ウエスタン・ロマンス

「やぁ、マスター! 調子はどうだい? さっそくで悪いがホットドッグを一つ頼む! そう、いつものさ!」
 木製の両扉が景気良く開かれ、カランと軽快なベルの音が聞こえる。賑やかな街のはずれのはずれ、荒くれ者どもが集う酒場にお客様がご来店だ。
「Ok,エリー。君こそ調子はどうかな? またヤンチャしたのかい?」
 マスターと呼ばれた人物は、ロックグラスを磨きながら、巻き煙草をふかしている。皺の多い顔は歳を感じさせるが、袖の下から出た腕の血管は彼が歴戦の猛者であることを証明している。
「ヤンチャってマスター! アタシは牛を追いかけてるだけだぜ!」
 マスターの問いかけに答えた客はドカッとカウンターの椅子に座り込んだ。テンガロンハットから溢れる金髪と、牛皮のトップス。ホットパンツの腰の辺りにぶら下がる鞭を持ったその客の格好は、まさしくカウガールだった。
「牛を追ってるだけねぇ。じゃあ隠し持ってるその鉛玉は必要ないってわけだ」
 マスターは煙草から口を離し、煙をふっとふきかけた。すると彼女はバツの悪そうな顔をして、腰のベルトから物騒に輝くモノを取り出す。
「良い子だ。good girl」
「やめろよ、マスター。アタシが悪かったけど」
 むうとほおを膨らませた彼女は、マスターからオレンジジュースを受け取り一気に飲み干した。
「こどもが使うにはちょっと高価で危険なんだ、エリー。分かってくれるかい?」
「でも護身用に持ってるだけで」
「持ってるってだけで危険なんだ。私も心配なんだよ。分かってくれるかい?」
「でも……」
 もごもごと俯くエリーに向かって、マスターは出来立てのホットドッグを差し出す。
「ってのはまあ、建前ってヤツだ。本当は分かるよ。君だって年頃だ。憧れる年齢だろう。言いたいことは一つで、つまりもっと上手く隠せってことさ。いいね?」
 マスターは軽くウインクすると、さらに一欠片のチョコレートを差し出した。
「マスター……」
 彼女は目に涙を溜めたまま、ホットドッグを必死に頬張る。あふれ出したケチャップとマスタードが彼女の口元を彩った。
「あのね、マスター。アタシ、今、探してる人がいて、パパの相棒のひとなんだけど……」
 ホットドッグを飲み込んだ彼女が話し始めた瞬間に、店のドアが乱暴に開いた。
「おぅおぅ、シケた店だなぁ! 老いぼれ一人と嬢ちゃん一人。全くついてないぜ!」
 突然ダミ声と共にドカドカと人影が雪崩れ込む。先程まで和やかだった店の中にピシリと強めの緊張が走った。
「いらっしゃい」
 マスターはすぐに顔を戻すと、ブランデーを取り出す。
「いいや、そんなんじゃ足りないね。まずはこの店のアルコール、あるだけ持って来てもらおうか」
「あるだけ……用意はできますけどお代は嵩みますよ?」
 マスターが苦言を呈すと、集団は一斉に笑い出した。下品な声にエリーは眉を顰める。
「お代? 金なんて持ってると思うか?」
 男共はしばらく笑った後腰から銃を取り出した。カチャリと重厚な金属音がなる。
「鉛玉で頼むぜジジイ!」
 数々の銃口がカウンターに向けられる。彼女はびくりと震えてカウンターの裏に潜り込んだ。マスターは顔色を一切変えない。
「マスター!」
「じっとしてるんだよ、エリー。動いちゃ駄目だからね」
 マスターはエリーの頭を撫でると、再び荒くれ者達と目線を合わせた。
「ついでにそのかわいいお嬢ちゃんもいただきたいねぇ」
「残念ですが、私で満足いただけませんか?」
