗ることが出来ました!特にアナと雪の女王のアトラクションが良くて、詳しくは実際乗ってみてほしいのですが、イッツアスモールワールドのような穏やかなものにスプラッシュマウンテンを混ぜたアトラクションなので、運が悪い(良い?)と水の壁が襲ってくる場合があります。友人曰く、「水量がバグっている」ようで、乾きやすい服装と太陽の出ている昼間がベストです!ある意味マジのフローズンライドです、嘘は言っていない。

私が一番楽しみにしていたラプンツェルのアトラクションは私の推しであるゴーテルが一切出てこなかったので肩透かしを喰らいましたが、つまり全く悪役(というかラプンツェルの日常)が出てこず、ずっとラプンツェルたちが笑顔で楽しそうなのでこちらまで幸せになる、心が浄化されるアトラクションです。でもゴーテルは出ない。歌だけは列に並んでいるところで流れていまして、それに気づいて喜んでいたら友人に引かれ、前に並んでいたお子さんに「趣味悪…」とでも言われているかのような目を向けられました。酷すぎないかい?

ピーターパンのアトラクションは絶対に最初に乗ったり、食前食後に乗るものではない。車で本を読まなければ酔うことはない私も、酔い止めを飲んだ上で酔いました。後列になるほどつらいと考えます。でも、ピーターパンの良いとこどりアトラクションなので、スターツアーズが大丈夫な人は是非乗ってみてください!ティンカーベルのは、夜に行くと尚よかったです。帰りたくなくなって、「帰りだぐな゛い゛!!!」と叫んでしまいました。友人は引かず、わかると言ってくれました。さすが私の友人です。富豪になったらこんなイメージの部屋を作りたいと思います。あと、籠の中の鳥がうつろな目で下を向いているオブジェがあって可愛いと言っていいのかどうなのか戸惑いました。

重課金(バケパ)勢はこのようにスルスル乗れるのですが、普通の人はファストパスを持っていないと入れないので、それのキャンセルが出るのをずっとスマホを見て待っています。なので他のアトラクションはと言いますと、トイストーリーマニア2周目をしようとしたら40分待ちだったので「混んでいるね」といって辞めたぐらいに、空いていました!タワーオブテラーが20分待ち!秒速で落下事故経験!ちょっと昨今のテーマパークの闇を感じつつも、楽しく快適に過ごすことができました。

最後は『ビリーヴ!』と花火!『ビリーヴ!』はマジ泣くよマジ泣くよ言われていましたが……。いきなり寒くなったんですね、そして私はなんとフリードリンクチケットで冷たいドリンクを大量に飲み、その時も片手に持っていました。つまり、冷えてそれどころではありませんでした。しかし、これがなければ、大衆の前できたねえ泣き顔を晒していたので救われたというべきでしょうか。花火はそこから一気に移動し、ファンタジースプリングスのアレンデール城の前で見ました。これは流石にちょっと泣きました。もうすぐ現実回帰かー、という寂しさと、花火久しぶりに観たわという感動はもちろんあったのですが、それ以上に、今私の隣にいる友人Dは中学1年生から仲が良いのに、本当に時間割が合わないので、同じ大学構内に居るはずなのになかなか会えず、もはやネ友なのでまた実物に会えなくなるかと思うと悲しかったのです。

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土曜日は半日寝て、部屋の掃除(まだ引越しの片付けが終わっていない)をしました。
そしてラストは日曜日!スタジオツアー東京に万年ハリポタオタクの友人Sと遊びに行きました!前日に『出没!アド街ック天国』で取り上げられていたので混んでいるかなと思いましたが、全然そんなことはなかったです。2人とも30分以上遅刻したにも関わらず、すんなりと入れましたし、途中で渋滞もなかったです。館内が広いからね。「ハリー、お前は魔法使いだ」という文字がびっしりと書かれたハグリットとハリーの像を横目に、入場口へと急ぎます。今回も友人にチケットを取ってもらったので提示してもらって中にはいりますと、さっそく例のドラゴンが上に!ここは恐竜博物館か!?

推しが居た寮であるスリザリンのローブを購入し、さっそく中へ。最初はこのスタジオツアーが出来るまでのことや、注意事項を映像で教えてもらいます。一定人数が部屋に入れられて、説明を受ける様はまるでホーンテッドマンションのよう。扉を誕生日の人が押し開け、いざホグワーツ!

目の前に現れたのはあの食堂!ホグワーツの校章があんなところにもあるんだ、蛇の舌イメージでスネイプ先生のマントは2つに分かれているんだと友人に色々と説明を受けながら、食堂の構造や衣装を見学します。

ここはどちらかというと博物館のような感じで、建物の作り方から衣装の作り方、魔法動物のCGの作り方、合成音の出し方などが紹介されています。これがマジで楽しい!!(建築服装等々専門外の私でも!)なので特に舞台装置などに興味がある人はおすすめだなと思います!

