こんばんは。窓の外はわずかに白い景色☃️ 童心に帰って雪だるまでも作ろうかと、車に積もった雪をかき集めたものの水分が多くてうまく固まらず。こんな寒い日は温かい緑茶に紅茶にコーヒーに…電気ケトルが大活躍の1日です。ホットドリンクを片手に雪を楽しんだあやがお送りいたします。
さて、本日は卒業論文の口述試験。日文4年のみなさま、お疲れ様でした!研究・論文作成に使用していたノートを試験対策のために見返しましたが、3年次から自分が選んだ作品と真摯に向き合えたことに達成感を味わっています。扱った作品は、室町期の御伽草子『音なし草紙』で癖が強い物語。簡単なあらすじは以下の通りです。
夫が出立で家を離れ、妻には愛人が。その様子を知った近所の好色な男性がなんと愛人を装って、女性に近づくのです。女性はまんまと騙され、そのまま共寝をしてしまいます。この後やってきた愛人本人のことを好色な男性の冷やかしだと勘違いし、怒りが収まらない女性。勘違いのまま好色な男性に抗議を送り、やっと事実を知るのです。2人を仲介する使いの者の活躍もあって、女性の非を「音なし」にすること成功。理想的な心遣い・女性像が結びで語られ、幕を閉じます。
本当は物語の内容をもう少し語りたいところですが、キリがないのでここまでにしておきます。ざっと聞いただけでも「どんな話だよ!!」とツッコミを入れたくなるでしょう。興味のある方は『お伽草子事典』に作品や伝本の詳細が載っていますので☺️ とんでもない内容ではありますが、『源氏物語』などの先行作品が巧みに引用されていること、何よりもこれを書き上げたのが19歳の親王であったことに驚きます。
先行研究で展開されている『音なし草紙』の着目点ではなく、新たな立ち位置を見出すこと。高貴な身分の男性が綴った物語の意味を読み解くこと。これらを研究のねらいとして、作品にアプローチしてきました。『音なし草紙』関連の論文はとにかく少なく、どう進めていけば良いのかが最大の悩みだったと思います。しかし、先輩方が教えてくださったこと-先行研究がないからこそ自分が開拓するのだという気持ちを忘れずに、常に新たな方法を模索していました。ある意味自由が利くので、自分の中の第一印象やちょっとした疑問がヒントになることも多いです。また、他作品との比較で初めて気づくこともあるはずです。些細なことからきっかけを作っていく難しさはありますが、行き詰まったときこそ冷静に本文をもう一度読んでみる習慣が私の中で効果覿面でした!!同じように先行研究の少なさで不安に感じている後輩さん、間違い探しのように作品を隈なく読み、強気で自身の論を展開してほしいなと思います。
そして、日々の授業がいかに大切で、大きな収穫であったことにも気づかされます。中世ゼミは発表の機会が多く設けられていたおかげでコツコツ研究に取り組めましたし、先生や院生の先輩、同じゼミのメンバーからのアドバイスが支えでした。1人ひとりの卒論に対する熱量を近くで感じられるゼミだったので、私も最後までモチベーションを保つことができたと痛感しております。
長々と語ってしまいましたが、最後に。石井先生が「卒論は愛」とおっしゃっているように、口述試験が終わるその時まで大事にしたのは『音なし草紙』への愛です。作品とともに歩む道のりは長く、なんとなくでは乗り越えられません。どうせ書くならば、楽しみたいものです。卒業のための義務として捉えるのは気持ち的に重いでしょうし、もったいない!作品に対する想いをぜひ大切に💗また、就職活動中は筆が進まず焦ったこともありましたが、むしろ選考がうまくいかないときの逃げ場にしていたときもありました。無機質なお祈りメールが送られてやるせなさを感じても、作品は私の横で私に研究してもらうことを待っているのですから。ね!素敵な関係でしょ!!
それではまた🤗