 マスターはナフキンで手を拭くと、グラスにブランデーを注いだ。
「は? 寝ぼけたこと抜かしてんじゃねぇぞジジイ! ただの老いぼれに用はねぇんだよ!」
 頭目と思われる一際図体のデカイ男が、叫びながら引き金を引く。
「ただの、ね」
 マスターはカウンターの奥から銀色のトレーと銃を取り出した。
「試してみます?」
「舐めてんじゃねぇぞ」
 バウンと大きな音がして、マスター目掛けて弾丸が飛び出した。エリーは思わず顔を覆う。バウン、バウンと金属音が反響し、低い姫井がそこかしこで聞こえたかと思うと、ガンガンと弾丸が跳ね返る音が追いかける。しかしそれは時間にして約10秒ほどでぴたりとおさまった。
「マスター?」
 彼女は恐々と目を開ける。
「どうしました? エリー。そういえばチョコレートが残ってましたね。食べ損なって悲しかったんですか?」
 マスターは平然とした様子でカウンターからチョコレートを取ると、彼女に差し出した。
「うそ! さっきの男たちは?」
「ああ、なぜだか突然逃げ出して。用事でも思い出したのかなぁ?」
 マスターは指に引っかけくるりと回すと銃をよれたジーンズのポケットに収めた。
「それで、先ほどの話の続きは?」
「え? ああ……あのね」
 エリーは呆気にとられながらも、マスターがあまりにもいつもの調子だったので、驚きを飲み込んでしまっていた。
「パパ。アタシのパパの相棒を探してるの。最近死んじゃったんだけど、伝言を預かってるから。それでアタシ、冒険に出ようと思って」
「へぇ、そりゃあ親父さんも喜ぶね。そういえばエリー、キミのファミリーネームはなんだっけ」
「サンダース。エリー・サンダースよ。パパの名前は」
 エリーの答えを聞き終わらないうちにマスターはひゅうと口笛を吹いた。
「知っていて?」
「いや、聞いたことないなあ。でもそうか。死んじゃったのか。それは辛いね」
 マスターはそっとブランデーを注いだ。
「でもそれはキミが危険を冒してやる必要はない。私に伝えてくれれば、いつか訪ねてきた時に言伝しとくけど。」
「あんまり子供扱いしないで。アタシももう立派なレディよ。そして冒険したいお年頃なの?そして、ええ、あのパパの相棒の顔よ。見てみたいに決まってるじゃない! なんでも銃の名手だったとか言うんだから。いつも誇らしげにに話してたもの!」
 エリーは瞳を輝かせてチョコレートを齧った。
「ふうん。そうか。そうなんだね」
 マスターはふっと目を細めて彼女を見つめると、その肩を叩いた。
「じゃあ旅に出ると良い。子供扱いしてすまなかった。よく考えれば私が旅を始めたのもちょうどキミくらいの年齢だった。きっとキミのパパもそうだ。つい大人になると忘れてしまっていけないね。その代わり一週間、銃の稽古に付き合ってもらおう。オモチャを下げてたんじゃ意味ないからね」
「本当! マスターありがとう!」
 彼女は頬を緩めてマスターの首に抱きついた。マスターは彼女を軽くいなして、グラスにジュースを注ぐ。
「そして旅に出るといい。全部を見て回って、満足したらまた帰っておいで。そしたらお土産話と一緒に、その伝言もあずかろう。だから伝言のことはあまり気にせずに、世界を見ておいで。パパも、その相棒もエリーの旅が楽しくなることを祈っているさ。きっとね」
「ふふ、そうなの! 本当は旅に憧れてたの! 楽しみで胸がはち切れそう!」
「では、エリーの旅立ちに」
 cheers!二つのカランとグラスが鳴った。