他にもクディッチ試合の観客になったり、ヒッポグリフとお辞儀をしたり、魔法省に登庁したり、友人の杖を借りて実験をしたり、守護霊を呼び出したりしました。

一番右が推し!!!!!!!!!

たまに居る推しが可愛いし(見つける度にギャーギャー騒ぐ)、英語文章を訳すだけでなく、すでに何回もここに来ている友人がプラスαの説明をたくさんしてくれるし、食べ物は可愛くて美味しいしで、なんと7時間も滞在してしまいました(笑)でも体感は3時間!広いところに所狭しと展示がされていて、友人と、日本でこれならイギリスのはどうなっているんだろうね、よっしゃイギリス行こうぜ!と話しました。そのためにも円高お願いします……。

おかげで翌日は全然声が出なくて、のどが痛くてつらかったです。(そして熱が出る)(永遠のガキ体質)大学生になってからほとんどずぅーっと気を張っていて、たくさん喋ったりするようなことが滅多にないのでこんなことになりました。ですが、嬉しい代償です。気を使わず無礼講でいられる(言ってしまえばこれ以上見せて失うものがない)友人がたくさん居てうれしいです。またみんなと遊びに行きたいし、社会人になってもババアになっても仏になっても、この関係を続けていきたいです。多分何人かは読んでいるから、しつこいとは思うけど、ここでも感謝の気持ちを伝えるよー!ありがとう!!

追伸、今度みんなでZ級映画観ながらアメリカンティーパーティーしようぜ!

本日の読みたい本

『ハリーポッターと死の秘宝 下』J.K.ローリング著 松岡佑子訳 静山社

私はこれの、ベラトリックス・レストレンジが死ぬ場面が本当に大好きなのだ。

この場面は小説、そして映画内随一の名シーンであると考えている。尤も、死の秘宝は名シーンの塊なのであるが。悪を体現したかのようなこの女が、母娘愛の力のもとで干からび、木っ端みじんにさせられる。まず、殺し方が特殊。そしてその生死を別けた闘いは非常に短い時間で行われる。儚いという言い方が良いのか悪いのかはわからないが、一秒一秒、一文字一文字が見逃せない。

超・超個人的な話になるが、私はこれを小学生の時に読み、これの(ベラトリックス及びヘレナの)ファンであったがために、今に続く友好関係を築き上げたこともあり、著者には大変感謝をしている。

これを読んでくださっている方々にも、このような本はあるだろうか。

四年に一回

秋の始まりと同じぐらい過ごしやすかったはずのゴールデンウィークなのに、また今年もやたら暑かったですね。Tシャツが嫌でもヨレヨレになります。

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さて今回お話するのは5月5日に行われた、九品寺浄真寺の二十五菩薩来迎会、通称お面かぶりについて。

詳細を話す前に、どれぐらい珍しいものなのかをお話しましょう。

公式ホームページ(二十五菩薩来迎会(おめんかぶり) | 行事 | 九品仏淨眞寺 | 九品山 唯在念佛院 浄真寺)(最終閲覧2025/3/19)をみると、

これは江戸の時代より※四年ごとに奉修される「阿弥陀如来二十五菩薩来迎会」のことで、都指定 無形民俗文化財(民俗芸能)に指定されております。
※元来は三年毎でしたが、令和六年奉修後《四年毎》に変わりました※

とあります。四年に一度。今年やったら次は二〇二八年。逃したら忘れそうな感じですね。タイミングよく気づけました。

ちなみにおめんかぶりについて、当日配られたご住職による説明書きには、

当寺の開山珂碩上人(略)臨終の正念往生を勧められんが為に此の寺を開創せられ、(略)臨終の御来迎を顕章せんが為に来迎会(通称おめんかぶり)の御法要をお示しになりました。

「おめんかぶり」は浄土よりの御来迎の佛菩薩を表わすもので、一つには臨終の御来迎にあやかる為に、二つには念佛行者の信仰生活と佛の護念光照を喜ぶ為に信者の方が進んでお面をかぶり、練行列に加わる関東に於ては当山のみの独特の相続行事であります。

とあります。上記のとおり、このような練行列は関東ではもっぱら無く、関西だと大念仏寺の万部おねり、當麻寺の練供養会式が挙げられます。

大念仏寺万部おねり 万部おねりとは | 万部おねり | 融通念佛宗総本山 大念佛寺 -大阪市平野区-

當麻寺練供養 練供養会式 | 季節の行事

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さてそんな珍しい行事を現在もなお行っている浄真寺はどんなお寺さんかというと、正式には九品山 唯在念佛院 淨眞寺。九躰の阿弥陀如来坐像の安置していることから「九品」の名がついたそう。寺に置いてある『浄土宗九品山淨眞寺略縁起』曰く、先ほども引用の中で触れた珂碩上人が四代将軍徳川家綱の代に、「奥沢城跡であったこの地を賜り、浄土宗所依の経典である観無料寿経の説相によって堂宇を配置し、この寺を創建」したそうです。

