ご無沙汰しております、みちるです。
一日が過ぎるのがとてもはやいんです。
「一日、二日、気づけば一週間一か月。何も出来ないまま過ぎていく」
今の私に一番効く、痛いお言葉ですね。
ここのところ何も出来ていない。否ただしくは何も完遂できていない。手をつけた作業が悉く終わらない、という状況は何も今に始まったことではないのですが、実際、近年稀に見るほど追いつめられているという実感はあります。単位が亡くなってしまわれる、前に、何とか立ち上がり歩き出したいところではあります。
間奏
不適切、そして場違い。
なぜ、流れるように体を動かすことができないのだろう。私の手紙を受けとってくれたあなたなら分かるかもしれないけれど、私は未だに同じことを問い続けている。
「あのう、ライター貸してくれませんか」
静寂を突き破る男の声。
初めて言われた。サークルの部室から一番近い喫煙所で。
「マッチしかなくて……」と困った風な仕草で話しかけてきた男は”OK”の形でキャスターを一本摘まんでいて、たどたどしい感じに親近感をおぼえた。
私はポケットの缶缶からライターを取り出してスッと渡してやりたかったのだけど、どうもここで缶の蓋が上手く開かない。延々とまごまごしているのは格好つかないなと思って、一緒にいた友人に「ライター貸してあげて」と又頼みする始末であった。
マッチもいいじゃないですか、と私が言った途端、ぴゅうと吹きすさぶ寒風が事のわけを説明した。
男にも連れがあるらしく、喫煙所の奥の方を見やるとこちらに笑顔を見せるパーマ頭の背高男がいた。
男は何度か風下のほうを向いてカチ、カチとやる。しかし一向に火がつかなくて、見かねた私の友人が「吸いながらじゃないと点かないよ」とレクチャーを始めたのだった。
初心者マークの彼は鼻先に赤を灯すと「ありがとうございます」と丁寧に結び、再び静寂が訪れた。
――私は自分のぎこちなさと間の悪さに辟易する。
こうして辟易することにも辟易している。
既に奥の方へ退避していた男の足元をちらっと眺めると、寒そうに、穴あきのサンダルを突っ掛けていた。
ジャンパーも着ずに。きっと震えながら吸って吐いてをしているのだろうと思われて、コートとタイツで武装した私は自分の肉の暖かさに安心した。そしてあちらの彼も中々”掴み損ねている”と思って、負い目含みの笑いが出た。
いや、彼のは”態度”かも知れませんね。だって板についている。
私が手を貸そうとしたその時ひとの持っている固いビンのフタは開き、私が席を立てば10秒後に老人は車両を降りて行く。
あなたにもそうした経験があるかもしれません。そうしたとき、我々は伸ばした手や浮かした腰の始末に困るのです。勝手に困っているだけだというのも実は誤りで、外部の要因によって困らされていると言った方が正しいのでしょう。
タイミング・運・間、それらは目に見えない因果関係と有限なるもの同士の相互干渉。幽玄なるもの同士の、ではない。私を場違いにするのは私でなく、私と場の双方である。
この作品をこの場に提示するのは場違いだ、と感じるとき。それは共通のコンセプトや規定に準じていないためではなく、往々にして作品の作りてたる人々のうちに私が同化できないためであった。
場違い、作法がなっていない、そうわかってしまうと金縛りにあったように何もできなくなってしまう。浦島の亀は冒頭こんな気持でいたのだろうかなと想像するばかりだ。
またしてもくだらない話、このような場でこのような話題がスベることを自覚したいのですが、システム上レスポンスが望めないためそれもかないません。
私も今日だけ、靴箱の奥に込められた突っ掛けを自分で引っ張り出す。
またお手紙書きますね、大好きです。 みちる