「やけにお前に似てると思っていたんだよ」
 その夜、マスターは一人店の外で月を見上げていた。
「なーに、心配するな。お前の娘は俺が立派に育てて送り出してやるからよ」
 グラスを月にかざす。琥珀色の液体が丸い氷をゆっくりと揺らし、輝いた。
「安心して眠りな、相棒」
 荒野に吹いた一陣の風は新たな旅立ちと永遠の別れを乗せて砂を巻き上げたのだった。

ワクチン2回目のお話

こんにちは、みどです!

先日、ワクチン二回目を打ってきました!!1回目の時の副反応が重かったせいか、「副反応怖いな…」とびくびくしながら行ってきました。SNSやテレビなどでワクチンの副反応について見聞きしていたので、事前に冷えピタやゼリー系の食べ物、ポカリスエット、解熱剤、アイスクリームなど準備万端にして臨みました!
注射を打ってくれた看護師さんがとても気さくな方で緊張を和らげるために沢山お話してくれました。そして、打った後とても心配そうな声で「無事でいてね~…」と言ってくれました。その一言で、ワクチンを打つことの大切さと共にワクチンの副反応の怖さや危険さを感じ取りました。何もないことを祈りながら、家路に着き、食欲がないので帰った後はすぐに寝てしまいました…。次の日の朝5時半に目が覚めて、身体のだるさと暑さ、頭痛がしていたので急いで熱を測ると37.8度でした。平熱が35~36度の私にとっては結構熱が出たほう。すぐに冷えピタとポカリスエットと解熱剤を用意して、また寝ました。結局翌日は一日身体がだるくて、ベッドの上で安静にしていました。でも、その後は何もなく、1回目の副反応であった腕の痛みもほとんどなく、元気な状態にまで回復しました。
ただ、まだ1週間も経ってないので後々副反応が出てきたりしたら怖いですね…。腕の痛みに関しては、1回目の方が痛みも重かったし期間も長かったです、耐性がついたのかな?
そんなこんなで、ワクチン2回目、思ったより副反応が軽くて一安心しました!看護師さーん!!無事です!!めちゃくちゃ元気ですー!!!!
あと、これからワクチン受ける人は是非覚えておいてほしいのが、ワクチンを受ける前と受けた後に沢山水分補給しておくと副反応が軽くなりやすいらしいです!!私も親に言われてワクチン接種の前後に大量の水を飲んだので副反応が軽くなったのかな…。あと、ポカリはめちゃくちゃいいです。ポカリ飲みましょう。

これからワクチン受ける人は副反応が軽くで収まることを願ってます…。
以上みどでした!

心惹かれたものへと


こんばんは、れいです。


今週は卒論ゼミの発表担当だったのですが、その日に習い事もあって、前日夜発表レジュメを完成させた後、世の中が音を失ったような真夜中、一人書道をしていました。眠すぎて、何度か筆を持つ手が狂いました(!)が、なんとかゼミ発表も習い事も無事終えました。盛りだくさん、お腹いっぱいの日でした。
私はかな書道を習っているのですが、先月には特別な試験があり、段が上がりました。嬉しかった…!
卒論や資格との両立は大変ですが、「かな」ということもあり、研究している古典を別の角度から見ることが出来ますし、手を動かして、体にしみこませて古筆の形、特徴、強さや柔らかさを自分のものにしていくのが、大好きです。毎回、先生には色々なご指摘をいただくのですが、先日「ここは急ぎすぎているから、しっかりお手本を見てもっと間隔を空けてゆったり書いてね」とご指導を受けました。私は古筆の臨書を主に勉強しているのですが、確かに私の書いた和歌を読むと、その部分は滑るように早口になってしまいます。私は今まで、「書く」行為と「口に出して話す」行為は別物だととらえていたのですが、本当は深く繋がっているのです。先生につく前は、古筆を見ても素敵、綺麗!と漠然と思うだけでしたが、最近は古筆の字の呼吸や筆の使い方が少しずつながら分かってきました。それが自分の卒論にも生かされている面があるので、書道を続けていて良かったな、と最近改めて感じます。

卒論という一つの大きなものに取り組んでいて、前よりも生活の無駄がそぎ落とされていくというか、シンプルになったような気がします。私は買い物好きなので、到底ミニマリスト…?のようにはなれないのですが、以前よりも本当に必要なものの輪郭がくっきりとしてきましたし、自分の基本形となるものへの愛着も、更に増しました。
その中でも愛してやまないのが、あるハンドクリームです。幼い頃母がよくつけていて、その時はあまり好きではなかったのですが、中学生か高校1年生の時に突然良い香りに感じて、その時以来もう7年くらい同じ香りのものを使い続けています。私は、その日は良い香りだなと思っても、次の日には(自分はつけるのは)少し違うかも…と思ってしまうことがよくあるのですが、このハンドクリームは使う度にやっぱり好き!となります。更に、今年に入ってから別のブランドで近い香りのコロンを発見しました。基本的に香りは家で楽しみますが、部屋の中で香りがぶつかるのは絶対避けたいと思っていて、まさに運命的な出会いでした。この組み合わせは絶対に人に教えられない。

もう一つ、最近これは「欠かせない」と思ったのが、音楽を聴く順番(?)です。前からプレイリストを作るのが好きだったのですが、最近あるベストアルバムを聞いていたら、この並び順は絶対考えられている~!と感じた箇所に出会いました。音楽って一曲で聞くのも良いのですが、アルバムや、オリジナルのプレイリストの中で聞くと、全体の中でどういう曲か、という視点で見られます。曲同士が微かな繋がりを持っていたり、全体でストーリーが一つ構成されていたりすると、和歌的だなぁとも感じますし、それを作っていくのも楽しいです。