境内図はこちら→境内図 | 拝観のご案内 | 九品仏淨眞寺 | 九品山 唯在念佛院 浄真寺 の通りで、入り口付近から、閻魔堂、開山堂、観音堂、龍護殿(ご本殿)、珂碩上人御廟、上品堂、中品堂、下品堂、五社殿の九つの建物があります。

ご本殿には本尊に釈迦牟尼佛像や五劫思惟像などが安置されており、先ほど話題に出した阿弥陀仏は、上品・中品・下品にそれぞれ三躰ずつ安置されており、これが九品の由来で、他に仁王門の上にもいらっしゃいます。

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さて、いざおめんかぶり。一日に二回行われるのですが、私は午前十一時の回に参列しました。境内は流石の混みようでしたが、京都三大祭りを乗り越えた私にはなんてことありません。しかし、当日は本当に暑く、もうバテて倒れる人がいることは目に見えるような気候でしたから、参列者には団扇が配られました。その団扇はおそらく二~三種類あったらしく、隣に立っていた方と柄が違うわね、などといって盛り上がりました。

おめんかぶりの行列は、本堂と上品堂の間に柱がかかっており、そこを計三回、行き来します。橋の柱には阿弥陀経に詠まれた二十五の仏様の名前が一名づつ刻まれており、今日だけの為に拵えたものかと思われます。

コーン、コーンと鐘楼の音が鳴り響きます。上品堂から、お念仏が本堂側から聞こえる中、菩薩様だけがやってこられます。阿弥陀如来さま、観世音菩薩様、勢至菩薩様、薬王菩薩、薬上、法自在王菩薩様、獅子吼菩薩様、陀羅尼菩薩様、虚空蔵菩薩様、徳蔵菩薩様、宝蔵菩薩様、金剛菩薩様、金剛蔵菩薩様、光明王菩薩様、山海慧菩薩様、華厳菩薩様、衆宝王菩薩様、月光菩薩様、日照王菩薩様、三昧菩薩様、定自在王菩薩様、大自在王菩薩様、白象王菩薩様、大威徳王菩薩様、無辺身菩薩様と、お付き添いの方々(お面は重い上に前があまり見えません)が、お渡りになります。暑いので、お付き添いの方は、如来さまたちにうちわをふっております。そして本堂におつきになると、本堂でしばらくの御法要があります。

しばらくして、鐘楼の音が鳴り響き、こんどは銭湯に開山上人御厨子及衆僧稚児が菩薩様と一緒に上品堂へ向かいます。

そしてまたしばらく待って、また鐘楼の音が鳴り響き、三回目のお渡り。お念仏が唱えられながら、まず、緑色の衣を着た道成寺の雅楽隊が先に行きます。雅楽泰の前には振り籠を持った男性。四歩進むごとにとんとん、と橋の床を叩きます。さらに続いて上人が行くと、菩薩様がやってきます。そして菩薩様に続いて浄土宗三十八のご住職様が練り歩きます。そして、散華を振りまくのです。

私は貧血になってしまい、ちょうど帰ろうと橋の下をくぐっている時に散華が上から舞い降りて来たものですから、つい嬉しくて胸元に降りて来たものを一枚お持ち帰りしました。

動画でのご様子は、公式があげてましたのでこちらをどうぞ。

https://www.youtube.com/live/2MtoncjPXs0?feature=shared

鐘楼

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ばててしまったので、自由が丘のサイゼリアで涼んで、551にそっくりだという肉まん(全然似てない、551を求めるならば新幹線代をケチらないべき)を食べて帰りましたが、本当に人の情含めて素敵なお寺だったので、涼しくなったらまたお伺いしたいです。

本日の読みたい本

『よくわかるお経読本』 瓜生中 角川ソフィア文庫 

お経は法典を歌詞にしたミュージックだ。謡う人や宗派によって違うし、歌詞さえ理解できればもっとお経が面白く聞こえてくるものだ。

本著はひとつづつのお経の、概要・内容解説と、ふりがなによる読み方指導を行う本だ。

元が法典ということで、仏教=墓場のイメージが強い日本人にとっては暗い印象を抱くだろうが、法典の内容は物語であったり、嘆願である。最近の曲とさして変わらず。楽しみは多い方がいいだろう。是非読んでみて、今後のお参りにお役立てください。

春学期の目標、もんじゃを食べる

花粉はスギからヒノキへと移り変わり、桜が舞い散る季節となりました。一年生の方々、ご入学おめでとうございます。楽しく有意義な大学生活を送ってくださいね。

私も京都から関東に帰って参りました。ギリギリまでいたのでつい先日の話なのですが。荷解きが本当に終わりません。部屋には段ボールが積み重なり、混沌としています。元々整理整頓が好きでないため、段ボールを片付けないまま段ボールありきの生活になって、最後の一箱を片付けるのは来年とかになりそうな気がします。入学を機に上京してきた皆さん、共に荷解きを頑張りましょう。

