駅のホームで無心でお菓子を食べているおばさま。片手で袋を持って遠くを見ながらもう一方の手で袋の底を探り、掴んだそれをまた口に運ぶ。そのまま電車に乗り、座席で引き続き食べている。こういうときに感じる、不思議な気分の名前を私は知らない。
まいです、ごきげんよう❀今回はショートバージョンでお送りします。
人生最後かもしれない春休みを過ごしているため、旅と呼ぶには近場ですがおでかけの機会を増やしています。
先日、初めて三鷹の森ジブリ美術館に行ってきました。ジブリが好きなのですが三鷹は家から遠いため行ったことがありませんでした。姉から話を聞いて、楽しそうだなあと思っていたくらい。
三鷹は東京の中でも緑が身近にあってなんだかゆったりと時間が流れているような街でした。そのおかげか走行中のどの車も必ず道を譲ってくれて(本来はそうすべきですが)、気持ちに余裕のある環境は人を優しくするんだなぁと思ったり。
三鷹駅から美術館までは市営バスが出ていて、ジブリのパッケージのバスもあるとのこと。バス停を見ると停まっているバスの黄色い車体に『となりのトトロ』のメイが描いたような絵が描かれていて「やったね!」と言ったそばからドアが閉まり発進していきました。バス停に着いた頃には通常の赤いバスが私たちを迎えに来ました。
平日にもかかわらず人は多く、予約した入場時間になるまで外で並びます。幸い、この日の東京は風が穏やかで、2月と思えない強めの日射しに後頭部が熱くなっていくのを感じていました。
時計の針が11を指し、ようやく入場。
『となりのトトロ』のキャラクターを象ったステンドグラスのドア、『千と千尋の神隠し』の坊の部屋の天井、冷たい石壁には色とりどりのガラスの照明がやんわり光り、階段を降りていくだけで期待感が高まっていきます。
「美術館」と言ってもジブリの絵や資料が飾ってあるのではなく、どちらかと言うと小さなテーマパークのようで、色々な作品が展示されています。空間もジブリのイメージをくずさない、地中海地方を想起させる生成色の壁や陶器の水道、つんできた小さい花と春の眠たい陽射しが似合うような雰囲気です。
窓が描かれていたりヤモリがいるように見える壁や、だんだん小さくなる扉は遊び心満載。外の椅子にもなぜか回せる取っ手がついていたり、「なくても困らないけど気づくと楽しいもの」がたくさん隠れていました。こういうアイディアを出す作業って楽しいだろうなぁと思います。
そのほか映画が完成するまでに使う道具や、絵コンテ、下書きなどの展示はいつまでもその場で見ていられるようなものばかりです。
行ったことのある方はご存知だと思いますが、ここには小さな映画館「土星座」があり、来場者はそのチケットとしてジブリ作品のフィルムが1枚貰えます。
名シーンという訳ではなく、あらゆる場面のワンシーンなので「どの作品のどのシーン?」となるような一瞬の場面のフィルムであることも少なくありません(少なくとも我が家の姉たちはそう)。…なのですが!なんと私は『ハウルの動く城』の名シーン「なぜ?僕はもう守るものができた。君だ。」の場面のフィルムだったんです!!
ソフィとハウルが見つめあってるシーンで、先日ハウルを見返したばかりだったのもあり感激しました。
…
ランチは「麦わら帽子」という館内のカフェでいただきました。
通常のカフェよりもお高いですが、「美味しい」と何度も声に出してしまうほど絶品でした。特に新発売の「マンマボスが大好きなスープ」は本当に美味しくておすすめです。
ゆっくりお昼を食べ、西日にあたりながら屋外の展示を見て、のんびりのんびり三鷹駅まで歩きました。
中央線のグリーン車を今は無料で利用できるので、贅沢に利用し、たのしかったね〜また行きたいね〜とうつらうつら喋りながら帰ったのでした。
ジブリに触れると心と時の流れが穏やかになる感覚が私はすきです。
今日はこれで、おしまい。