色々新しいものを試してみるのも良いのですが、好きなものこれよ!と言える人は魅力的だと思っています。今まで私は、そのこだわりをマイナスに取ってしまうことがあったのですが、心惹かれたものにこだわって生きるというのも、素晴らしいことなのだな、と感じます。そういうこだわりが、自分の言動や立ち振る舞いや、生き方に繋がるはずです。
過ぎ去りゆく時は止められない、最近小さい頃から大好きだった列車が引退して、改めて思いました…、けれども、経験は糧になるし、より目指す方向へと行けるのなら、未来を考えるのも素敵なことなのだと、最近気が付きました。

今日のブログ、いつかの前と似たような感じになってしまった!と思ったのですが、同じ人が書いているのだし、卒論を書いていると自分の核の部分に近づいていく感覚があるので、よりそういう風になってしまうのかもしれません。
特にテーマもなくつらつらと書き綴ったのですが、これも私らしくて良いかな、と思ったりしました。
ではでは!

言葉と伝え方。

こんにちは、あこです。

今日は10月13日。あっという間に10月半ばですね。あと3ヶ月弱で2021年が終わるなんて信じられません。やり残すことがないように、残りの日々もきちんと過ごしたいと思います。

*****

最近、気持ちの伝え方について考える機会がありました。それは、友人とのLINE上で”思いやりのない言葉”を投げ合ってしまったことです。私は某委員会に所属しており、高校時代からの友人と2人で共通の企画を担当していました。しかしお互いの考え方や方向性が合わない日々が続き、それでも締め切りは迫り…という状況の中で、私はイラッとした気持ちのままLINEを送ってしまったのです。相手もイライラしていてどちらが先にそのようなメッセージを送ったのかは覚えていませんが、いわゆる”売り言葉に買い言葉”状態。お互い敬語で感情を誤魔化し、冷静なふりをするけれどそれぞれのイライラした気持ちがひしひしと伝わる。そんなやり取りが何日か続きました。(改めて見ると、結構怖いやり取りでした汗)

その後LINE上でお互いの気持ちをきちんと聞いたりzoomをしたりしてわだかまりは無くなりましたが、「顔が見えないからこそ」「文章だけのやり取りだからこそ」生まれる誤解や悪意があることを実感しました。彼女が高校からの友人だったという甘えもあったのだと思います。だけれども、仲が良いからこそ文章には気をつけるべきだったし、「お互いにイラッとしているな」と思った時点でzoomや電話に切り替えるべきだったのです。人は相手の顔を見たり声を聞いたりすることによって冷静になることができるし、ある程度の誤解を防ぐことができます。オンライン・遠隔でのやり取りが”普通”になった今、一層「言葉」や「伝え方」に気をつけなくてはいけないと思わされました。

その一方で、「顔が見えないからこそ」、「文章だけのやりとりだからこそ」伝わる・伝えることができることもあると思います。例えば相談事。顔を見て話すのは恥ずかしかったり、心がギリギリで誰にも会いたくないけれど話を聞いてほしかったりといった場合には、LINEやメールの方が案外言えるという人も少なくないのではないでしょうか。先程の話と矛盾するようですが、文章を書くことによって自分の意見をまとめたり客観視したりすることができるのも事実です。相手の言葉にきちんと向き合って、自分の言葉に責任と緊張感を持ってやり取りすることによって、電話やビデオ通話と同じくらい、もしくはそれ以上に相手に気持ちを伝えることができるのだと思います。

*****

ビデオ通話や電話、LINEや手紙。現在はさまざまな”非対面”の「伝え方」があります。そのどれもが良い点と弱い点があり、状況によって、また人によって、適切な手段は異なると思います。しかし、どの方法を取るにしても一番大切なのは、相手の気持ちに寄り添い、相手を大切に思うこと。これに限るのではないでしょうか。対面であっても非対面であっても、心ない言葉には傷つくし気持ちのこもった言葉は嬉しいものです。

自分は今どんな気持ちなのか。その気持ちは本当に伝えるべきなのか。いつ、どの方法で、どの言葉で伝えるべきなのか。

いつでもどこでも手軽に気持ちを伝えることができるからこそ、きちんと考えてから伝えることが大事なのだと思います。当たり前のことだけれども、忘れがちなことです。大切な人たちを傷つけませんように。