帰ってきてから早速、友だちと横浜で遊んだり相模湾沿いを爆走したり漫画の聖地巡礼をしたりしています。しかしそんな私の頭の中で、常に存在するあるコンプレックスがあります。

関東出身関東育ち、未だもんじゃ焼きを食べていないということです。お好み焼きは色々食べてるのに。

一年間他所に行って、代々住んでいて何を聞いてもよく知っている、京都のスペシャリストみたいな方々とお話しさせていただいたりして、地元周辺のことぐらい満遍なく知っておかないと!と思うようになりました。

それにしても、二十年以上住んでいるくせに全然まだまだ知らないことばかりです。今思いつくだけでも、もんじゃは食べたことがないし、けんちん汁も本場のは食べたことがないです。川崎競馬場も見たことがないし、山も登っていないし、井の頭公園も素通りした気がします。千葉は三ヶ所ぐらいしか行ったことがありません。

海外に出る前に日本のことはしっかり学んでおかないといけないし、日本全体をいきなり攻めるのではなく、先ずは地元である南関東周辺の歴史文化経済あたりからじっくり攻略していきたいです。

とりあえず春学期中にもんじゃ焼きを食べます!今年度もよろしくお願いいたします。

本日の読みたい本

『俳句歳時記 春』第五版 角川書店 

年々都市化・温暖化が深刻化し、特に東京あたりは、昔からあった四季の折々の景色というものを目にしづらい環境となってきている。

四季があることは日本の誇りである。古くより、私たちの祖先はその移ろいを空気であったり動植物を通じて楽しみ、それを文章や詩歌に残してきた。

しかし、先述の理由から、言葉ごと失われるのはとても惜しい。

まず言葉を知っておくこと。今は何を例に言われてもわからないかもしれないが、実際にそれを目にする機会が訪れたその時。感動もひとしおであろう。

梅風かおる京で

春は花粉症、夏は死ぬ。秋は幻、冬は寝込んで、また春がやって参りました。私はここ数日頭痛と目眩に悩まされており、薬飲めども気休め程度です。目と鼻はまだ何ともありませんので本当に花粉症なのか風邪の後遺症か疑うばかりです。

花粉降り頻るこの頃といいますと、そろそろこのブログ部にも新入部員さんの投稿が始まるということで、私も心から楽しみにしております。自己紹介をチラッとみたところ、皆さん趣味を複数お持ちで羨ましい。あと同類が少なくとも二羽いて嬉しいです。

話は戻して花粉の大元凶杉でございますが、いつもは滅んでくれと思っている私が、例外的に杉へ頭を下げる時があります。伏見稲荷の「しるしの杉」です。「きさらぎやけふ初午のしるしとて稲荷の杉はもとつ葉もなし」という歌もあるように、初午参りをした際に御弊として持ち帰る風習があった杉の葉。今は1500円で授与所にていただけます。

2月午の日の暁、前々からやるぞやるぞと決めていたのにも関わらず寝坊し、急いで出町柳の駅まで歩きましたけれども、まだ出町の橋を渡っているところなのに6時になってしまいました。日の出の刻まで47分です。

17分発の急行に飛び乗り、揺られること数分、七条から東福寺の間で東の空がうっすら青くなっており、すっかり出遅れたことを実感いたしました。

伏見稲荷の駅に着きますとすっかり空は水色になっており、鳥居の前にはカラスが群がっておりました。人はちらほら居りましたが、それでも静かです。

本殿に参拝をして、いざ千本鳥居へ。撮影している観光客もおらず、待つことなく頭下げることなく進むことができました。

四ツ辻に着くと、そこには朝靄かかった街。物珍しく見入っていたら、雨が降り出したので先を急ぎます。

道が整備されているとはいえ、なかなかの山ですので苦しさに加えてだんだん暑くもなってくるわけでございますが、止まると余計辛くなります。他の参拝客と、追い越し追い越され挨拶を掛け合いながら、山頂を目指します。目的が同じ者は多ければ多いほど自分にとって力になります。

途中、御剣社があります。ここは能の『小鍛冶』の舞台でして、昨今の刀剣ブームも相まってか、ここは一段と小さな鳥居を持っていく方が多く見られました。私も個人的にここには昔お世話になった身、供えようかとも思ったのですが、小さいのにちょっとバイト無し学生にはお高いんですね、鳥居。もっと社会的に活躍して、自分の願いが叶ったら、参道に建てたいなと思っています!

