こんにちは、とみーです。後期がすぐそこに迫っていて、けれどやらなきゃいけないことも山積み。この頃、卒業していった先輩の偉大さをますます噛みしめています。
さて。皆さん、無常観って知っていますか? 『平家物語』『方丈記』等を高校で習った際、多くの人が学んだ言葉だと思います。「この世に変わらぬものはなく、どんどん移り変わってしまう~嗚呼儚い~ぴえん。諸行無常!」みたいな。私もつい最近、とあるサイトで「404not found」を目にして、諸行無常だと思いながら涙を流しました。よくあることです。
この無常観という考え方は、中世の日本で大流行しました。
それを感じることのできる今最も熱い一冊!鴨長明著『方丈記』!!
今年度、私が所属する中世自主ゼミでは『方丈記』を扱っており、ゼミ員は無常観をビシビシと感じています。人間すぐ死ぬし、家すぐ壊れるし、執着しただけ徒労だなあ…と。でもそれだけでは終わらない、なんか心に響く。
実は、今回『方丈記』をちゃんと読むまで「ゆく河のながれは絶えずして、しかももとの水にあらず」の暗唱くらいにしか覚えていませんでした。お恥ずかしい限りです。けれど読めば読むほど、鴨長明や彼の無常観に対する親近感が湧いてきて、とても不思議な気分です。この短い記述を通年で追っているので、まだ前半だけですが、例年以上にじっくり読めるのも考える時間があって染み入ります。
では、どんなところが現代人の心を掴むのか。それを探るべく我々は中世沼の奥地へと向かいました。
まず、冒頭部。皆さんご存じ、ゆく河のながれ、です。
これが本当に詩的で美しいんですけど『方丈記』全体に目を通すと、ただのカッコつけの気取った文章ってわけじゃなくて、長明の人生から吐き出した心を写し取ったもののように思えます。詩的なだけで終わらない、それこそ水のように我々の心に染みわたってくる気がする…。長明の歌や数奇なものを愛する面と、無常を感じ執着を捨てたいという面、その両方が滲み出ている(と思う)。これはなんの根拠もないのですが、長明、絶対一番最後にこの序文書いた。
次に前半部。五大災厄と呼ばれる、平安京を襲った災害等が書かれます。
荒れた時代、身分の貴賤も関係なく、誰もが家をなくし、飢え、死ぬ。火事、辻風なんかは、臨場感たっぷりに書かれて、長明が”目撃者”だったと強く感じます。一昔前の新聞みたいな。これらの記述は、出家後の年老いた長明が、過去を振り返って書いたものですが、かなり”リアル”です。
長明個人の人生も物凄く不遇なものでしたが、こうした外環境の荒みも、彼の価値観を揺るがす原因となったのでしょう。また、政治的な理由で起こった人災であっても、権力的な話には一切持ち込まず「都に暮らす人」に焦点を当てて災害を語っています。こういった所も親近感を覚える理由の一つかもしれません。
後半部は、後期にやるので一応まだお楽しみでとっておきます。軽く内容に触れると、長明の恵まれぬ人生に触れ、その中で栖(住居)や価値観に関すること等が書かれます。都の豪邸住みから、千分の一サイズの「方丈の庵(3M四方程)」というプレハブ小屋へ至るまでの住居の変遷は、「どうせいつかなくなる家に対し、執着するのは無駄である」を体現しているようです。まあ、結局その庵にも愛着を覚えて、「俺は俺は…」とジレンマ状態になるのですが。
こうして『方丈記』を読んでいると、不思議と他人事には思えなくなります。
近年、毎年のように日本各地で災害が起きていますが、大きな流れの中で、人々は簡単にそれを過去にしてしまいますよね。例えば、私にとって阪神淡路大震災は”歴史”ですが、東日本大震災は事実と共に覚えています。それでも、かつて毎日のように見た黒い波の衝撃に対し、ずっとあの時と同じ気持ちでいるかと言われればNOです。こうして、私が体験したことでも”歴史”となっていきます。
ところが、長明の五大災厄に関する記述は、”歴史”ではなく、現地体験した新聞記事のような感じで、スッと頭に入ってくる。彼が体感した無常を、彼の視点から教えてくれるのです。だからこそ「執着は無駄」と頭ごなしに言われるよりも、説得力がある。
あと、長明が聖人君子でないことも、親近ポイントです。
「だめだよ~無駄だよ~」って言ってくるのも、彼が執着したからですもん。しかも歌とか琵琶とか大好きで、プレハブ小屋になっても持ち込んでる。彼の無常観って、確かに世俗の価値観(お金やら俗物的なもの)を否定しますが、個人個人には寄り添っているように思えるんです。いらない場所に心を割くのはやめよう、身の丈にあった幸福を知ろう、といった感じに。
たとえ長明自身の思惑と違っても、私は、自分が受け取った長明の「ポジティブ無常観」を自分なりに解釈していきたいと思っています。
彼のこのスタイルは、間違いなく現代人に響く。だから、色んな人に是非読んでほしいなあと思います。
実はちょうど、先日漫画が出たようでして。とってもタイムリーですよね!
今日先生から教えていただき、私もさっそく読んでみました。文響社さんから出ている『最古の災害文学 漫画方丈記』。後ろに本文も載っていますし、ゆるりと読めてよかったです。
最後に。宣伝も兼ねて、中世自主ゼミでは活動を随時Twitter(https://twitter.com/tyusei_ji)から発信しています!
前期までのレポは勿論、後期もガンガン『方丈記』を見ていくので、良かったら覗いてください。そして、興味を持ったら、百206へGO!
それでは、またお会いしましょう。





