花の色は~を口ずさみたくなる季節になりました。
星組『恋する天動説』という公演があって、3回観劇したわけです。見る前から「トンチキ」「ありうたお披露目おめでとうイチャイチャミュージカル」などのまああまり期待できない感想が届けられていたのにも関わらず、2回目の観劇から大号泣してしまう謎の人間が爆誕しました。周り、誰も泣いてない。
大好きなものを大好きということは自分を守ることにつながるのではないかとか、この作品を見て思ったのです。
あらすじはこちら。
1960年代、イングランド南東部の海浜リゾート地ブライトン。労働者階級の若者たちは、三つボタンのスーツでダンスミュージックに興じる“モッズ”と、リーゼントに革ジャン、ロックンロールを愛する“ロッカーズ”に二分され、勢力争いを繰り広げていた。リゾートのイベントに乱入した若者たちの悪ふざけが、両勢力の乱闘騒ぎにエスカレートする中、警官隊に追われたモッズのリーダー格アレックスは、スクーターに乗って高級ホテルの一角へ突っ込み、気を失ってしまう。そのホテルでは、一族の実権を握る祖母から家同士の結婚を強いられた花嫁のシンシアが、まだ見ぬ花婿の到着を待ちわびており、突然現れたアレックスを花婿と勘違い。カーレーサーを目指すシンシアは、今後も挑戦を続けられることを条件に渋々結婚を受け入れており、目覚めたアレックスにレースの魅力を熱く語り始める。人違いである事に気付いていないアレックスは、シンシアの熱意に心打たれて挑戦を応援し、二人は意気投合する。
アレックスの好敵手であるロッカーズのリーダー格レスリー、祖母の財産を手に入れようと画策するシンシアの叔父、本物の婚約者など、様々な人物の思惑が渦巻く中、アレックスとシンシアの出会いはカーレースのようなスピードで急展開して行くのだが……。
違う階級に生まれ育った男女が偶然出会い、葛藤や障壁を乗り越えて関係を育む様をロマンティックに描き上げるミュージカル・コメディを、星組新トップコンビ暁千星と詩ちづるの大劇場お披露目公演としてお届け致します。
シンシアは好きなものがあるし、好きなのに立場とか、祖母の言葉によって好きなものを認められない状況に陥る。そのときに他者から好きなものを止められたって、自分の好きなものを好きで追求すればいいじゃないかと後押ししてくれるのがアレックス。アレックスだって、メカが好きなのに世間によって自分の好きを我慢した結果、ひねくれた(若干反社会的な)若者になってしまった。二人とも好きなものを外部的要因によって好きと言えなくなってしまったということが共通事項なんだと思います。
人間は大人になるにつれて、社会に適応するために自分を上手く立ち回らせる術を身に着けるし、それが求められているのは確かで、でもそれと共に、素直さだったり、自分の感情の最もフレッシュな部分を鈍らせてしまうように感じます。自分がどう見られたいのか、ではなくてどう見られるべきなのか、というか、どういう人間であることを求められているのかとか、無意識のうちにそういうことに囚われてしまう。
でも、本当にそれが幸せになれるのかって言われたらそうじゃなくて、自分の思うままに表現して自分の思うままに生きることが最も幸せを手に入れるために必要なんじゃないかなって思いました。どのような自分が求められているかなんて、その時々で、関係性で、時代で変わっていくし、自分自身も周りも絶えず変化していく世界の中で他人の視点を内面化して、他人を意識しすぎたり自己批判のようになるというのは、一見他者に評価されやすいように見えて実は逆行しているのではないかと思ったりしました。つまり、自分が自分の中にある呪縛から解放されて自然に自分らしくあること、そして自分を俯瞰することが最も自分を守ることであり、自分を大切にするってことなんじゃないかと思いました。
「好き」に関しても、シンシアの「好き」という感情は真直ぐで、ただ「好き」にレーサーとしての結果がついてきたというものだと思います。その「好き」が本当にあるべき「好き」の姿で、そういう「好き」の発露を大切にしていくべきだと思います。「好き」というからには他人よりできなければならない、とか思って「本当に好きなんだろうか」とか考えだしてしまうけど、「好き」って思っているよりもっと率直でシンプルなものなんじゃないかということを、シンシアがレーサーとしての道を断たれそうになるシーンを見て思いました。多分心から好きだから「好き」を無理やり手放すことになったとき、あんなにわかりやすくひっくり返った感じになるんじゃないかなと思いました。
シンシアが再び「好き」を胸を張って「好き」と言って夢中になったとき、シンシアがとっても輝いていたのが印象的です。「好きっていいね」って隣で見てた友達が言うので、まさか私と同じ理由でこの人泣いてる…!?と思って「うん好きっていいね」とか言ってたのに、その次に「うたちが真ん中できらきらしてて泣いちゃった」だったので、やっぱり違う涙でした。
では、今年度もついに買ってしまった宝塚柄(宝塚柄ってなんだよ)のお弁当箱でお弁当作り頑張ります。こんなことを考えていたら綿矢りさが似たような話をしていたので久しぶりに綿矢作品を読みたいと思いました。大学生2年目、去年よりも初めてが減って精神的に余裕があるはずなので本も沢山読みたいです。あと、とらやのいちご羊羹がおいしいので食べてください。