約一時間ほどかけて登頂すると、やはり初午ですので、をあげさんを持った参拝客が末広大神の御前に詰めかけていました。持参はしてきていない人も、目の前の売店でお供え物を買って。

本殿の方へ戻るとそこには大勢の参拝客!本殿にはもちろん、授与所にもとんでもない人が押しかけていて、朝早くに行って本当によかったです。こうしている間にも増える参拝客。直ちに退散を、と楼門の方へ向かうと、また雨が降り始めました。お稲荷さんの縁日に朝から複数の狐の嫁入り。天気が変わりやすい山かつこの季節とはいえ、なんだか不思議で素敵な1日の始まりとなりました。

こうも早く1日が始められると、次の行動が起こしやすいものです。この日は京阪で北上し、三条で降りて、みやこめっせで行われていた『京菓子と京の文化の祭典』に行って和菓子作り体験をしてきました!

亀屋重久さんの指導を受けて、挑戦したはいいものの、とても難しく、かなり見本とかけ離れたものとなってしまいました。今年度の国語国文学学会で和菓子作りをしたと伺って羨ましかったので私もようやく、しかも亀屋重久さんに教えていただけて嬉しかったです。

207番で京都駅へ行き、乗り換えて千本七条へ。『本家さんきゅう』さんでランチの寿司定食をいただきました。ここは卸売市場の隣に位置していて、大きめで新鮮なおさかなを使っているので安いうえにとても美味しいです。

そのあとは梅小路公園で早咲きの梅を鑑賞しました!

今年も咲くスピードが速く、北野天満宮さんでもすでに見頃を迎えそうなまであります。もしかしたら吉野の桜を見て帰れるかもしれないという希望を胸に、あと1か月ちょっと、京都暮らしを満喫しようとおもいます!

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なさばやと思ひし事から目を逸らし

あけましておめでとうございます!本年も何卒よろしくお願いいたします。

年末年始の我が家といいますと、年始早々インフルエンザ一家となり、おせち初売り初詣、ほとんど無縁の正月を過ごしました。丸餅は錠剤、お屠蘇はポカリ、鳴らすのは本坪鈴から体温計になりました。それでも全員食欲だけは旺盛なので肉を食い肉を食って肉を食いました。おかげさまで今はみんな元気に太りました、ありがとうふるさと納税の肉。

ギリギリ潜伏期間を乗り越え、成人式に出たのち、次の日の朝早速新幹線に乗って京都に向かいました。新幹線降りて改札へ向かおうとした瞬間「商売繁盛で笹持ってこい!」の宝永籠行列に遭遇するという、いかにも関西の洗礼を受けた後、荷物だけ下宿先に置いてすぐに学校へ行きましたが、流石にこのハードスケジュール。疲れまして、翌日寝坊しかけました。これで試験間近というのだから恐ろしいものです。二年生になったというのに、未だに三月末まで学校はあるものだと思いこんでしまいます。十二年間の風習は抜けづらい。

さて、先週から『光る君へ』が始まりましたね!脚本は我らが先輩、大石静先生。自分の先輩が手がけた紫式部を書いた大河ドラマを数回ではあれど京都で観れるなんて幸せ〜ということで、今回は試験勉強と終わらぬレポート(これが何よりキツい)の息抜き、ということで大河に出てきそうなところ「一部」巡りです。今回のルートは、上賀茂神社から堀川通を南へ下って、北大路堀川で曲がり、雲林院に行ったのち、バスで千本出水へ向かい、御所の跡を見たのち、京都御所および廬山寺へ行きます。

上賀茂神社

今ごろは、このようになっております。祭事の日は馬がいてにんじんをあげることもできます。

上賀茂神社の紫式部といえば、片岡御子神社でしょう。紫式部はここによく来ていたようで、「ほととぎす声まつほどは片岡の杜のしづくに立ちやぬれまし」という歌も詠んでいます。この歌の歌碑がならの小川沿いにあります。ちなみに私はこの側にある、須波神社からの景色とたどり着くまでの短い石段が好きです。私以外に石段を登っている人を今まで見たことがないのですが、是非石段を登って参拝してください。

上賀茂神社といえば五月の賀茂祭。多分というよりも確実に大河でも出てくるでしょう、そして私はそれが何よりも楽しみです。さてそんな賀茂祭の行列を清少納言が車停めて見たよという場所こそ、雲林院です。

雲林院

写真は五月に撮ったもの。雲林院といえば、常康親王が僧正遍昭に託したお寺で、歌にも詠まれたところ。源氏にも『賢木』で光が出家しようと籠ってましたね。看板によれば、大徳寺が建立される前はかなり大きな敷地を持っており、桜の名所でもあったようです。

この雲林院から少し南東へ歩いた場所に、紫式部と小野篁の墓と言われるものがあります。島津製作所の紫野工場の隣です。ちなみにこれらの近くには、『卯凪』といううなぎ屋さんがありまして、昨年の土用の丑の日はここにしたのですが、めちゃくちゃ美味しかったです!頭ついたまま腹開きで焼くうなぎなので、関東流のうなぎしか食べたことない人は是非行ってみてください。レジ脇に売っていた骨せんべいも美味しかったです。最高のつまみです。『フリアンディーズ』の北大路店も近くにあります。すべてのパンが美味しいですが、あんこの入ったパンは何個でも食べれます。特にあんこと生クリームの入った、クロワッサンのようにサクサクなマフィン(?)が美味しいです。