それでは、また。

≒03:30

ご無沙汰しております、みちるです。

眠れない夜が続くんです。

「対面授業も増えてきたんだ、生活を整えなくては駄目だね」

左様。
二限の開始に間に合わないかも知れない、そんな恐怖はいつだって馬鹿にできない。もう「乗り換えでスーパープレイを発揮した場合に限り遅刻を免れるだろう」なんて予測を立てながら冷や汗を拭う地下鉄の30分間を反覆するのは御免だ。

というわけでやっと『眠られぬ夜のために』(岩波)を買いました。
というわけで、ではない。重々承知しておりますが。藁にもすがる思いで、ヒルティにもすがる思いで、いいやヒルティは藁でないのですが。加えてえらく正直に”眠られぬ夜”を思索の時に充ててはますます眠れなくなるのでは?
いやいや、眠たいことを言っていないで――

(間奏)

「実在の絶対的レベルがを再び見いだそうとすることが不可能であるのは、幻想を演出するのが不可能であるのとまったく同じ次元の事柄だ。幻想はもやは有り得ない、なぜなら実在がもはや有り得ないからだ。これがパロディー、ハイパーシミュレーション、あるいは攻撃的シミュレーションに問われる政治問題の全てだ。」※1

コーヒーに注がれた少量のミルクは、一瞬にしてすべてを台無しにしてしまう。あの底なしの黒さを殺すには、たった一滴のミルクの渦巻きで十分なのである。そしてすべてはコーヒーと同じ運命をたどる。真実も、人間自身でさえ。

ただ、固有名詞だけが、シニフィアンだけが、形容することによって形容することが出来なくなるこのものだけが、こうしたものから遁れられる。しかしそれは残りでしかない。それは実在とイコンの関係がたどる螺旋の終着点だ。そこには均質的な空間と、そこに転がる様々な残りしかない。
――「ない」と言ったことは何たる誤謬だろう、そこではもう存在論すら不可能なのだ。

例えばコーヒーのカップを指で掴み、口元まで持っていって啜る。それは「投企」という仕方で理解され得るが、これも何か――例えば走る、という動作の――一つのアナロジーでしかない。存在論が不可能なのは、形而上学がそれに先立つからではなく、もはや「ある」ということもメタファーだからだ。

もはや何も「ある」とは言えない。それでも、今目の前にコーヒーのカップが見えるのは、一体なぜなのか。ただ漠とした現実だけが、  。ただ、  。空白を埋めることはもうできない。空白が文章を不完全にし、「残り」にする。あったものが、台無しになっていく。もはやそれを止めることも、それに抗うこともできない。
指の間から零れ落ちるミルクが、振動しながら広がっていく。

(間奏)

【「みちる」が私を参照しなくなる日はくるのかしら。】

「眠たいことを言っていないで、はやく眠りたまえよ」

眠られぬ夜のためのボードリヤールなんて、ご勘弁願いたい。
ただ何となく一章だけでも繙いてやるかという気持がした…ヒルティと彼の遺影、もとい二冊の袖に鎮座する”著者の写真”を枕元に並べて。

明日は10時50分。うまくやるのよ?と。

またお手紙書きますね、大好きです。   みちる

※1:著/ボードリヤール、訳/竹原あき子『シミュラークルとシミュレーション』P28(法政大学出版局、1984年)

フォタクの話

こんばんは、めいです。

今月下旬に推しグルのカムバが決まり、最近はそわそわしながらカレンダーを確認する日々です。
カムバ日の数日前にかなり気が重い予定があるのですが、そこを越えなければ新曲が聴けないので泣きながら頑張ります。

推しの力って偉大です。疲れた時や落ち込んだ時も、推しの歌を聴いたり動画を見たり、なんなら厳選してフォルダに保存した可愛い写真たちをひたすら見つめるだけでも(ヒカナイデ!!)、気分が明るくなります。受験期も、勉強中と寝る前に推しの歌を聴いて心に栄養をもらっていました。ありがとう、、

大好きな曲はたっっくさんあるのですが、受験期で特に思い出深いのは『힐링(Healing)』と『Hug(포옹)』という曲です。

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쉼이란 바다에 몸을 던져 푹 쉬어도 돼요
休息という名の海に飛び込んで ゆっくり休んでもいい

아무도 뭐라 못해요
誰も何も言わない

이 시간 모두 다 니꺼니까 그 어떤 걱정도 마요
この時間は全部君のものだから 何の心配もしないで

힐링(Healing) / SEVENTEEN(세븐틴)
作詞:WOOZI, S.COUPS, MINGYU, VERNON, DINO

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歌詞丸ごと良すぎて本当は2曲全文載せたいのですが、絞りに絞って一部抜粋で載せてみました。2曲とも全力で聴く側を労ってくれる歌詞で、疲れてる時に聴くとめちゃくちゃ染みるんですよ、、しかもメンバー作詞、、ほんとありがとう、、、、

歌詞が日本語訳された動画がYouTubeにあるので、ぜひ一度聴いて、見てみて欲しいです。
これから大学生の激烈ハードな2大イベントが控えていますが、推しに養分をもらいながらどうにか乗り越えたいと思います。推したちヨロシク!!(?)

