ハクモクレンは華やかに散りました。
桜の梢いっぱいにばらまかれた愛らしいつぼみたちは、ほの紅く染まった唇をほころばせてお喋りしています。
まいです。ごきげんよう❀
前回、趣味のひとつである絵画のお話をしましたが、それとは別で 私には絵画を続けてきた中でずっと描きたいと思っていたものがありました。それは女性の裸体です。
女性の身体は曲線美がほんとうに魅力的で、西洋絵画の名作にはヴィーナスやニンフなど裸に薄い布をまとったような美しい女性がよく登場します。どんなに美しいドレスで着飾っても、神様がつくりあげた人間そのものの姿以上に美しい芸術はこの世にありません。
美しすぎるものはそれだけ複雑であることもということも忘れてはなりません。いざ描こうと思ってもそう簡単にまねできないのが最高傑作のお約束です。
ウィリアム・アドルフ・ブグロー という19世紀のフランスの画家の絵を、ぜひご覧ください。天使の絵に見覚えがある方も少なくないと思いますが、彼の描いた女性ほど神秘的で清らかなものを私は知りません。
まずは彼の描く裸婦を模写するところからです。
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描かれた一人の女性もそうですが、魅力的なものは瞬間的にわたしたちの目をとらえます。
先日、近所の駅前のお店にて、一目惚れをしてしまいました。
『ちいさな手のひら事典 月』
という本です。
横書きで日記帳のようなフォルムのそれは、オリエンタルブルーの外見に金色に反射する小口というデザイン。そこに魔法使いが愛用している姿なんかを重ね写してしまったらときめかずにはいられません。
……ところでみなさんは、満月の夜、餅をつくうさぎの影を見たことはありますか。
あれはクレーターと呼ばれる月の窪みにより造形される影絵のようなものですが、月面に沢山あるクレーターのなかで非常に大きなものを「月の海」と呼びます。月にある海の数は22に及び、豊の海・神酒の海・晴れの海・賢者の海・既知の海……など、ひとつひとつに特徴的な名称がつけられているそうです。 そんな言葉を知るだけでも、新しい世界の扉を開いたような感動を覚えてしまいます。
このように、「事典」というだけあって各ページには天文学的知識から神話まで、ありとあらゆる月にまつわるお話が書かれており、加えて見開き右ページには必ずかわいらしいクロモカードが載っています。 1ページ1ページに恋する本、出会いの春にぴったりじゃありませんか。
話題や広告を頼りにするのもよいですが、時には憶測に左右されずに直観を信じてみるのも好いですね。
月の引力でしょうか。あのとき運命を感じたこの本を今日もわたしは読んでいます。🌙