北大路堀川のバス停から206番系統に乗って、千本出水へ。バス停から少し歩いた場所に見えるのが、弘徽殿跡の石碑です。

弘徽殿跡

今の京都御所は元々土御門東洞院のあった場所で、南北朝時代に北朝が置かれたのがはじめ。平安時代の御所は今の千本通のあたりにありました。今はこのようにちょこちょこ石碑が建ってるのみです。

例えば弘徽殿跡から20歩ぐらい歩いた場所にある承香殿跡。そして浄福寺通にある、綾綺殿跡。

綾綺殿跡

ここはカフェになっているのですが残念ながら今月末で閉店とのこと…。上質な油を使って揚げたカツはそれはもう最高なのですが、ロースカツにつける、オリジナルの二種類のソースもこれまた大変美味です。惣菜重も美味しくて、その中に含まれるお豆腐は豆腐嫌いの私が、今のところ唯一水もなしで美味しく食べれたお豆腐。フレンチトーストもアッツアツの揚げたてで、天上に舞い上がるような美味しさ。プレーンしか食べていませんが、生クリームとメープルと砂糖だけで皿を舐めまわしたいほどなのに、アイスなんてつけたらどうなってしまうのでしょう。

大極殿跡

大極殿跡は公園になっています。私が行った時、やけに人馴れした鳩がたくさんいらっしゃって、あまりの馴れ馴れしさに運よくやってきた、201号系統に逃げ込んでしまいました。そう、この公園の入り口前にあるバス停は201号系統が来るので、そのまま一本で京都御所へ行けるのです。

烏丸今出川、もしくは同志社前で降りて、今出川門から御苑に入ります。江戸城跡と同じく、御所は無料で見学できまして、私はここが同志社から近いこともあって、朝イチに歴史に触れたい気分になったら、たまに散歩で利用させていただいております。初めての時はガイドさんがいる時を狙うのがベストです。御苑内には三つの休憩所があって、どこも居心地が良い。これらの休憩所、昨年度の京都建築賞優秀賞を受賞されたようです。私如きが言うのもなんですが納得。私はここ以外に、未だ開かれた場所にある休憩所で安心できる休憩所を見つけられていません。

清和院御門から御苑をでると、梨木神社の鳥居が左手にみえます。境内にある染井の井戸は、京都三名水のうち唯一今も飲める井戸で、五リットルまで百円でいただけます。そして、梨木神社と道路挟んで隣にあるのが、廬山寺です。今の廬山寺があるあたりに紫式部の邸があったといわれています。

源氏庭

写真は桔梗の時期に訪れた時のもの。今も堂内含めて特別公開中なので是非是非。入口近くには紫式部と大弐三位の歌碑があります。百人一首にもある、あの二首です。お墓の方に行けば、御土居の一部を見ることができます。

そしてこの廬山寺から少し南へ行ったあたりが藤原道長の法成寺があった場所。一年生の時古典文学講義1を取っていた身としてはロマンしかない土地で、歩いているだけでニヤニヤするのですが、あまり遺構や遺物が見つかっていないようで残念です。

番外編

《石山寺》

ここは流石に近いとはいえレポート終わってないのに行きづらい!しかし初夏に行っていたのでせっかくなのでそれを載せてしまう!

石山寺詣は宮廷の女人の間で大流行していたそうで、そんな女人の1人である、紫式部が「今宵は十五夜なりけり」と、『源氏物語』をここで書き始めたという伝説があります。

源氏の間

今はこちらの紫式部人形、修復に出されているようです。

なんで初夏に行っていたのかというと、石山寺縁起絵巻と、源氏物語関連の展示をやっていたから。石山寺縁起全七巻と、源氏物語や紫式部に関する展示物がありました。紫式部が使っていたとされる硯も展示してありました。この前再現プロジェクトも行われた、鯉と水牛が彫られたものです。本当にそうなのかは置いておいて、濃い墨と薄い墨を分けられるのは水墨画を描く時とかになかなか良いんじゃないかなども思ったりしました。それ以外にも、石山寺縁起にも描かれている銅鐸が展示されていて、絵巻に描かれた銅鐸と実物の違いを見比べられて、なにより「本当に出てきているんだ」というロマンを感じられて大変楽しかったです。やっぱり古代は良い。

展示が行われていた豊浄殿からすこし歩いたところに、紫式部の銅像もあります。実は昨年の初セミはここだったのですが、まさかセミが朝しか鳴かない夏になるとは、この時は思いもしませんでした。今年はもう少し涼しければいいのですが。

紫式部像

紫式部以外にも、石山寺は数々の文人ゆかりの地であり、中でも松尾芭蕉がこの地に来て詠んだ、「石山の石にたばしるあられかな」は、石山寺門前から少し駅の方へ歩いたところにある『茶丈藤村』の銘菓、「たばしる」の名前元となっておりまして、この「たばしる」が本当に美味しい!豆大福なのかと思いきや、牛皮の中には石山寺の硅灰岩を思わせるほど、ぎっしりと、ツヤッツヤの小豆とカリッとした胡桃が入っていて、見た目も食感も大変面白い。お土産におすすめです!