日本語さえままならぬ

みなさん、こんにちは。ここです。
ようやく、少し秋らしくなってきたような気がしますね。

さて、現在、卒論について絶賛頭を悩ませております。(発表が明後日なので…)
今回は、愛する作品から少し外れた部分について調査していたのをまとめているので、軽くホームシックに陥っています(笑)

卒論に限らず、レポートなどを書いているときもたまに思うのですが、文学以外の分野に踏み出さざるを得ない時の不安ってすごいんですよね。読む本もそこに出て来る単語も、慣れないものばかりで、理解に数倍時間がかかります。(文学系でも時間かかるのに…)さらに、これ、どこまで調べたら調べたことになるんだろう…?という気持ちで常に進まなければなりません。まあ、卒論をやっているときは常に、どこまでいけばいいんだ…という気持ちではあるのですが、大筋から外れている分、ここでそんなに時間を食っていてはいけないのでは…という焦りがすごいです。

ただ、実際知らない分野を知れるというのは面白いんですよね。特に”読んでいて”おもしろいなあとよく思うのは民俗学の本です。普段意識していない部分を掘り下げると言うか、曖昧に処理してしまっているものの核心に迫っていく感じが、わくわくします。あくまで、読んでいるぶんには、です。とても卒論で扱いたいとは言えないです…難しい…

今読んでいる本なんて、内容も難しいのに、字さえ読めない(異字体パラダイス)ので、手元の箱を手放すことができません。外国語の本読んでるみたい。
頑張ってもうすこし異字体と戦ってきます。

それでは。

コレハユメ?

皆さん、こんにちは!ずきです。
本日10月9日は「熟睡の日」。「10(じゅ)9(く)すい」という語呂合わせから、睡眠栄養指導士協会が制定した記念日なのだそうです。
皆さん、最近しっかりと眠れていますか?実は最近困ったことに、私自身あまりよく眠れていないような気がするんです…。朝起きても疲れが取れ切れていない感じがあって。目の前で起こっている出来事が夢なのか現実なのか、区別がつかなくなってきてしまったんです…。これは一刻も早く睡眠の質を改善すべき………ふぁ~………すみません、こんな時に。少し席を外しますね………。

・・・

…おかしいな、さっき私はベッドに横になったはずだ。それなのに、なぜか眼鏡をかけている。外すのを忘れて寝てしまったのか?いや、外した眼鏡は…そこにある……。じゃあ今かけているものは???まあ、いいか。………それにしても、なんだろう。この心が弾む感じ。こんな感覚を持ったのは久しぶりだ。

●「あ!良かった!ずきちゃんも来た~!ここだよ~!」
…?名前を呼ばれている。
◇「…あ!そこで待っててくれたんだ…!ごめん、2人を探してたらちょっと迷子になっちゃった。」
□「全然大丈夫だよ~。入場まで20分もあるから余裕余裕。」

これは…大学の友人2人と、私。半年間も続いた緊急事態宣言が明けてから初めての週末。久しぶりに「お出掛け」をしたんだ。東京都美術館で開催されているゴッホ展を見たあと、近くのレストランで少し遅めの昼食をとったんだった。
4年ぶりに訪れた上野公園は、4年前の活気ほどではなかったものの、私の想像以上に賑やかになっていた。…少しずつ、”日常”が戻っているようで、嬉しい。ただ、それより嬉しかったのは、友人と出掛けられたことだ。友人とレストランで昼食なんて…大学2年にして初めてである。あぁ~楽しい!こんな楽しい夢から覚めたくない!

―― 今が夢。

・・・

………今度はなんだ。何なんだ。嬉しいけど、さっきみたいに心が弾まない。

私はなぜか実家にいる。そしてベッドに突っ伏して泣いている。そんな私の傍に「キミ」がいる。いつも近くにいてくれている「キミ」。ふわふわしていて、そこにいるだけで家族に幸せを運んでくれる「キミ」。
…でも、そんなキミはもういない。あの温もりは、もう一生感じられないんだ。知っている、そんなの。知っているはずなのに…。気が付くとキミの写真ばかり見ている。キミの名前を呼んでいる。前に進まないといけないのは分かっているのに。あの頃に戻りたい。キミが確かに生きていたあの頃に。…分かってるんだ、これが夢だってことは!だから…!もう少し待ってほしいんだ…キミが初めて出てきてくれた、こんな嬉しい夢から覚めたくないんだ…。

―― キミの夢。

・・・

私は朗読劇を観ている。かの有名な京都の下鴨神社(賀茂御祖神社)で昨年10月に行われた朗読劇『鴨の音』第一夜「糺の風」。今年は第二夜「読還―よみがえり―」が今月16・17日に開催される。昨年の配信は、開催前日の15日まで期間限定でYouTubeで観ることが出来るようになった。
私の手元には、昨年現地に行くことを断念したためにもぎられていない観覧チケットがある。これを机の上において、パソコンで配信画面を開く。準備完了。これで、現地で観劇している気分を味わう。

朗読劇の中で、神様が主人公に問いかける場面がある。

■「で、圭太ちゃんは何か、夢はある?」
○「夢、ですか。」
■「そう。夢。」

私の夢って何だろう。色々ある。でもまずは…大学生のうちに、一人旅に出てみたいな。
自分で計画を立てて、自宅から何百キロと離れた場所に行ってみたいんです。旅に出たら、少しは今よりも広い視野を持てる、大人になれるんじゃないかと思うんです。それが、私が今一番叶えたい夢です。どうか、それが当たり前のように叶う世界に戻りますように。

―― ボクの夢。

・・・

…あれ?私としたことが…スマホでセットしておいたアラームの時間はとっくに過ぎ、気が付いたら1時間以上も寝ているではないか。
…なんだか、感情が忙しい夢だったような気がする。自分の笑い声と涙が流れている感覚で目が覚めた。寝起きの姿を鏡に映してみた。顔面崩壊も良いところだよ、全く。笑っているのに大粒の涙を流しているだなんて。
ほらね、「目の前で起こっている出来事が夢なのか現実なのか、区別がつかない」って言ったでしょう。それにしても、自分の笑い声で起きるなんて…なんか、嫌だぁ。

――コレハユメ?

~終わり~

Perfume 『ポリゴンウェイヴ』MV https://youtu.be/Q5_2VK_Hj2s

入眠スクール

お久しぶりです、まなみです。
ちょっと前まで夜眠くならない→昼夜逆転→眠くならないの繰り返しで心身ともに不調でした!
が、最近上手な入眠ルーティンが生まれたのでそれを紹介したいと思います😪

ほんとは風呂上がって一時間以内がねむねむタイムなのでそこでいろいろするのがいいらしいのですが、
頭乾かすのに5年かかるので私にはできません!最近は0時には布団に入ると決めてお風呂とか色々準備してます。
私は頭乾かすのに5年かかるので0時の5年前に風呂に入るようにしています🌊

ここで3種(5種)の神器の登場‼️
・いい匂いのルームスプレー
・上を転がる棒
・いい匂いのアロマロール
・眠れる紅茶
・眠れるチョコレート

大体寝る時間の30分前に枕元にスプレーをかけておきます。あまり濃いとくっせ!となるのでおいておくと良いみたい!
私は香水と同じやつを使ってます!いいにお〜い!

頭が乾いたところで棒の上を転がり回ります。最近あまりにも全身が痛いので筋膜ローラーを買ったんですけどすっごく良いです!9月の買って良かったもの!まぁ買って良かったものをまとめたことなんてないのですが…
肩甲骨あたりが伸びるのが本当にいいです。猫背極めてる人とかオススメです!
あと念入りにゴロゴロすると足がむくまない?気がします。暑くて変な靴下履けねえよ!と怒っていたのでそれもまた良い!

いい匂いのアロマロールは寝る時じゃなくてもまともになる〜気がする!頭いて〜とか目がいて〜って時にこめかみと耳裏首筋にゴリゴリすると吐かないで済む〜〜〜
あと電車で気持ち悪くなった時もマシになったりならなかったりします。
私は無印のを使ってます!においが嫌でなければ!