偶然かもしれませんが、石山寺に詣った次の日、三ヶ月ぐらい放置していた捻挫による痛みがぴたりと止んだのでお礼参りしないとなと思っています。

《平安神宮》

大河のクランクインで使われたところです!平安遷都千百年記念の内国勧業博覧会での目玉企画として平安時代の大極殿を再現したもの。朱色が眩しく、青空の元が似合います。大きな神苑があって、私は残念ながら未だ行けていないのですが、いつ行っても良い場所だそうです。確かにこの間、何かの雑誌か新聞で、素敵なお庭の写真じゃない、と思ったら冬の平安神宮神苑でした。

《鴨川》

川沿いで出会ってましたね、まひろと三郎。鴨川は昔から暴れ川by白河天皇で、今このように飛び石で遊べるまでに至れたのは、堤防を作ったり底上げしたりした先人のおかげ。それでも台風の次の日は増水していて、やはり川ってのは恐ろしいものだと再認識した記憶があります。

鴨川デルタ

最近ここには都鳥が来ていやがりまして、都鳥といえば東の方から都にいるあの人の様子を聞く対象だったり春の花を見ずに去るやつらと見られていたりしますが、今の私にとっては、こいつらが東国行きの迎えにしか見えません。東上Cはまだまだ早いよ。

この写真に写るデルタの奥にあるのが、下鴨神社。下鴨神社の楼門前にあります、相生社の近くにある授与所には源氏物語のおみくじがあります。五百円という値段ですが、これがめちゃくちゃかわいい。引く価値ありです。

というわけでざっくり一部ですけれども、書いてみました。これらはきっと紀行で出てくるでしょう。他にも大原野など行けていない場所がある上、宇治にもトビケラに怖気づいて最近行けていないし、何なら源氏物語ミュージアムには財布に金銭の類が残っていなかったということで未だ行けていないので、課題をさっさと終わらせていきたいと思っています。

『光る君へ』、雀が逃げたといい、他大河ドラマと違って、江戸時代の散文作品にも見られるような、源氏をはじめとした古典文学作品のオマージュとかそのまま使われたりだとかが多い脚本なのかな。和歌でいう本歌取りだとか本説取りのような。これらを探しながら観るのが楽しい作品だなと、未だ一話目ですが思いました。もちろんそんなの抜きにして観るのも面白いです。証拠に家族は東宮様で大爆笑しておりました。次回からの花山天皇に対する感想を訊くのが楽しみです。

なんにも考えずに流し見していても面白いし、どこに引用が隠されているかなと探しながら観るのはもっと楽しい。なんて最高なフィクション作品でしょうか。これから一年間、毎週楽しみがあることが確定して幸せです。どんな展開になっていくのでしょうか?同じ曜日の笑点もあわせて楽しみです。

散りて積もれる紅葉と日数

12月も後半となりまして、京都の観光客もずいぶんと減ってきました。今年は夏が暑すぎましたので、紅葉がいつもより長く、細かく言えば先々週ぐらいまで楽しめました。ですから、この間まで秋のようだったのに、本当にもう年末なのかと信じられない気持ちでおりますが、年始はこれまた冬とは思えないくらい暖かいようですね。成人式がある身としては助かりますが、昨年より一段と地球温暖化を肌で感じるようになってきて未来が恐ろしいと考えざるを得ません。

さて、私ただ今帰省中でございまして、それも帰ってきたばかり。書けるネタもないので、時間は少し遡り、ここでは12月上旬頃の紅葉のお話をして、本年の私のブログを締めようと思います。

紅葉シーズンの京都はとにかく観光客が多い、紅葉の名所は紅葉を見に行くのではなく人の頭を見に行くところだと言われ続けられて、覚悟だけはしておりましたが、まさかいつもは座れる早朝の京都駅行きバスが満員で、1台見送って10分以上後にやってくる2台目で観念して無理矢理乗り込むまでとは思いもしませんでした。東京の満員電車とは違って、大きなお荷物様たちが場所を取っておられるので、1リュックサック分なら無理矢理入り込めば若人1人は乗れるんですよ、危険なのでやりたくないですが、授業ですから仕方ない。そんなわけで平日休日問わず連日大混雑の京都ですから、紅葉を心穏やかに楽しむなら、頑張って早起きして、すでに開いているお寺さんや神社、あとは自然に育っている山などへ出向き、人が2、3人増えてきたらサッと立ち去る、正体バレを恐れる化け物のような動きをするしかありませんでした。なので結局紅葉の名所として名高い永観堂や東福寺は未だ行けず。ドーナツの生地部分に生まれ育った身ですから、人混みには人並み以上に慣れていますけれど、覚悟を決めてお金を払っていざ行ったとて、紅葉を見ているのだか、人のスマホを見ているのだか。まあしかし、この混みようは「秋といえば紅葉、紅葉といえば京都!」が世界中に広まっているということの証明です。確かに京都で見る紅葉は、今年は色が悪いとはいえ格別ですから、沢山の人に感動してもらうのは良いことです。