こっからは気休めなんですけど、眠れるらしい紅茶と眠れるらしいチョコを食べてます。
多分寝る前にあったかい飲みもの飲んでゆっくりするのが大事なのかなーーって思いました。
眠れる紅茶はカルディにある眠れそーな名前の紅茶飲んでます🤕
最近はくまちゃんが描かれた紅茶飲んでるんですが、リプトンのカモミールオレンジ的なのも良かった記憶があります!
チョコはGABAの睡眠用の3粒食べてます?これはまじわかんない!けど優雅ぶるのが大事なのである時は摂取してます!意味あるのかな!

寝る前スマホ見ちゃダメって聞きますが寝れねえ〜暇〜よりはいいかなと思ってウト…が来るまで見てます
SNSよりはラジオとかのがいいのかな〜知らんけど!

最近はこれで上手に眠って上手に起きてます😪
寝れない〜って言うと昼夜逆転してるからだろ😡って全員から怒られるのですが(?)夜寝れないのもつら〜いし夜って全部悲しくなっちゃうんですよね…
夜寝れない方は良かったら試してみて下さい☾
それでは〜😴

金曜日

 こんにちは、もこです。

 小学生の頃に詐欺に遭ったことがある。小学校から帰ってきて、一人で留守番をしている時だった。家に一本の電話がかかってきて、「〇〇の母です、もこちゃん、こんにちは!」と言われた。私は、ああ、〇〇くんのお母さんから電話か、と思った。何も疑わなかった。
 …その後はちょっと話せない。話すようなことでもない。親からは、大人が子供を騙すのは簡単なのだと教えられた。

 それ以来詐欺らしい詐欺には遭っていないが、昔よりもかなり気を張っておかないといつ騙されるか分からない世の中になったと感じる。早いうちに詐欺の恐ろしさを教えてくれた、あの時私を騙した女には感謝している。優しい声をした、いい女だった。

 大人になって、お金のためなら人はなんでもできるのだと実感した。始めは不安だらけだったコンビニでのバイトも、お金を貰えるのだと思えばどんなことだってできた。吐瀉物の掃除も飛び散らかされた糞尿の掃除もした。それでも自分の口座に振り込まれた数万円は何よりもいいモチベーションになったし、月々増えていく私の貯金額は何よりも私を強くした。

 その貯金は春と秋にごっそり大学が奪っていく。学びはタダではない。学校に行くということは、お金がいるということ。お金がいるということは、働く必要があるということ。働く必要があるということは、その分の時間は学びに割けないということ。
 いつだって、お金がない方が、生きづらい。

 大学に入学したての頃、奨学金の面接を受けていた時、事務の大人は言った。「バイトをしながら学校の勉強も頑張るのはかなり難しいことです、それがあなたにできますか?」
 それに対して私は「はい、頑張ります」とは言ったが、なぜそんなことを言われたのか分からなかった。できるか、できないかではなく、やるか、退学か、である。

 労働に、少し見合わないくらいのお金を貰えるのが一番幸せだ。そんなお金を大事に大事に使いたい。大学は私のお金を容赦なくもぎ取っていくけれど、手元に残す分で、お菓子を買ったり、スカートを買ったり、ヘアオイルを買ったり、そういうのが楽しい。

 お金持ちになったらやりたいことリストというのを作った。今のところ、ウォーターサーバーを置く、空気清浄機を置く、ダスキンをとる、などがある。でも、お金持ちになっても私は、穴が空いた靴下を縫って使うだろうし、バーゲンの日に流行遅れの洋服を買うだろうし、エアコンはあまりつけないと思う。自分の生き方を超えない範囲の、ちょっといい暮らしがしたい。

 東京に来てから始めたバイト先に連絡したいことがあり、私から電話をかけた。電話先の相手は「あ、もこさんですね、こちらからかけ直しますね。あなたはお金をとっても気にされる方ですから」と言って、かけ直してくれた。全く、失礼な話だ。私が電話代を気にする性格だと知っているなら、無言でかけ直してくれ。その二言三言に使う電話代がもったいない。
 嫌味を言われても、私はこのケチケチした性格を変えない。変えられないのだ。
 いつか変えられるように、ああ、お金が欲しい。

 私を騙したあの女も、お金をもらったからと言って、小学生を騙すのはどんな気分だっただろうか。たぶん、バイト中の私が無心であったように、あの女も私を騙した時に感情などなかっただろう。ただ、お金が欲しかった、それだけなのだと思う。

 お金は怖いもんである。小学生の私も、大学生の私も、結局はお金に支配されているのである。