ところで、日本文学を学ぶ者としては、紅葉といえば?と聞かれて「京都!」とだけ答えるのは50点台だと個人的には思うわけです。京都は永遠の都ですけれども、その隣には、鹿の住む古都、奈良の都があることを忘れてはいけません。奈良と言いますと、東大寺や春日大社のある奈良市には、この度は幣もとりあへず手向山八幡宮や、秋さればの春日山がありますが、それ以外に奈良の紅葉といえば、そう、竜田川と三室山!

京都駅からJRに乗って揺られること、1時間ちょっと。王子駅にて下車。改札を出ると、雪丸という二足歩行の犬が迎えてくれます。そこから法隆寺行きのバスに乗って竜田大橋というバス停で降りて、交差点を渡り橋の方へと向かいます。橋の下に流れる川こそ竜田川!

竜田川と三室山と紅葉

昨今は琵琶湖の水も下がる雨不足。嵐もなくて、紅葉の下を流れていく水の様子は見ることができませんでしたが、平日だったのもあって、人が少なく、ゆっくりと綺麗な紅葉を愛でることができました。

川に沿って南へ下ったところに三室山が見えます。入り口のところにはなんと、「ちはやぶる」と「嵐吹く」が刻まれています。

三室山入口

階段で頂上まで登ると、正面には左右にゆったりと広がる信貴山!

頂上から

山頂の看板によれば、「能因法師は、下方の神南集落の三室堂に住んでいたといわれ、三室山へはしばしば遊びにきていた」そうで、そばには能因法師の供養塔が。同じ場所で寛いでいたと考えるだけで口角が自然と上がっていきます。

これで目的は果たしたのですが、せっかくなので街歩き。再び川の方に出て、今度は先程とは対岸側の竜田城跡から紅葉を楽しんで、猫坂交差点に出て、法隆寺の方へ歩いていくと、龍田神社があります。龍田神社は法隆寺の鎮主社で、ここの天然記念物の蘇轍はどこのものと比べても堂々としていて大変立派。

お参りをして、神社を出て、また法隆寺の方向へ進み、斑鳩町役場の前へ出ると藤ノ木古墳への案内看板が見えます。将来の墓には埴輪を埋めたい私にとって古墳は無視できない存在です。迷うことなく左折し、古墳へ向かいます。

藤ノ木古墳

古墳をぐるっと周回して、再び法隆寺の方へ向かうと、途中に斑鳩文化財センターというものがありました。ここは先程の藤ノ木古墳についての展示や、今は法隆寺の建築物について展示・保存している場所。

平日の昼過ぎですし、客はまばら。ボランティアの方が展示物を端から端まで丁寧に丁寧に説明してくださいました!私は古墳が埴輪の延長線上で好きなだけで、飛鳥時代は概要しか覚えていませんでしたので、解説していただいて本当に勉強になりました。また、私は今季の授業で文化財修復について学んでいるので、法隆寺の五重塔についての展示と解説は、その授業で学んだことを復習する良い機会となりました。

解説や展示に夢中になって、気づけば夕方の4時となっていました。南南西にいた太陽は限りなく信貴山の方へと近付き。行こうとしていた法隆寺は閉門時間が迫り。時間が余れば奈良駅の方にも行こうと思っていましたが、それも行けず。次の休みにでもすぐに奈良へ行こう!と思いましたが、京都から奈良って結構お金も時間もかかるんですよね。結局、次に奈良に行けたのは春日大社のおん祭の日でした。この日には流石に奈良も色無しで。紅葉踏み分け鳴く鹿は枯れた芝草探り当て、人来る度に寂しげに鹿せんべいを強請りなき、真夏の暑さが嘘かのように春日の山は酷く凍えて、あをによし奈良の都も冬が来たと実感させられました。奈良は京都より若干寒いような気がします。春日の山の黄葉は来年以降にお預けです。

手向山神社

先述の通り、今回が今年最後のブログとなりました。この2023年という年は、私にとって間違いなく、今までの人生の中で1番、濃い1年間であったといえます。ブログ部としての活動を始めさせていただいて、人生で初めての引っ越し作業をして、送り出す会を開いてもらって、そして4月に京都に来て。映像や物語でしか知らなかったものや、その場に来て初めて知ったもの。文学だけでなく、非常に幅広い分野で色々な事を経験させていただきました。毎日がとても新鮮で、楽しくて楽しくて仕方ありません。本当にありがとうございます。来年も皆様平穏無事に、楽しく毎日が過ごせますように。良いお年をお迎えください!